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高木ブー、7000人集結のハワイライブイベントで熱演【第11回 87歳の挑戦】

 先日、ハワイの音楽イベントに出演して、ハワイの空に歌声と演奏を響かせてきた高木ブーさん。3月8日に87歳の誕生日を迎えるが、さまざまな音楽活動に積極的に参加することを通じて、たくさんの刺激を受け、それをまた原動力にしている。自分の年齢と前向きに付き合いながら、毎日を元気に過ごす秘訣を聞いた。(聞き手・石原壮一郎)

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ハワイのウクレレイベントで刺激を受けた

 3月8日に誕生日が来たら、87歳になります。数え年だと、もうすでに88歳の米寿なんだよね。黒柳徹子さんや草笛光子さんが、同じ1933年生まれかな。ひとつ上に仲代達也さんや小林亜星さんや渡辺美佐子さんがいる。

 宍戸錠さんも同い年なんだけど、1月にお亡くなりになっちゃった。ダンディーでカッコいい映画スターで、それでいてバラエティでも独特の面白さを発揮してたよね。同時代にテレビを盛り上げてきた“同士”でした。心からご冥福をお祈りいたします。

 2月16日(現地時間)にハワイで「ウクレレ・ピクニック・イン・ハワイ」があって、僕も出演してきました。今年で4年連続かな。「ビクトリア・ワード・パーク」っていう大きな公園にある野外ステージを使った無料のイベントで、今年は7000人のお客さんが来てくれたらしいよ。

 海外のミュージシャンも日本のミュージシャンもたくさん集まって、その人たちに会えるのも楽しみなんだよね。プロデューサーはサザンオールスターズの関口和之君で、彼はずいぶん前からウクレレの魅力を広く伝えるために頑張ってくれている。もちろん彼自身も「関口バンド」で出場して、素敵な演奏で客席をウットリさせてたな。

 僕は「高木ブーとハロナ」のベーシストの西里慶君といっしょに出て、「ブルーメモリー」や「涙そうそう」を歌ってきた。天気も最高で、ハワイの青空の下で思いっ切りハワイアンをやれて、自分はなんて幸せなんだろうってつくづく感じたね。柏の夏祭りで初めてステージに上がったときは、まさかハワイでやるなんて夢にも思わなかった。

 今年は日本から参加した一般の人たちといっしょに、ウクレレで「いい湯だな」を演奏するコーナーがあったんですよ。盛り上がったなあ。ハワイには日系の人がたくさんいるから、『8時だョ!全員集合』もよく見てくれていた。ステージと会場が一体になって「ババンバ、バンバンバン」って声をそろえる。感動して鳥肌が立っちゃった。大げさに言うと、音楽の力とかエンターテインメントの力とか日本とハワイの歴史的なつながりとか、そういうのがすべて結実した瞬間だったね。

沖縄ハワイアンを歌ってよっちゃんのアルバムに参加

 2年前に、関口君や元たのきんトリオのよっちゃんこと野村義男君と「1933ウクレレオールスターズ」を結成したんだけど、今年はその活動にも力を入れていきたい。僕の生まれた年にちなんで「1933」って付けたんだけど、長年お世話になってるウクレレへの恩返しができればと思って、あれこれ画策してます。

 よっちゃんは、2月29日に7年がかりで作ったソロアルバム「440Hz with〈LIFE OF JOY〉」(エムアイティギャザリング)が出る。近藤真彦君とか世良公則君とか50人を超える豪華メンバーが集まって作ったらしいけど、僕もその中で「ヤシの木の下で」っていうよっちゃんが作詞作曲した曲を歌ってます。沖縄ハワイアンっていうか、メロディはハワイアンなんだけど、雰囲気は沖縄っぽい。三線の演奏や「あ~いや」ってお囃子(かけ声)が入ったりね。面白い曲なので、ぜひ聞いてみてください。

 おかげさまで、今でもキーを変えずに歌えるのはありがたいと思ってる。ほかのベテランの人はキーを下げたりしてるもんね。ハワイアンの独特の発声方法があって、高校時代や大学時代にずいぶん練習したんですよ。どうやったら裏声が出せるか声に伸びが出るか、とか。当時は教えてくれる先生なんていないから、レコードを何度も聴きながら声の出し方を工夫してね。

 ハワイでのステージやよっちゃんのアルバムに参加したおかげで、たくさんの刺激をもらいました。87歳に向けて、新たにやりたいこともいっぱい出てきた。娘のかおるに「今度、こういうことをやってみようよ。こういうこともやってみたい」って熱く語ったら、「えっ、本気なの!?」って驚いてたけど、何歳になっても新しいことに挑戦していかなきゃ。元気なうちは……というより、挑戦し続けないと元気じゃなくなっちゃうよね。

87歳の今年は「1933ウクレレオールスターズ」の活動に力を入れて、ウクレレに恩返ししたいな

高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。2月26日(水)の夜は「HUB浅草店」に「高木ブーとハロナ」が出演(19時20分~など3ステージ)。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

いしはら・そういちろう 1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

撮影/菅井淳子

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第1回 ウクレレ
第2回 家族
第3回 おままごと
第4回 大切な仲間
第5回 運転免許証の返納
第6回 かくし芸大会の思い出
第7回 お正月
第8回 東京オリンピック
第9回 「ブー」という名前
第10回 ウクレレとの出合い

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この記事へのみんなのコメント

  • おり

    ブーさん大好きです。このコラムも毎回楽しみに拝読しております。Twitterで更新のお知らせがあると飛んできます! ウクレレの音が聞こえてきそうで、どんなお話でもブーさんのお人柄が出ていて、次回も楽しみにしております。

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