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高木ブーのアロハな日々「僕と家族とウクレレと」【第2回 家族】

 人はいくつになっても生き生きとした毎日を送れる――。ザ・ドリフターズのメンバーとして、私たちを大笑いさせてくれた高木ブーさん。ここ数十年は、ウクレレ奏者として全国のステージを飛び回り、円熟の演奏と歌声で聴衆を魅了している。86歳の今を謳歌しているブーさんの生き方から、上手に年齢を重ねる秘訣を学ぼう。(聞き手・石原壮一郎)

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 * * *

家族4人がウクレレの4本の弦になっていい音を奏でてる

 僕は今、ひとり娘のかおるとその旦那さん、中学生の孫のコタロウと4人で暮らしている。28歳から連れ添ったカミさんは、25年前に病気で死んじゃった。まだ58歳だった。早すぎるよね。

 しばらくは娘とふたりで暮らしてた。娘がいてよかったよ。ひとり暮らしだったら、きっと長生きはできていないだろうな。僕は加藤(茶)みたいに、若いカミさんと再婚するつもりなんてないからさ。45歳の年の差ってすごいよね。仲本(工事)の今のカミさんも、27歳年下なんだぜ。おっと、話がそれちゃった。

 娘の旦那さんもよくできた人で、結婚してからも僕といっしょに住むことを快くOKしてくれた。本人たちにはあらたまって言ったことはないけど、本当に感謝してる。しかも、孫まで抱かせてもらえてさ。孫を乳母車、じゃなくてベビーカーに乗せて押すのが夢だったんだよね。どんどん成長して、いつの間にか僕より身長が高くなっちゃった。

 家での呼ばれ方は、前は「パパ」だったんだけど、いつの間にか孫が基準でみんな「ジイジ」になっちゃった。僕も娘のことは「ママ」、娘の旦那さんは「とーちゃん」って呼んでるから、まあおあいこだけどね。

 日常生活だけじゃなくて、今は娘がスケジュールの調整をしてくれたり仕事先まで連れてってくれたり、公私ともに頼り切ってる。家族の都合が合うときは、僕が出演するフェスにみんなで行ったりしてね。先月も小豆島の『島フェス』に家族4人で行ってきた。今年で9回目で、第1回から呼んでもらってるんだけど、ゆるくてのんびりしてて、とってもいいフェスなんだ。そんなゆるい雰囲気が、ハワイアンによく合うんだよね…。

 去年は僕と娘のふたりで行ったんだけど、島で食べた、乾麺じゃない生そうめんがものすごくおいしくて、それを家で話したら、とーちゃんも孫も「連れてけ!」ってことになった。フェスにも生そうめんにも大満足したみたい。

 孫は写真の勉強をしてて、けっこういい写真撮るんだ。フェスのときには“オフィシャルカメラマン”をやってくれたりもする。孫のそういう姿を見ると、刺激を受けて「まだまだ頑張らなきゃな」っていう気になるなあ。

 毎日のご飯は、娘が僕の健康を気づかったメニューを考えてくれてる。最近は、ご飯の前にスライスした生の玉ねぎを山盛りで食べてるんだよね。血液がサラサラになったり血圧や血糖値が下がったりするとか言われてるんだっけ。若いときはそんなの食べたことなかったけど、慣れるとなかなかイケる。僕はわりと好き嫌いはないから、何でもおいしく食べてるよ。

 家族みんなそれぞれ忙しくて、夜はなかなかいっしょに食べられない。何年か前に「朝ごはんはそろって食べよう」って決めたことがあったんだけど、長くは続かなかった。原因は僕なんだけどね。夜中に目が覚めても、テレビの衛星放送をつけたら大好きな時代劇が何時でもやってる。気が向いたらウクレレを弾いてみたり。そんなことしているうちに、また寝直してお昼ぐらいにやっと目が覚める。もともと朝が遅い生活が長かったからなあ。

 こうやって話すと、仕事がある日以外はノンキな毎日だよね。でも、この歳になって、「早く起きなきゃ」なんて無理してストレスをためてもしょうがない。ストレスをためずに自由に過ごすのが、いちばん大事な仕事みたいなところがあるんじゃないかな。まあ、家族が支えてくれてるから、そんなこと言ってられるんだけどさ。

 今気が付いたけど、ウチは4人家族でウクレレの弦も4本だね。それぞれ太さは違うけど、まあまあいい音色で鳴ってるんじゃないかな。僕が張り切り過ぎて不協和音にならないように、これからもノンキに自由にやっていきますよ。

「夜更かし朝寝坊もOK。自由に過ごすのが大事じゃない?」

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高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1963年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。公開中の映画『任侠学園』では「高木のオジキ」を演じている。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう) 

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

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●高木ブー悲嘆「志村へ。そしてドリフターズ時代のこと」

●毒蝮三太夫、ラジオの中継を自粛中「新型コロナウイルスは戦争より怖い?」

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この記事へのみんなのコメント

  • ame

    高木ブーさん、初めまして。 私は12月で68歳になりました。子供の頃からドリフの大フアンでした。 ブーさんの生き方って最高ですね。とても励みになりました。たくさんの元気をもらいました。ブログを読ませていただいて、あったかい気持ちになりました。これからもお体に気を付けて、私たちの目標でいてくださいネ。 ame

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