鎌田實医師考案!合言葉【あさはきたにぎやかだ】で低栄養に備えるための食習慣を 本当に摂りたい食品を紹介
年齢を重ねて怖いのは「低栄養」と「骨折」、そして「認知症」。これに対して、「筋肉」と「脳」に効く超優良たんぱく質が効率的に摂れる食材が「たまご」だ。
若い頃に比べて食欲が低下した中高年の人たちに特に知ってほしい、たんぱく質が豊富なたまごの栄養を生かした食の合言葉が「あさはきたにぎやかだ」。中高年の健康増進のお手本・鎌田實医師の新著『長生きたまご』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
教えてくれた人
鎌田實さん
1948年東京都生まれ。1974年東京医科歯科大学医学部卒業。1988年諏訪中央病院院長に就任。現在は同院名誉院長。地域一体型の医療のパイオニアとして、食生活の改善や健康増進の意識改革の普及に貢献。長野県をはじめ近年は佐賀県でも健康長寿を実現する「鎌田塾」を開催している。チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故後の1991年には基金を設立して医師団を派遣し医薬品を支援したほか、現在もウクライナから避難している子どもたちの支援なども行う。地域医療と高齢者の健康増進についての豊富な経験と、自身の筋トレ、食生活などの実体験が話題を呼び、著書や全国での講演も多数。たまごをこよなく愛し、1日4個は食べて「たん活」と「筋活」を実践。カレーも好物。
中高年は「低栄養に備える食習慣」をつくろう!
たまごの栄養を活かすために大事な話をします。食事全体についての話です。
中高年を迎えると、若い頃のような旺盛な食欲がない(お腹が空かない)ことが増えますし、買い物や調理を負担に感じるときや、同じものを続けて食べる「ばっかり食」が増えます。
便秘など排泄の問題や、睡眠のトラブル、老いの自覚と暮らしの不安、身近な人との別離など、食とは関係ないことも、食生活に大きな影響を与える場合もあります。
そこで、しっかり食べられるときから「ちょっとの工夫」を習慣づけて、生涯にわたり健康を保つ食事をしていけるように備えましょう。
飽食の時代と言われて久しい現代ですが、厚生労働省の調査では、65歳以上の男性で1割以上、女性で2割以上の人が低栄養とされ、僕は持病のある人や入院して治療を受けている人などの場合、その数はもっと多いと考えています。他人事ではないのです。
そして僕は、高齢になって急に低栄養になるわけではないから、中高年からそうならない食生活を習慣にすることが大事だと思います。そうならない食生活とは、好きなものだけを食べるのではなく、ある程度は栄養について考えて食べる食生活です。
でも、忙しい毎日、難しいことは続けにくいですよね。簡単に、ざっくりとらえて取り組めるようにコツを見出したので、ぜひご活用ください。
それが、鎌田實考案の「あさはきたにぎやかだ」です。
健康に良い食生活の合言葉でよく知られているのは「まごはやさしい」でしょう。「豆、ごま、わかめ、野菜、魚、しいたけ(きのこ)、芋」ですが、現代の栄養学から考えると、これでは不十分で、低栄養やフレイルといった「健康長寿」を阻む事態を招く原因になりかねません。
ほかに「さあにぎやかにいただく」という合言葉も。「魚、油、肉、牛乳、野菜、海藻、芋、たまご、大豆製品、くだもの」では、確かに油や肉、牛乳、たまごを加えた点で現代栄養学の理にかない、95歳までぴんぴん元気でいられそう、と思います。
しかし、僕は「生涯ぴんぴんひらり」、最期まで自分らしく活動し、ひらりとあの世に逝くのが希望なのでブラッシュアップ。糖化を起こし老化の原因となる「い(芋)」と「く(くだもの)」は外し、代わりに「き(きのこ)」「は(発酵食品)」を入れました。
合言葉であげた食品は10品目。たまご以外は9品目ですね。
毎日の食事で、ごはんやパンなど主食以外に「7品目食べる」を目標にしましょう。
やってみればわかりますが、それほど難しくはありません。たとえば納豆は発酵食品で、大豆ですから、納豆を食べるだけで2品目食べたことに。簡単だから、僕は10品目コンプリートできる日も結構ありますよ。
難なく7品目以上、食べる習慣が定着したら、さらなる工夫を日々のレクリエーションと思って、おいしいコンプリートを重ねる。
楽しく、おいしいことが健康を支えてくれるベースになります。しっかり食べられると気持ちもアップしてきます。