《「家で死ぬ」を実現するために》信頼できる在宅医の探し方、医療機関を見極める「看取り率」とは?【在宅緩和ケア医・萬田緑平さん解説】
在宅緩和ケア医の萬田緑平さんは、「末期がんでも最期まで自宅で自分らしく過ごすことはできる」と語る。それには「信頼できる在宅医を探すこと」が大切だという。対談を含めて60ページに渡って在宅医療についての解説を担当し、話題を集めている『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』(倉田真由美著)から、一部抜粋して紹介する。
末期がん患者の場合、介護保険も検討を
最期まで自宅で過ごすと決めて在宅医療を受ける場合、65歳以上で介護が必要な場合には、要介護認定を受けていれば介護保険が活用できます。
介護認定調査を受けて要介護度(要支援1・2、要介護1〜5)が決まると、訪問リハビリや訪問入浴など、要介護度に応じたサービスを使えるようになります。介護サービスの要となるケアマネジャー(ケアマネ)が決まったら、そのケアマネが中心となって在宅で過ごすためのさまざまな介護サービスを使うためのプランを作成します。
なお、介護保険を使えるのは原則として65歳以上ですが、末期がんやパーキンソン病などの特定疾病の場合、40〜64歳でも利用可能です。
要介護認定には申請から認定まで約1か月の期間を要しますが、入院中でも申請・認定調査を行うことができ、認定までの期間を早めてもらうことも可能なので、入院先のソーシャルワーカーに相談しましょう。
ちなみに萬田診療所では、最期まで自宅で過ごしたいと希望された末期がんの患者さんが入院している間に腕のいいケアマネさんなら1日で介護認定調査の手はずを整え、介護ベッドをすぐに手配したり、訪問ヘルパーさんを調整したりして、緊急退院したその日に自宅で過ごせる環境を整えることもあります。こうしたことは、ケアマネの腕次第というところはあるかもしれません。
信頼できる在宅医の見つけ方
在宅医療を任せる医療機関を選ぶ時は、「看取り率」が一つの目安になります。
看取り率とは、病院の総患者数に対する「看取り件数」の割合。この数値が高いほど自宅での看取りの実績があり、最期までしっかり患者さんを看ていると考えていいでしょう。できれば7割を超えているとかなり安心です。
看取り率が1割、2割などと極端に低い場合、元気なうちは訪問診療していても、いざとなったら面倒なので入院させてしまうこともあります。また施設の患者ばかり看ている医療機関もやめたほうがいいかもしれません。施設は本人の意思確認ができないことが多いので、短時間に何人もの患者を看て診療報酬を得るタイプの医療機関が必然的に多くなります。
ちなみに私の診療所は在宅での看取り人数は年間100人弱で、看取り率は10割に近い状況です。
医療機関は自宅から原則として16km以内
在宅医療を任せる医療機関は、原則として自宅から直線で16km以内で見つけてください。16km以上離れていると、医療機関は診療報酬制度により訪問診療代が請求できないので受け入れてもらえません。私の場合は、車で30分以内で行ける場所を中心に引き受けています。
萬田診療所にも週に1件くらい県外から相談に来る患者さんもいらっしゃるのですが、地元の訪問診療医や緩和ケア病院の探し方をお教えしています。
プロフィール/萬田緑平
1964年生まれ。群馬大学医学部卒業。大学病院の外科医として多くののがん患者の手術や抗がん剤治療を行う中で医療や看取りについて疑問を感じ、2008年から緩和ケア診療所に勤務。2017年「緩和ケア萬田診療所」を設立し、患者と家族のケアを続ける。『家で死のう!』(フォレスト出版)など著書多数。出会った患者と家族の日常と看取りまでを追ったドキュメンタリー映画『ハッピー☆エンド』も話題に。
撮影/五十嵐美弥
