倉田真由美さん【新連載】「くらたまね~&らいふ」Vol.1「秘書のスカウトに面食らう」
漫画家の倉田真由美さんは今年55才を迎える。2年前に夫が旅立ち、現在は高校生の娘さんと姪っ子と3人で暮らしている。そろそろ新しいことにも挑戦もしていきたいと、新たな連載のテーマに選んだのは「マネー」。お金と暮らしの話題を綴る連載、初回は「想いもよらないスカウトの電話」が来たエピソードだ。
執筆・イラスト/倉田真由美さん
漫画家。2児の母。“くらたま”の愛称で多くのメディアでコメンテーターとしても活躍中。一橋大学卒業後『だめんず・うぉ~か~』で脚光を浴び、多くの雑誌やメディアで漫画やエッセイを手がける。新たな描きおろし漫画も収録した最新の書籍『夫が「家で死ぬ」と決めた日 すい臓がんで「余命6か月」の夫を自宅で看取るまで』も話題に。
「新連載」最初のテーマは“お金”
さて、新連載です。
何をテーマにするか迷いましたが、「お金」にまつわるお話をしていこうと決めました。漫画家、物書きになって30年以上経ちますが、あまり取り扱うことがなかったテーマです。
でも現実的に、歳を重ねるほど「経済的な問題」が、自分の生き方や生活に大きな比重を占めるようになってきます。
若い頃であれば「お金がなくてもなんとかなるさ」と考えやすく、実際大抵なんとかなります。雇用も若いほど有利ですし、働く道はいくらでもあります。
同居している25才の姪は現在派遣社員で事務職の仕事をしていますが、貯金もキャリアもまったくないのに将来の不安もまったくないようで、毎日遊び歩いています。性格もあるのでしょうが、「若さ」というのはとてつもない財産で、お金の問題にこだわりすぎずに生きていける強さの源になります。
私は今年55歳になります。一昔前、1980年代くらいまでは定年が一般的だった年齢です。でも、夫も亡くなり娘は高校生で成人前、まだまだお金はかかるので一馬力でしっかり働かないといけません。
物書きという、定年こそないけれどいつまで続けられるか分からず、退職金もない自由業で今日まで暮らしてきましたが、不安を覚えないと言ったら嘘になります。
知人から唐突に連絡「秘書やりませんか」
実は先日、最近知り合った人から「倉田さん、近頃は忙しいの?」と、唐突に連絡がありました。
「いいえ。そんなに忙しくありません」
「だったら、秘書の仕事してみませんか」
秘書!?会社員経験ゼロの私が!?
「僕の知り合いの◯◯業をしている奴が、秘書を探していて。倉田さんのことを思い出したんです」
思いもよらない、人生初の申し出に私は面食らいました。
「ちょっと面白そうですけど…私に勤まりますかね?」
恐る恐る尋ねると、
「倉田さんならできるような気がするんですよ。だめんずも終わって、次のステージに行きたいって言っていたから。興味ありますか」
興味があるかないかで言われたら、まったくなくはありません。でもまさか、今年55才になる私が、しかもちょっと特殊な仕事をしている私が、秘書にスカウトとは…。
「とりあえず、お話だけ聞かせてください」
私はそう伝えて、まずは詳細を聞くための日程を決めてもらいました。近々、会いに行きます。現時点では、どうするかどうなるか私にも分かりません。
3月中には続報をお伝えできると思います。
もう50代半ば、でもまだ50代半ば。
歳を重ねた人が新しいことに挑戦する話は大好きです。それが趣味でも仕事でも、「私もまだまだやれる」って、勇気をもらえるから。そして、自分がそういう勇気を与えられる一人になれたらいいなとは以前から考えています。秘書の件がどうなるかはさておき、新しいこと、殊に今までと違う仕事にも、躊躇なく挑戦していきたいです。
