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兄がボケました~認知症と介護と老後と「第62回 兄のその後」

 ライターのツガエマナミコさんの兄は、50代で若年性認知症を患い、67歳の現在は特別養護老人ホームに入所中です。一昨年5月に突然てんかんの発作が起こり、その後一人で歩くことができなくなり、それが施設入所のきっかけになりました。その後、発作は起こることなく過ごしていた兄でしたが、つい先日、二回目の発作が・・・。その後の様子をマナミコさんが報告してくれました。

 * * *

次にまた発作が起きたら・・・

 兄がてんかん発作を起こして救急搬送された翌週、施設に面会に行くと、受付で主任生活相談員の方と立ち話になりました。今後、また同じような発作が起こった場合どうするかを相談されたのでございます。

→関連記事:「第60回 緊急事態」を読む

 入所前の発作を含め、2回とも検査の結果に異常はなかったですし、施設の方針としては、“てんかん発作の場合はしばらく様子を見る”のが通常とのことでした。「ただ、急に倒れたりして怪我をしないように対応はします」とおっしゃってくださいました。

 てんかん発作は穏やかなリズムをもった脳の電気活動が突然壊れて、激しい電気的な乱れが生じることによって起こる症状だそうでございます。(公益社団法人日本てんかん協会HP参考)

 てんかん発作それ自体で命を落とすことは稀でも、突然の意識喪失で頭から倒れたり、高いところから落ちて生命にかかわるケースはあるようです。ただ、兄は歩けないのでせいぜい落ちてもベッドか車いすから。柵や手すりに手足をぶつけて怪我をすることはあるかもしれませんが、1~2分の痙攣で発作が収まれば大きな問題はないと思われます。

 わたくしが昔てんかんを持つ人を取材したときも、「友人には発作が起きてもすぐに救急車を呼ばずに見守ってほしいと伝えています」とおっしゃっていたのを思い出しました。

 施設ではてんかんの薬もちゃんと飲ませてくださっていますし、頻繁に救急車を呼べば施設のみなさんも動揺するでしょうから、「次回からは、発作が起きてもしばらく様子をみて、発作が収まらないようなら救急車を」とお願いしてまいりました。

 倒れてしばらくは、眠っている時間が多く、飲み込みが少し苦手になって食事量が落ちたと聞きましたが、翌週には「以前とあまり変わりませんよ」とのことでほっと胸をなでおろしました。おかげさまで顔色も良く、突然パチパチと拍手をしたり、おどけた顔で笑わせてくれる兄は健在。妹としてはうれしいかぎりでございます。

 先日、叔母に兄のてんかん発作のことを話しましたら、「あら、それじゃ〇〇ちゃんと同じね」と話しておりました。

 それは昨年末に亡くなった〇〇ちゃんこと叔母(母の妹)の四十九日の法要と納骨に行ったときのことでございます。亡くなった叔母は生涯独身で享年82歳。兄と同じように認知症を患って10年間ほどグループホームでお世話していただいておりました。ときどきてんかん発作を起こして入退院していたので、わたくしは認知症あるあるのひとつかもしれないと勝手に判断しておりました。

 去年の5月に「会っておいた方がいいかもしれない」と連絡が入り、会いに行ったのが最後になりました。

 久し振りに都内にある祖父母の菩提寺で親戚が集まったのですが、その数わずかに5人。「前回ここで集まったときには20人ぐらいいたのにね」と話しながら、賑やかだった法要の風景を懐かしく思い出しました。

 ご住職さまが、お経を読み上げ、お位牌に魂を入れる儀式が終わると一人一人のお焼香タイムでございます。昔はこの正座の時間が長くて足がしびれてしまいましたが、今回はイスだったので楽ちんで、お焼香も5人だとあっという間でございました。

 納骨を済ませた後、お食事をすることになり、向かったのは某ホテルでございます。誰かが「ウナギが食べたい」といい、ネット検索した結果「あの有名ホテルの中にウナギ屋がある」と発見したわけでございます。

 そこは、広大な庭園がある都内屈指の結婚式のメッカ。テレビなどでよく見る場所ですが、わたくしが足を踏み入れたのはこれが人生初でございました。

 抜けるような青空の中、古都を旅するかのような優雅な景色が広がるお庭の一角、そこでいただくウナギがまた上品でおいしゅうございました。しかもお会計は亡くなった叔母の姉である叔母が引き受けてくださるということで美味しさが倍増。遠慮なく甘える年下の立場の心地よさを久々に味わって、とても豊かな昼下がりでございました。
兄も一緒だったらもっとよかったのに、本当に残念でございます。

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文/ツガエマナミコ

職業ライター。女性62才。両親と独身の兄妹が、2012年にそれぞれの住処を処分して再集合。再び家族でマンション生活を始めたが父が死去、母の認知症が進み、兄妹で介護をしながら暮らしていたが、母も死去。そのころ、兄の若年性認知症がわかる(当時57才、現67才)。通院しながら仕事を続けてきた兄だったが、ついに退職し隠居暮らしを開始。2024年夏から特別養護老人ホームに入所。

イラスト/なとみみわ

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