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「特定施設入居者生活介護」とは? 老人ホーム選びの目安となる大事な言葉の意味をわかりやすく解説

 老人ホームの入居を検討し、情報を調べていると「特定施設入居者生活介護」という言葉を目にすることがある。ちょっと難しそうな名称だが「特定施設入居者生活介護」とはどんな意味なのか。施設選びに役立つ知識としてぜひ覚えておくといいという。介護職員・ケアマネジャーの経験をもつ中谷ミホさんに解説していただいた。

この記事を執筆した専門家

中谷ミホさん

福祉系短大を卒業後、介護職員・相談員・ケアマネジャーとして介護現場で20年活躍。現在はフリーライターとして、介護業界での経験を生かし、介護に関わる記事を多く執筆する。保有資格:介護福祉士・ケアマネジャー・社会福祉士・保育士・福祉住環境コーディネーター3級。X(旧Twitter)https://twitter.com/web19606703

「特定施設入居者生活介護」とは?

 老人ホームを探している人は「特定施設入居者生活介護(とくていしせつにゅうきょしゃせいかつかいご)」という言葉を目にしたことがあるかもしれません。

 筆者も介護施設の相談員をしていたとき、「この言葉はなんですか?」と聞かれることがよくありました。この記事では、「特定施設入居者生活介護」の基本的な仕組みや、知っておきたい注意点を解説します。

特定施設入居者生活介護」は施設選びの目印

 厚生労働省が定めた基準を満たし、都道府県から指定を受けた施設を「特定施設」と呼び、そこで提供される介護保険サービスを含めた総称を「特定施設入居者生活介護」といいます。

 いってみれば国や都道府県からの「認定マーク」のようなイメージでしょうか。施設のパンフレットやホームページに記載されています。

対象者や対象となる施設は?

「特定施設入居者生活介護」は、要介護(1~5)が対象となります。要支援(1、2)の場合は「介護予防特定施設入居者生活介護」となり、両方に指定されているケースもあります。

 対象となる施設には、介護付有料老人ホーム、養護老人ホーム、ケアハウス(介護型)、一部のサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。

 なお、有料老人ホームの中でも「介護付」と名乗れるのは、この「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設だけです。指定を受けていない場合は「住宅型有料老人ホーム」に分類されます。

「特定施設入居者生活介護」に指定されているか否かは、施設を選ぶときのひとつの目安になるので、覚えておくとよいでしょう。

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どんなサービスが受けられるの?

「特定施設入居者生活介護」に指定された施設では、要介護認定(要介護1~5)を受けたかたに対して、以下のサービスを包括的に提供しています。

・日常生活の介護(入浴、排せつ、食事など)
・生活援助(洗濯、掃除など)
・機能訓練(リハビリ)
・健康管理・服薬管理

 施設が24時間体制でケアを行い、一人ひとりに合わせたケアプラン(介護サービス計画書)も施設内で作成されます。なお、「介護予防特定施設入居者生活介護」(要支援1、2)では、介護予防に重点を置いたサービス内容となります。

特定施設入居者生活介護」の特徴とメリット

「特定施設入居者生活介護」に指定された施設にはさまざまなメリットがあります。

介護費用は「定額制」のため、見通しが立てやすい

「特定施設入居者生活介護」に指定された施設の介護サービス費は、要介護度に応じた定額制です。目安として、要介護1(1割負担)の人で月額約1万6,000円、要介護5(3割負担)の人で月額約7万3,000円程度となっています。

 訪問介護やデイサービスのように利用回数によって費用が変わる仕組みではないため、体調の変化で介護の手間が増えても追加の費用はかかりません。将来的に介護度が重くなった場合でも、毎月の負担額を把握しやすく、資金計画が立てやすい点は大きなメリットといえるでしょう。

 ただしその他の費用もかかるため、介護保険サービス費が定額制だからといって必ずしもお得とはいえません(理由は後述します)。

職員体制が手厚くスタッフとの信頼関係も築きやすい

 特定施設には人員基準が定められており、要介護者3人に対して介護職員・看護職員が1人以上配置されています。施設によっては、この基準を上回る手厚い人員体制を整えているところもあります。

 外部の事業者が入れ替わり立ち替わり訪問するのではなく、施設の介護職員(または指定を受けた受託会社の職員)が継続的にケアを行うため、顔なじみのスタッフとの信頼関係を築きやすいのも特徴です。24時間体制で必要なときに必要な介護を受けられるため、夜間も含めて安心して生活できる環境が整っています。

※一部の施設では、安否確認や計画作成のみ施設が行い、実際の身体介護などは外部の事業者に委託する「外部サービス利用型」という形態もあります。

「特定施設入居者生活介護」のデメリットと注意点

「特定施設入居者生活介護」を利用する場合、在宅で受ける介護サービスとは異なるルールがいくつかあります。

1.外部サービスの併用に制限がある

「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設では、介護保険の利用限度額をすべて施設のサービスで使い切る仕組みになっています。そのため、施設に入居しながら、介護保険を利用して外部の「デイサービス」や「訪問介護」を併用することは、原則としてできません。これまで通い慣れたデイサービスがあっても、入居と同時に利用できなくなる点には注意が必要です。

 ただし、必要に応じて施設側の負担で外部サービスが提供される場合もあります。具体的な取り扱いは施設ごとに異なるため、入居前に確認しておくと安心です。

2.福祉用具のレンタルが原則できない

 同様の理由から、介護保険を利用した福祉用具のレンタルも原則としてできません。介護用ベッドや車椅子、歩行器などが必要な場合は、施設が備品として用意しているものを使用します。自分専用のものを使いたい場合は、自費でレンタルするか、購入することになります。

3.介護度が低い人は割高になる場合も

 介護や支援がほとんど必要ない人でも、利用頻度にかかわらず定額の介護サービス費がかかります。利用した分だけ費用が発生する「住宅型有料老人ホーム」などの施設のほうが、自己負担が安くなる可能性もあるため、入居前に比較検討しておくとよいでしょう。

4.介護費以外にもかかる費用がある

 定額制の介護サービス費とは別に、施設の利用料や食費、日常生活費などがかかります。また、事業所によっては介護職員処遇改善加算などが上乗せされ、実際の支払額が想定より高くなる場合もあります。

 入居後に「思っていたより費用がかかった」とならないよう、どこまでが定額に含まれ、どの費用が別途必要になるのかを事前にしっかり確認しておきましょう。

「特定施設入居者生活介護」に向いている人は?

 特定施設入居者生活介護は、以下のようなかたに向いているサービスです。

●手厚い介護体制のもとで安心して暮らしたい
●毎月の介護費用は定額制がいい
●認知症や要介護度が上がっても転居せずに住み続けたい

 一方で、介護職員によるサポートがそれほど必要ない場合や、外部のサービスを自由に選びたい場合は、ほかの種類の施設のほうが希望に合う場合もあります。

 まずはご本人やご家族の希望条件を整理し、優先順位をつけてみましょう。そのうえで、特定施設が合っているかを検討してみてください。

「特定施設入居者生活介護」【まとめ】

「特定施設入居者生活介護」に指定されている場合、施設のスタッフによる手厚い介護を定額制で受けられます。24時間体制の安心感や費用のわかりやすさが特徴である一方、外部サービスの併用や福祉用具レンタルに制限があるなど、事前に知っておきたいポイントもあります。

 入居を検討される際は、今回ご紹介した費用の仕組みやサービスの特徴、利用上の制限などを参考に、ご本人やご家族の状況や希望に合っているかを確認してみてください。

参考資料

厚生労働省「特定施設入居者生活介護」
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000648154.pdf

厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group17.html

東京都福祉局「特定施設入居者生活介護の手引き」https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/00tebiki2


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