「北海道物産展はリハビリ会場!?」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第68話
慢性膵炎を抱える80代の母と山口県でふたり暮らしをする漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさん。母は脚のリハビリを継続中で、歩くことに不安を抱えている。そんな中、デパートの北海道物産展に行きたいと言い出して――。
母とデパートへ
先日、時計の電池交換のため地元のデパートに行きました。「デパート」なんて滅多に行くことがないので、母と母のお友達も誘い“よそ行きでおめかし”(母曰く)をして車で出かけました。
開店時間に合わせて到着、時計売り場に向かっていると館内放送が。
ピンポンパンポ~ン♪「明日まで大催事場にて“北海道物産展”を開催しております~」
目がキラーンと輝く母とお友達…いやちょっと待て。お友達はともかくお母さん、あなたは無理でしょう?リハビリ型デイサービスに通うようになってから杖がいらなくなったとはいえ、いまだに買い物の時はカートがないと脚がもたないし、このあいだは人混みで転びそうになって私の左手首を負傷させたのもう忘れました?(忘れたら怒るよ)
しかし母の顔には「行きたい、いや行く」の文字がくっきり。うーん、とりあえず会場まで行ってみようか。
物産展会場は、まだ早い時間のせいか開期終盤のせいか人影はまばら。まあまあ、このくらい人が少なければ大丈夫でしょう。私は用事が終わったらその辺ぶらついているから、そっちが終わったら電話してね。
実は私、人混みが苦手で「物産展」って入ったことがないんです。母は真逆で賑やかな人混みと買い物が大好きな人。母を連れて道の駅によく行きますが、買い物をするのはもっぱら母オンリー。私はコーヒーを飲みながら外のベンチで待機(周りはおじさんだらけ)が基本です。
さて時計を預けて館内をぶらぶら。デパートの醍醐味の“手の届かないお高いブランド食器”や“有名作家の陶器”などを眺めながらふと気づくと、え?もう30分経ってるじゃん。
スマホを見ると着歴はなし。慌てて母のガラケーに電話してみるも反応なし。お友達の携帯にかけても反応なし。おいおい、なんで出ないの?もしかしてどこかでへたばってる!? 急いで物産展会場に戻ってみると――。
物産展の会場で母は…
えええ~~~!? ここさっきと同じ場所ですか~!?と思うくらいの人・人・人! 会場内は奥が見えないほど人でギッシリ! 会場外のレジには長~~い列! ものすごい混雑!
すすすす、すみませんっ!! 物産展なめてました!!
これじゃ電話しても気づくわけがない。で、2人ともまだこの中にいるの? 出られなくなってるの? え~い仕方ない~!と、人混みにダイブしました。
会場に入ると「北海道産豚の角煮」「函館海鮮弁当」「北海道産ホタテ入り松前漬け」「十勝和牛ステーキ丼」「札幌味噌ラーメン」などなど、おいしそうなブースがいっぱい。思わず立ち止まりそうになるのをこらえながら人波をかきわけ進んでいくと…。
いました! 両腕に買ったものを山ほどぶら下げて、ほかほかと湯気の立つ「北海道産じゃがいも団子スープ」を今まさに試食しようとしている母とお友達が!!
私「ちょっとー!! 連絡ないから心配したよ!!」
母「え~、まだそんなに時間経ってないじゃろ~?」
私「中に入ってからもう30分以上経ってるよ!!」
母&お友達「え~~ウソじゃろ~~!?」
ウソじゃないし。でね、結局この2人この後も買い物を続けて、なんだかんだで1時間近く会場にいたんですよ。「ウソじゃろ~!?」はこっちのセリフです。
休憩コーナーで待つ私の元へきゃっきゃ言いながらソフトクリーム片手に戻ってきた母とお友達(母の分は私が半分食べました)。普段の買い物では1500歩がやっとなのに、母の携帯電話で歩数を見たら3000歩も歩いてる!!
さすがに疲れたようでこの後は買い物カートに寄りかかって駐車場まで戻りましたが「そんなに歩いた気がせんけどねえ~」と、母自身が驚いていました。
きっと会場にはお客さんが無意識にぐるぐる歩いてしまうような仕掛けがいっぱいあったんだろうなあ。アイキャッチとかお店の配置とか。「導線」ってやつ? 歩かせのプロ、物産展、恐るべし。
「楽しい」が生み出す力
「楽しい」ってこんな大きなエネルギーを生む力になるんだなあと驚嘆しました。
そういえば母が通っているデイサービスでもフィットネスバイクを漕ぐ(20分間)の間は可愛い動物や料理、世界の観光地などいろんな動画が観られるそうで「今日は〇〇観たんよ~♪」と嬉しそうに話します。あれも運動を持続させるためのメソッドなんでしょうね。
しかし今まで行ったことなかったけど、デパートの物産展って「京都」とか「北海道」とか「全国」とか定期的にやってるよね。また機会があれば…いやちょっと待って。
この日の母の買い物を確認。
・北海道産豚の角煮/2000円
・じゃがいも団子スープ/1200円
・カニ弁当/2500円
・エビのから揚げ/700円
・有名な某ポテトチップ/1000円
・利尻産とろろ昆布/1200円
・北海道牛乳ソフトクリーム/800円
計9400円
ひ~~~~!! ダメダメ、こんなお高いリハビリ通えません~~~!!
ちなみに母、翌日「どうしよう脚が痛い」と騒いでいましたが、デイサービスで理学療法士さんに「1~2日で消えれば筋肉痛なので、むしろ良いことです」と言われたそうです。
お金をかけずに母が夢中で歩くような仕掛けって何かないかなあ~。介護ポストセブンもしっかり読んで情報収集しようと思います。
NOオイルMemo「北海道物産展のNOオイルグルメ」
北海道物産展で見つけた膵臓にやさしい”脂質低め”のヘルシーなメニューはこちら。
カニと昆布はほぼNOオイルの食材。特にとろろ昆布は素材を丸ごと食べられるのが優秀&エコ。積極的に食べたいです。カニは低脂質のたんぱく源なんだけど、ズワイガニなんてしょっちゅう食べるわけには、、、いかないなあ~。
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。59才。山口県で83才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。
