リチウムイオン電池による火災に要注意!正しい処分方法や選び方・事故を防ぐ心得3か条「持ち運べる火種になるリスクも」
「リチウムイオン電池」はスマートフォンやモバイルバッテリーなどに使われ、今や暮らしに欠かせない。便利な一方で扱いを誤ると火災を招く懸念も。総務省消防庁の調査(2026年1月公表)によると「リチウムイオン電池等が原因とみられる火災」は2024年には982件、2025年は1~6月だけで550件と前年を上回るペースで推移している。身近な製品だからこそ注意したい正しい処分方法や、事故を防ぐために知っておきたいポイントを、家事アドバイザー・矢野きくのさんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
リチウムイオン電池による深刻なトラブルも
スマートフォン、モバイルバッテリー、コードレス掃除機、電子タバコなどなど、私たちの生活は今、リチウムイオン電池なしでは成り立ちません。軽量でパワフル、充電により繰り返し使える電池は非常に便利ですが、一歩間違えれば「持ち運べる火種」に変わるリスクを秘めています。
近年、この電池の不適切な取り扱いによる火災が急増しています。自分自身や地域社会を守るために、今一度その危険性と正しい向き合い方を確認しましょう。
リチウムイオン電池の事故は、決して他人事ではありません。実際に起きた深刻な事例に以下のようなものがあります。
ゴミ処理施設の火災を招く「燃えるゴミや不燃ゴミに捨ててはいけない」
深刻なのが、「燃えるゴミ」や「不燃ゴミ」に紛れて出された電池による火災です。ゴミ収集車で圧縮されたり、処理施設で破砕されたりした衝撃で電池がショートし、爆発的に発火します。 過去には、ゴミ焼却施設で大規模な火災が発生し、数か月にわたって施設が稼働停止に追い込まれた自治体もあります。修理費用に数億円の税金が投入されるケースもあり、地域のゴミ処理体制そのものを揺るがす事態となっています。
日常生活や移動中の恐怖「乗り物の中で発火も…」
自宅での充電中に発火し、住宅火災が発生する被害も後を絶ちません。また、飛行機の機内や電車の中でモバイルバッテリーが発火し、機体が全焼したり、電車が運休を招くニュースも頻繁に目にします。密閉された空間での発火は、逃げ場がないため命に関わる重大な事故に直結します。
「リチウムイオン電池」は意外なものに内蔵されている
「自分はそんなに電池を持っていない」と思うかもしれませんが、実は意外なものに内蔵されています。
●デジタル機器: スマートフォン、タブレット、ノートPC、モバイルバッテリーほか
●生活家電: コードレス掃除機、ロボット掃除機、電動歯ブラシほか
●趣味・美容: ワイヤレスイヤホン、ハンディファン(扇風機)、電動シェーバー
●その他: 電動アシスト自転車、ラジコン、加熱式タバコ
「充電して繰り返し使えるもの」の多くには、リチウムイオン電池が入っていると考えておくとよいでしょう。
「リチウムイオン電池」正しい捨て方3つのポイント
リチウムイオン電池は、絶対に通常のゴミと一緒に捨ててはいけません。
1.自治体のルールを確認する
多くの自治体では「有害ゴミ」や「特定ゴミ」として回収しています。ただし、製品から電池が取り出せない場合は、自治体の指示に従って「小型家電回収ボックス」などへ出す必要があります。
2.リサイクル協力店へ持ち込む
「JBRC」という団体のマークがついている充電式電池は、家電量販店やスーパーに設置されている「黄色いリサイクルBOX」に無料で入れることができます。
3.絶縁処理を忘れずに
端子部分(金属部分)が露出していると、他の電池や金属と触れてショートする恐れがあります。必ずビニールテープ等で端子を覆ってから捨てましょう。
事故を防ぐ心得3か条「購入・使用時のポイント」
便利だからこそ、私たちはリチウムイオン電池を「怖がって使う」くらいがちょうどいいのかもしれません。以下のポイントを徹底しましょう。
1.PSEマークを必ずチェック「劣化や衝撃で発火する可能性も」
購入時には、電気用品安全法の基準を満たしていることを示す「PSEマーク」がついている製品を選んでください。安価すぎる海外メーカー品などは、保護回路が不十分なケースがあります。 ただし、「PSEマークがあるから絶対安全」という過信は禁物です。マークがあっても、劣化や衝撃で発火する可能性は常にあります。
2.充電のタイミングに注意「充電完了後は速やかにコンセントから抜く」
「寝ている間に充電する」「外出中に充電しっぱなしにする」というのは、万が一の発火に気づけないため非常に危険です。目の届く範囲で充電し、完了したら速やかにコンセントから抜く習慣をつけましょう。
3.保管場所の工夫「リチウムイオン電池は熱に弱い」
リチウムイオン電池は熱に弱いため、真夏の車内や直射日光の当たる場所に放置してはいけません。また、万が一の発火に備え、特に大容量のバッテリーなどは「防炎バッグ(耐火バッグ)」に入れて保管することをおすすめします。
リチウムイオン電池は、現代社会の必需品であると同時に、扱いを誤れば凶器にもなり得ます。「これくらい大丈夫」という油断が、取り返しのつかない火災を招きます。 「正しく選んで、慎重に使い、適切に捨てる」。 この当たり前のサイクルを守ることが、自分と大切な人を守る唯一の方法です。
この記事の内容を参考に、まずはご家庭にある「充電が必要な製品」の捨て方を再確認してみてください。
