老後おひとりさまになったときの備え|今すぐすべきことと“もしも”の手続き【役立ち記事再配信】
女性の健康寿命は75才。認知症や体が動かなくなる前に、やっておくべき手続きを紹介する。下記の5つの中から、自分に必要なものは何か、予算などに応じて検討しよう。
【任意後見】:認知症になった時の財産管理のために
認知症になった人が契約する「成年後見」とは別に、認知症になる前に、自分の家や預貯金などの財産管理を委任契約しておくのが「任意後見」だ。認知症になった後、家の売却もしてもらえる。
みつ葉グループ代表・司法書士の島田雄左さんによると、定年前に委任契約する人が近年増えているという。
契約後は、月1回から年1回までの定期面会や電話相談を行う。そして、その回数などに応じてランニングコストがかかるため、利用開始の時期は検討する必要がある。
●相場
約3000円~+管理する財産の数%(事務所による)
●主な相談先
司法書士、弁護士、地域包括支援センター、社会福祉協議会など。司法書士などに頼む場合は、取扱件数の多い人を選ぼう。
【家族信託】:ペットのためのお金などが確保できる
自分に万が一のことがあった時、一緒に暮らしている大切なペットの行く末を案じる人は多い。何かあっても、ペットのエサ代や病院代、生涯面倒を見てくれる老犬・老猫ホームなどの施設代などは確保したいもの。そこで活用したいのが、自分の家族のための財産を、別の人に管理してもらえる家族信託だ。
「例えば2000万円の資産があるなら、そのうち300万円はペット用に信託会社に預け、残りの1700万円は親族に遺すという、資産の使い道を指定できます」(島田さん・以下同)
●相場
信託する財産に応じて0.1~1%程度
●主な相談先
実務経験の多い司法書士や行政書士に相談しよう。動物のための行政書士「動物法務士」がいる団体だとより心強い。
【遺言】:遺言執行者の負担によって無料か有料かを決める
遺言書を書く時に悩みがちなのが、遺言執行者を誰にするか。未成年者と破産者以外であれば誰にでも頼めるが、預貯金の解約、名義変更、財産の洗い出しなどに労力がかかる。
予算を抑えたいなら、自分で「自筆証書遺言」を書き、親戚や友人知人に遺言執行を頼もう。これなら無料で済む。頼みづらい場合は、有料にはなるが、行政書士や司法書士に遺言執行者を指定しよう。
「予想外の相続人が現れることもあります。その時に適切な法的処理を頼めるのも、行政書士などに依頼する利点です」
●相場
無料~財産の数%
●主な相談先
行政書士や司法書士に頼む場合、報酬金として財産の1%を取るところもあれば、財産の額に関係なく20万~30万円かかるところもあるので、必ず見積もりを取ろう。
【身元保証】:介護施設の入所時や入院時の保証人に必要
「介護施設に入る際などに保証人を立てるケースが増えています。親族が誰もいない、いても頼れない場合、身元保証サービスを使い、司法書士や行政書士が代わりに保証人になります」
行政で代行するケースもあり、東京都足立区の場合は相場より安く、年間約2400円で利用できる。ただし、利用範囲が制限され、財産要件も厳しい。
「相場は、初期費用で50万~200万円程度かかるケースも。買い物代行や身の回りの世話といったオプションをつけるとさらに高額になります」
●相場
預託金50万~200万円程度+ランニングコスト2万円程度
●主な相談先
弁護士や行政書士、医療・福祉関係のNPO法人など。葬儀や墓関連の会社が身元保証サービスを提供している場合もある。
【死後事務委任契約】:死後の葬儀や墓の手続き、遺品整理を頼みたい時に
一般的に遺言書は四十九日が終わってから開封され、そこで故人の財産贈与の意思が明らかにされる。一方、死後すぐに手続きすべき葬儀は、死後事務委任契約を結んでいれば、故人の望み通りの葬儀が執り行われる。
「散骨、埋葬、あるいは火葬だけなど、葬儀については死後事務委任契約で定めて、財産については遺言で対応する方法が最近は多いですね」
他にも、役所への届け出や、電気・ガス会社の解約など、死後に必要な諸手続きを任せることもできる。
●相場
葬儀代などの諸経費も含めて約250万円~
●主な相談先
司法書士、行政書士、弁護士、社会福祉協議会など。報酬は事務所によってまちまちなので、見積もりを取ること。
※女性セブン2018年12月13日号
●介護のお金|頼れる制度やサービスは案外ある。不安を軽減する方法