老後おひとりさまになったときの備え|今すぐすべきことと“もしも”の手続き【役立ち記事再配信】
老後をひとりで生きる準備を始めているノンフィクションライターの中澤まゆみさんから、まずすべきことを教えてもらった。
【1】自分の体を知り毎日体調をチェック
長く働き、楽しい老後を送るためには健康管理が必須。
「体調がいい時に、血圧、体温、体重を測っておきます。それを定期的に続けましょう。血圧の変動だけでも、体のさまざまな異変を教えてくれますし、体重も病気になったら急速に落ちます。また、朝起きた時に自分の顔色や舌を見たり、トイレでも便通の様子を気にしましょう。そうすると、重要な兆候を見逃しにくくなります」(ノンフィクションライター中澤まゆみさん・以下同)
体調の変化に気づいたら、かかりつけ医に相談を。
【2】気軽に話せるかかりつけ医を持つ
年を取れば取るほど、かかりつけ医の存在は大きくなるという。
「持病で定期的に通院していた人が、突然来なくなるなど、ちょっとした変化を気にしてくれるのが、かかりつけ医の利点。認知症になった時に、最初に気がついてくれるのはかかりつけ医かもしれません」
また、要介護認定や障害年金などを申請する時、医師の意見書や診断書が必要になるが、かかりつけ医なら、体の状況をしっかり理解したうえで、親身になって書いてくれることが多い。
「近所で、気軽に話せて最新の医療をよく勉強している医師を1人は見つけておきましょう」
【3】地域の中で自分の役割を見つける
住んでいる地域にどんなサービスがあるか、どこの医療機関がより親切かといった情報だけでなく、何かあった時に相談に乗ってくれたり、助けてくれたりする人が近くにいると心強い。
元気なうちに、区報や市報で告知されている地域のイベントに参加したり、地域のボランティアに応募して、人間関係を築いておこう。
「興味がある活動には自分から働きかけ、お互い様の関係を作ることが、地域での自分の暮らしにもつながっていきます。子育て経験者や子供が好きな人は、子育て支援グループに参加するのもおすすめ。例えば、『子供食堂』では、高齢者が調理や子供との触れ合いに参加します。自分にとっても楽しい時間になれば、続けやすいでしょう」
地域に自分の役割が見つかれば、そこが居場所になり、充実した老後につながる。
【4】救急医療情報キットを作っておく
ひとり暮らしをしていると、急に具合が悪くなって救急車を呼べたとしても、意識を失うなどして自分の持病や服薬状況などを説明できないケースが多い。
「そんな時に役立つのが、自分の医療情報をまとめた救急医療情報キットです」
最近は自治体で専用のキットを配布することが多くなった。保険証、お薬手帳、診察券のコピー、自分の持病、服薬状況、かかりつけの医療機関などの医療情報をまとめて付属のプラスチックの筒に収める。配布されたキットではなく、自分で作ったものでもよい。キットは、かけつけてきた救急隊員にわかるよう冷蔵庫に入れておき、「救急医療情報キットが入っています」と記した付箋や紙を目立つように貼っておこう。
外出時にも、こうした医療情報を1枚のカードにまとめて財布などに入れておくと安心だ。
【5】自治体のサービスについて知る
介護の負担を軽減するため、自分の暮らす自治体が独自で行っている高齢者向け支援サービスを調べておこう。自治体によって内容は多少違うが、介護が必要な人に紙おむつを支給したり、訪問理美容のサービスなどがある。ひとり暮らしの人には緊急通報システムの支給などもある。
さらに社会福祉協議会では、介護保険ではできない家事を支援する福祉サービスを行っている。自治体のサービスとあわせて、どれだけ充実しているかぜひ見ておきたい。
自分の自治体の高齢者向けサービスに何があるかを知っておくと、いざという時の費用負担を軽減でき、家計が助かる可能性がある。
【6】介護保険について調べておく
「要介護になった人がよく困っているのは、”介護が必要になった時、何をすればいいのか、どこに相談に行けばいいのか”ということ。まず訪ねるのは、地域包括支援センターですが、その存在を知らない人も多いんです。いざという時、何が必要で、どんな制度があるのか、最低限のことは調べておきましょう」
介護保険制度のパンフレットは、役所の介護担当窓口や近くの地域包括支援センター、在宅介護支援センターでもらえる。その際に、自分が暮らす自治体にはどんな介護支援サービスがあるのかをチェックしておくといい。