拡大する《家庭ゴミの有料化》料金は?介護用の紙おむつなどゴミが多い家庭は負担増?「自治体により減免措置もある」【FP解説】
東京都で「家庭ゴミの有料化」の検討が進み、全国的にも有料化は広がりを見せている。とくに介護中の家庭では使用済み紙おむつなどかさばるゴミも多く、気になる話題だ。すでに有料化を実施している自治体の例を参考に、制度や料金などについて、ファイナンシャルプランナーの河村修一さんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
内外資系の生命保険会社を経て、2011年に母の介護経験をもとに介護者専門FPとして独立。その後、2018年にカワムラ行政書士事務所を開業。介護や相続、親の介護をめぐる家族会議支援など、将来に備えるサポートを幅広く行う。
全国のゴミ排出量と処理費用の実態
昨年、環境省が公表した「一般廃棄物処理事業実態調査(令和5年度)」(※)によると、令和5年度のゴミの総排出量は3,897万トンで、東京ドームに換算すると約105杯分相当になります。国民1人1日当たりのゴミ排出量は851グラムで、そのうち家庭系ゴミ排出量は475グラムとなっています。
ゴミの排出量は平成26年度以降、全体としては減少傾向にあります。一方で、ゴミ全体の約7割を生活系ゴミ(家庭のゴミ)が占めており、家庭から出るゴミの排出抑制が重要な課題となっています。
また、ゴミ処理にかかる費用も無視できません。令和5年度のゴミ処理事業経費は2兆2,912億円にのぼり、これを国民1人当たりに換算すると年間1万8,300円となります。
この経費には、事業系ゴミに関する処理経費も含まれています。ゴミ処理事業は市区町村が実施主体となっており、家庭系ゴミを中心とした処理については、公費によって支えられています。家庭ゴミの有料化により、ゴミの排出を抑えようとする動機付けが生まれ、ゴミの減量化や資源化が推進されることが期待できます。
家庭のゴミ(粗大ゴミを除く)の有料化が拡大へ
同調査(※)では、1,741市区町村のうち、粗大ゴミを除いた生活系ゴミ(家庭のゴミ)について、収集区分の一部または全部を有料化している市区町村は、67.1%(1,169市区町村)になっています。
※参考/環境省「廃棄物処理技術情報」
https://www.env.go.jp/recycle/waste_tech/ippan/index.html
また、有料化を実施している自治体数は、令和元年度の1,140市区町村から、令和5年度には1,169市区町村へと、少しずつですが毎年増え続けています。今後も、ゴミの減量や処理費用の抑制を背景に、今後も生活系ゴミの有料化を導入する自治体は、さらに増えていく可能性があります。
東京都23区「家庭ゴミの有料化」どうなる?
現時点では東京都23区では家庭ゴミが有料化されていません。一方で、多摩地域の市町村では、すでに多くの自治体が家庭ゴミの有料化を導入しています。
こうした中、小池百合子東京都知事は、今年1月9日の会見で、「都内の多摩地域では、ほとんどの市町で家庭ゴミの有料化が導入され、ゴミの発生抑制に大きな効果を上げている」としたうえで、「家庭ゴミの有料化を決めるのは区市町村であるものの、東京都としても、こうした事例や効果を示しながら区市町村と連携し、ゴミの減量や資源循環を進めていく」という考えを示しました。今後23区でも議論がされていく可能性があります。
※東京都 小池知事「知事の部屋」/記者会見(令和8年1月9日)
https://www.metro.tokyo.lg.jp/governor/kishakaiken/2026/1/09
家庭用ゴミの「有料ゴミ袋」はいくらくらい?
令和3年6月に国が策定した「地域脱炭素ロードマップ」では、家庭ゴミの有料化を通じて、ごみの排出抑制や資源循環を地域で進めることが求められています。
※国・地方脱炭素実現会議「地域脱炭素ロードマップ」(令和3年6月9日)
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/datsutanso/pdf/20210609_chiiki_roadmap_gaiyou.pdf
家庭用ゴミの有料化を実施している市区町村では、専用の有料ゴミ袋を利用します。指定のドラッグストアやコンビニなどで販売されています。
では「有料ゴミ袋」はいくらくらいなのでしょうか。価格は自治体によって異なりますが、東京都内の例を見ると、一定の水準がみえてきます。
例えば、八王子市では、可燃ゴミ専用袋が中袋(20リットル)10枚入りで370円、大袋(40リットル)10枚入りで750円となっています。立川市の場合は、燃やせるゴミ用の指定収集袋が、中袋(20リットル)10枚入りで400円、大袋(40リットル)10枚入りで800円です。
また、町田市では、中袋(20リットル相当)10枚入りで320円、大袋(40リットル相当)10枚入りで640円となっています。
今回紹介した都内自治体の例では、20リットルで1枚あたり30~40円程度、40リットルで1枚あたり60~80円程度となっています。
※八王子市 「指定収集袋の種類と価格」
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/gomi/kateigomi/dashikata/p002547.html
※立川市 「家庭ゴミ指定収集袋」
https://www.city.tachikawa.lg.jp/kurashi/gomi/1001712/1001723.html
※町田市「家庭ゴミは市の指定収集袋で出してください」
https://www.city.machida.tokyo.jp/kurashi/kankyo/gomi/gominowakekata/gomi-dashikata/kanenhunen/shiteifukuro.html
介護中の家庭や高齢者世帯には減免措置も
在宅介護をされているご家庭の場合、大人用の紙おむつは「可燃ゴミ」となります(一部、リサイクルに取り組んでいる自治体もある)。紙おむつの使用料にもよりますが、有料化により負担増となる世帯も出てきそうです。
ただし、自治体によっては一定の条件を満たす世帯を対象に、ゴミ処理手数料の減免措置を設けています。
例えば、立川市では、要件に該当する世帯に対し、減免措置として指定収集袋を交付しています。一例として「要介護4または5の認定を受けており、世帯全員が市民税非課税の場合」が対象となります。毎年11月から翌年10月までの分として、燃やせるゴミ用と燃やせないゴミ用の指定収集袋が交付されます。
一方、町田市では、2025年4月1日現在、市内に住民登録がある「70才以上のかたがいる世帯で、かつ世帯員全員の2024年度市・都民税が非課税の世帯」を対象に、指定収集袋を一定枚数、無料で交付しています。
このような減免措置は自治体ごとに要件や内容が異なるため、詳細はお住まいの自治体に確認する必要があります。
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家庭ゴミの有料化【まとめ】
家庭ゴミの有料化は、全国的に広がっており、東京都内では多摩地域を中心にすでに多くの自治体で導入されています。こうした動きを踏まえると、将来的には、23区においてもゴミ処理のあり方が見直される可能性があります。
今後、ゴミ袋が有料化されることで、家計への影響も心配ではありますが、自治体によっては、一定の要件を満たす介護世帯や高齢者世帯などを対象に、指定収集袋の無料交付といった減免措置を設けている場合もあります。
ゴミ袋の価格や減免措置の内容は自治体ごとに異なるため、今後、有料化が検討・導入される際には、お住まいの自治体の制度を事前によく確認しておくことが大切です。
