猫が母になつきません 第481話「おねがい」
毎朝どんなに拒否されても先住猫のさびに猫のあいさつ《鼻チュー》をしに行くぐれ。しかしさびはすっとかわすか、「しゃーーーっ」と威嚇か、最悪は逃げるタイミングを失って猫パンチとか、とにかくずっと避け続けていました。それにめげないぐれに報いてやりたいと、「あさって、ぐれはいなくなってしまうから明日はおはようの挨拶してあげて」とさびにお願い。さびは「うーーーん」と困ったような返事をしていました。翌朝、いつものように寝室のドアを開けると、廊下で待ち構えていたぐれが飛び込んできて、さびのところに一直線。さびは避けずにじっとしていて、ぐれは念願の鼻チューを成功させました。
さすが、さび。ありがとー!私はぐれ以上に喜んでいましたが、ぐれは鼻チューをすると猫パンチされる前にさっと退散。でもその後ろ姿はうれしそうで、スキップしているように見えました。
翌日はお別れの日。前夜さびに「今日はありがとう。明日も頼むよ。ほんとにお別れだからね」とよくよくお願いしました。
朝が来て、ドアを開けるとぐれはいつものように部屋に入ってきたものの、なぜか鼻チューをしに行きませんでした。なんで今日に限って?今日でお別れとは知らないから仕方ないけど…最後の鼻チューが見られると思っていた私は思いっきり肩すかしをくらって、人間が考えるような感動的な最後なんて動物には関係ないわよね、と笑うしかありませんでした。しかし、私以上に肩すかしをくらっていたのはさびで、今日も鼻チューを受け入れる気満々だったのに無視されてしまい、しばらくの間さりげなくぐれのまわりをうろうろしてみたりしていましたが、ぐれが鼻チューをしに行く様子はなく、私は心の中でさびに「ほんとごめん」と謝りました。
ぐれは今、譲渡先でかわいがられています。まだちょっと遠慮しているらしく俺様ぶりは発揮していないようですが、きっとすぐに「撫でて」と目の前にどさっと寝転ぶようになるのだと思います。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
※現在、1話~99話は「介護のなかま」にご登録いただいた方のみご覧になれます。「介護のなかま」のご登録(無料)について詳しくは以下をご参照ください。
https://kaigo-postseven.com/156011
