暮らし

老いてからやってはいけない事3つ|ペットを飼う、子供と同居、あとひとつは?

 いつか夫に先立たれたとしたら、その先の生活は少しでも楽しく過ごしたいもの。とはいえ、誰もいない家にポツンと住むのは心細い。子供と同居しようか、ペットを飼おうか――、安易なその考えこそ“やってはいけないこと”なのだ。

1.子供と同居したのに余計に寂しくなる

 ひとり暮らしで孤独感や不安が募ると、「子供と孫のいる家で一緒に暮らしたい」と思うのは自然なこと。しかし、一緒に暮らし始めても、かえって孤独が増すこともある。

「孫たちが“おばあちゃんは家族”と認識できるかどうかは、小さい頃から一緒に暮らしているかどうかが大きく関係します。突然“今日から一緒に住むんだよ”といっても、孫は距離を感じてしまうもの。何より、小さな子のいる家庭は常に子供中心で動きます。自分がデイサービスに行く時間と子供の登校時間が重なれば、当然ながら夫婦は子供を優先して動きますし、お嫁さんにも負担がかかる。かまってもらえる、助けてもらえると過度に期待するのは禁物です」(山田さん・以下同)

 地方でひとり暮らしをしていたある70代の女性は、「ひとりでは心配だから」と都内に暮らす娘夫婦に呼ばれて同居を始めた。

「娘一家とは生活時間が合わず、家事はすべて娘がやってくれるので、家での役割がなく、肩身の狭い思いをしています。長年の友人とも離れ離れになり、一日がとても長く感じます」(70代の女性)

 子供と同居して本当に寂しさや不安が解消されるか、よく考えた方がいい。

→幸せな終の住処は自宅か施設か…最終結論!メリットデメリットを専門家が解説

2.老後に飼い始めたペットが病の原因に…

 寂しさを埋めるために、犬や猫、うさぎなど、ペットを飼い始める人もいるだろう。動物と触れ合うことは確かに孤独を癒してくれるが、飼う前に検討すべきなのは、世話ができるかどうかだけではない。

 山田さんは「場合によっては自殺行為」と語る。

「子供が独立し、夫に先立たれ、寂しさからうさぎを飼い始めた女性が、季節の変わり目に体調が急変したケースがあります。

 実はその女性は呼吸器系に疾患があって、抜けたうさぎの毛やダニが呼吸器に悪影響を与えていたのです。動物の病気が人間にうつることもあるので、新たに動物を飼うのは慎重になってほしい」

 身の回りの世話をしてくれる介助犬であっても、まず人間に犬を飼う能力と経済力がなければいけない。余裕のない状態だと、ペットも自分も不幸にするだけだ。

→話題のペット型ロボット【LOVOT】らぼっとが愛される7つの理由|温もり、鳴き声、瞳…    

3.昔の自分と比べて”ないものねだり症候群”に…

 女ひとり、最期まで生き生きと生活するために大切なこと。それは何より「気の持ちよう」だと、山田さんは言う。

「左手が動かなくなった人に“いま、どうしてほしいですか”と尋ねて、“左手を動くようにしてほしい”と言われたことがあります。でも、それを叶えることは誰にもできません。

 年を取ると、どうしても若い頃と比較してしまう。できないことばかりを追いかけて“ないものねだり症候群”になりがちです。できないことが増えたという事実を受け入れて、そのうえで、できることややりたいこと、好きなことを見つけられる人が、最期まで楽しく生きられるのです」

 誰もが思わず「昔は〇〇だったのに」「若い頃はできたのに」と考えてしまう。しかし、現実的な視点で、快適に最期まで暮らすためにどうすればいいかを考えることができれば、明るい老後が待っているはずだ。

→女ひとり死ぬ前に…老前整理の進め方|絶対に捨てておくべきものは?

教えてくれた人

山田隆人さん/大阪保健医療大学 准教授

※女性セブン2020年11月5・12日号 
https://josei7.com/

●老後ひとり暮らしのお付き合いマナー|おひとりさま向け3大サービスとは?

●おひとりさま暮らしを快適にする心のケア法|肉を食べる、朝夜着替える…気楽に生きる術

●室内飼いペットにも病原体が潜む可能性が。人への感染を防ぐには?

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この記事へのみんなのコメント

  • コッパ

    60歳の主婦です。 この3年間もう身内が亡くなり続けて、 毎年という感じになっていてとても不安です。 3年前に母を亡くし、その後愛犬を2頭続けて亡くし 今年は父と妹を亡くしました。 私は今何を楽しみに生きていってよいかわかりません。 別に今死んでもいいとさえ思います。

  • 友ちゃん

    ただ今、一人暮らし夫が亡くなって18年仕事とスイミングスクール23年通って忙しい毎日を送っています!お蔭様で元気いっぱいです。人間何か目標を持つて突き進んで行く事が精神的肉体的に良いのでは病は気から、、毎日感謝感謝です

  • 5

    自分の年取った姿は想像したくありません 老後なんていらない❗ 60代のうちポックリ逝くのが理想

  • イチロウ

    73歳の独居生活ですが、二十年以上の猫との暮らしをしています。 最愛の猫に先立たれましたが、今でも男の仔と女の仔が居ます。 他に十頭以上の猫さんを助けました。  自分が病気になればペットシッターさんに来ていただくようにしていますし、動物保護団体と契約し万一の場合には、我が家に居る猫達を保護団体に託すことにしています。 その他、今までも有料制で保護団体に託した保護猫が六頭います。 独居老人でも動物の飼育は可能です。 私のように万一の場合を考えて準備しておけば飼育が出来ます。 ただし、相応の金銭負担はしなければなりません。 動物保護団体も無料では飼育不可能ですから。 猫のために自身の健康を維持する必要がありますので、自身のためにもなります。

  • 鳥ちゃん

    初めまして 62歳で定年後介護の資格取得して、特別養護老人ホームに勤務しております。 私は動物が好きでペットとしてセキセイインコを飼っています。 ペットショップでツガイで4羽買い交尾して30羽になりました。 必死に面倒を見ていたのですが、①ケージの隙間に挟まれ身動きできなくなる ②病気になる③部屋の放鳥中に粘着性のネズミ捕りにと、様々な事故で亡くなって行くたびに悲しい思いと自責にかられました。 セキセイインコに限らず動物は大切に育てれば、とても長生きです。 しかし面倒を見きれないのであれば飼育してはいけません。 ペットも人間も不幸になります。 ご検討の参考になれば幸いです。

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