室内飼いペットにも病原体が潜む可能性が。人への感染を防ぐには?
一般社団法人ペットフード協会が行った「平成29年全国犬猫飼育実態調査」によると、飼育場所が“室内のみ”の猫は全体の74.9%、犬は33.5%だった。犬の場合は“散歩・外出時以外は室内”を合わせると、8割強が室内で飼育されており、その数は3年前から増加傾向にある。
清潔な家に閉じ込め、外出させなければ、ペットが危険な細菌やウイルスを外から持ち込むことはないと考えがちだが、それは間違いだ。
室内飼いのペットでも病原体を持っている
むしろ室内で一緒に過ごす時間が多くなり、同じ布団で寝たり、一緒に食事をするなど、ペットと人間の接触機会が増えるので注意が必要だと、白金高輪動物病院・中央アニマルクリニック顧問の佐藤貴紀さんは指摘する。
「ペットの口の中にいる常在菌から感染することもありますし、足裏や毛には、もともと多くの細菌やウイルスが潜んでいます。外出するしないにかかわらず、動物はなんらかの病原体を持っていることを忘れてはいけません」(佐藤さん)
ペットからの人への感染を防ぐには
感染を防ぐには、まず過剰な触れ合いは控えること。
「一緒の布団で寝たり、ペットに口をなめられてもそのままにしておくのは絶対にNGです。食事を口移ししたり、自分の箸やスプーンで与えるのもいけません」(佐藤さん)
通常の食器用洗剤では細菌やウイルスを死滅させられない可能性もあるので、できれば人の食器とペットの食器を洗うスポンジは別にし、ペットの食器はその都度、漂白剤などで殺菌消毒する方が望ましいという。
ペットのケアも重要となる。ブラッシングやつめ切りなど、お手入れはこまめに。ただし、必要以上にシャンプーをすると、皮膚トラブルの原因にもなるので、ペットの入浴は月1回を目安にすること。
ペットが使っているタオルや敷物、おもちゃなどにも細菌が繁殖しやすいので、これらもこまめに洗い、殺菌消毒することが大切だ。
また、ペットを飼っていなくても感染の危険性があることを忘れてはいけない。公園の砂場や庭などには、野良猫や野生動物の糞尿が残されているケースが多い。草むしりや土いじりをした後なども、必ずうがい・手洗いを。特に小さな子供が砂場の砂などを口にしないよう、注意が必要だ。
「ペットとの過剰な触れ合いは控えた方がいいですが、体をなでてあげたり一緒に遊ぶなど、適度なスキンシップはペットたちにとっても欠かせません。飼い主が正しい知識を持ち、清潔な環境を保ってあげれば、必要以上に恐れることはありません」(佐藤さん)
教えてくれた人/獣医師・佐藤貴紀さん
麻布大学獣医学部卒業後、勤務医を経て独立し白金高輪動物病院を設立。院長として勤務後、JVCC二次動物医療センター目黒病院センター長を務める。現在、目黒アニマルメディカルセンター顧問(https://mamec.wolves-tokyo.com/)。専門は「循環器」。全国に100人しかいない「獣医循環器学会認定医」。「SuperDoctors 〜名医のいる相談室〜」(https://www.youtube.com/channel/UCUxW…)にて配信中。
※女性セブン2018年7月12日号
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