【進化系デジタル補聴器ガイド 】主流は「耳穴型」か「耳かけ型」で「目立たず快適!おしゃれも楽しめる」【専門家監修】
大きい、重い、かっこ悪い。そんな補聴器のイメージは、今や過去のものである。最新のデジタル補聴器は、小さく目立たず、カラフルでおしゃれなデザインが増えている。種類や機能、価格は多岐にわたり、適切な選択をしなければ十分な効果を得られない場合もある。そこで、専門家に最新デジタル補聴器の解説をしてもらったので、是非参考にして欲しい。
教えてくれた人
田中智子さん/認定補聴器技能者
補聴器専門店「うぐいす補聴器」代表。ドイツの大手補聴器メーカー勤務時に、MBAを取得。訪問治療を行う病院の事務長を経て、現職。個人のライフスタイルに合った補聴器の提案を行う。自治体での講演多数。
三上敦史さん/リオン株式会社・医療機器事業部
耳穴型、耳かけ型が販売数の約9割
「補聴器にはアナログ式とデジタル式があり、現在は後者が主流です。デジタル式は、自動的に雑音を抑制し、必要な会話音やテレビ音だけを増幅してくれるなどの特徴があります」
とは認定補聴器技能者で、補聴器専門店代表の田中智子さんだ。デザインも、目立ちにくい「耳穴型」と、耳に引っかけて使う「耳かけ型」の需要が約9割を占める。
耳穴型には既製品とオーダーメードがあり、既製品はすべて同じ形だが、大きさの異なる耳栓が付属。自分の耳穴に近い耳栓を本体に装着して使う。オーダーメードに比べ安価なのが魅力だ。一方、国内最大手のリオネット補聴器では、オーダーメードの耳穴型補聴器にこだわる。
「耳の型を取り、世界に1つだけの補聴器を製造しています。つけ心地が快適で、はずれにくいメリットがあります」(リオン株式会社医療機器事業部の三上敦史さん・以下同)
耳かけ型も小型化しており、特に女性は毛髪で隠れて、目立ちにくい。
「耳かけ型は、音を出すレシーバーが本体に内蔵されたBTEタイプと、レシーバーを直接耳穴に入れるRICタイプに分かれます」
耳穴型、耳かけ型ともに、ほとんどがスマホと連携。メーカーの公式アプリをダウンロードすることで、音量や音質の調整はもちろん、静かな室内から騒がしい屋外に出たときなど、プログラムの切り替えも可能だ。
シェアは少ないがポケット型も根強い人気だ。
「大きくて操作がしやすく、外出が難しい人や臥位(がい)で過ごす時間が長い人におすすめです」
補聴器一覧表
多くの補聴器専門店では、約2週間の試聴期間を設けている。認定補聴器技能者のアドバイスや、下表のメリット、デメリットを検討し、ライフスタイルに合わせて選ぶといい。
【1】耳穴型
<価格(片耳)>
10万~65万円
<メリット>
●小さくて目立たない。
●眼鏡、マスクをつけていても邪魔にならない
●聞こえ方が自然
●方向感覚が得られやすい
●オーダーメードで作れるタイプもあり、耳にフィットしやすい
<デメリット>
●自声の響きが気になる場合がある
●小さいので手先が器用でない人は扱いにくいことも
●定期的な掃除が必要
●耳あかが湿っているタイプの人だと故障のリスクが高い
【2】耳かけ型(BTEタイプ)
<価格(片耳)>
10万~65万円
<メリット>
●多機能
●耳せん部分の素材が柔らかく耳にやさしい
●掃除がしやすい
<デメリット>
●眼鏡、マスクをつけていると邪魔になることも
●耳穴型、耳かけ型のRICタイプに比べると目立つ
【3】耳かけ型(RICタイプ)
<価格(片耳)>
10万~65万円
<メリット>
●多機能。
●耳せん部分の素材が柔らかく耳にやさしい
●音がクリア
●耳かけ型BTEタイプに比べて目立ちにくい
●電話のハンズフリー通話など機能が豊富
<デメリット>
●眼鏡、マスクをつけていると邪魔になることも
●耳かけ型のBTEタイプに比べるとゴミ・耳あかがたまりやすく、掃除がしにくい
【4】ポケット型
<価格(片耳)>
5万~9万円
<メリット>
●安価
●操作が簡単
●紛失しにくい
●壊れにくい
●メンテナンスが楽
<デメリット>
●大きくて目立つ
●コードが邪魔
取材・文/植木淳子 イラスト/藤井昌子 写真/うぐいす補聴器、リオネット補聴器、スターキー
※女性セブン2025年8月14日号
https://josei7.com
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