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健康

「何を選ぶか」で老後の健康が変わる!医師が教える5つの分かれ道「肉や魚を優先 野菜は後で食べるが正解」

 人生100年時代は「老後」が長い。定年後の選択を間違えると、その後何十年にもわたって苦しい生活が続く一方、正しい決断をすれば充実の後半生が待っている。「遅咲き老後」と「落ちぶれ老後」を分ける境界線はどこにあるのかーー人生の課題に向き合う識者たちが最適解を教える。

教えてくれた人

谷本哲也さん/ナビタスクリニック川崎院長、大櫛陽一さん/東海大学医学部名誉教授

「ピンピン」or「ボロボロ」健康で差が付く5つの選択

 病気との付き合い方や薬の飲み方は、老後の生活の質に大きな影響を与える。健康の常識だと思っていたことが、身体をボロボロにしていた…。そんなことがないように気をつけて!

選択1:検査受けるかやめるか

 人生の後半戦を左右するのが体の健康だ。だが、健康のために受けている検査が逆効果になっているケースは多い。そのひとつがバリウム検査だ。

 ナビタスクリニック川崎院長の谷本哲也医師が指摘する。

「バリウムは検査としては手軽ですが、胃がんの早期発見には向いていません。胃カメラに精度で劣るうえ、バリウムが詰まって手術となるケースもあります。胃がんを心配するならまずはピロリ菌の検査。感染がなければ必ずしも毎年の胃カメラは必要はありません」

 腫瘍マーカーもメリットが少ないという。

「あくまでがんが見つかった人の経過観察に使うもので、初期のがんを発見するためには役立たない。また、高価なPET-CT検査や遺伝子検査もがんの早期発見に寄与するというエビデンスはありません」(谷本医師)

 脳ドックも慎重になるべきだと谷本医師は言う。

「心配しなくていいレベルの小さな異変を見つけて不安になってしまうケースが多い。血管系の病気を持つ家系の場合は念のため受けてもいいですが、検査のメリットは明確ではありません」

 逆に受けたほうがいい検査は何か。

「日本人で患者が増加中の大腸がんは便潜血検査と内視鏡検査を組み合わせれば効果が高い。とはいえ毎年必ず大腸内視鏡検査を受ける必要はありません。一度受けてみて綺麗な腸なら数年受けなくていいケースもあります。もしもポリープが見つかれば定期的に受けることを勧めます」(同前)

選択2:がん手術受けるか避けるか

 手術を受けて反対に体を弱らせることもある。

「個人差もありますが、前立腺がんや甲状腺がん、腎がんなどの一部で進行が遅いタイプは急いでオペに踏み切ると術後のQOL(生活の質)を下げるリスクがあります。悪性度が低いタイプのがんは経過観察し、進行したら速やかに対処するのがベター。また体の弱った人ではリスクの高い手術より、緩和ケアを選択したほうが患者や家族の幸せにつながるケースもあります」(谷本医師)

 一方で積極的に受けたほうがいい手術もある。

「胃がんや大腸がんの早期発見のケースです。腸の表面の切除や、腹腔鏡で小さな穴をあける術式であれば高齢の方でも耐えられると思います。初期であれば開腹でも比較的低侵襲の術式があります。あっという間に終わりますよ」(同前)

 白内障の手術も短時間で終わるうえ、体への負担は少ない。

「術式の進歩でリスクが低く手軽にできます。治したほうが生活の質がぐっと良くなるので、我慢せずに積極的に受けていいと思います」(同前)

選択3:薬飲むか飲まないか

 年を重ねるにつれて薬の副作用を招きやすくなる。代表的なのが多剤併用のリスクだ。谷本医師が語る。

「特に副作用が出やすい部位は肝臓や腎臓です。これらの器官への負担を減らすためには薬の量を減らすことなのですが、臓器別に診察を受けることでそれぞれの診療科で薬を処方されるパターンが多い。多剤併用を回避するには、お薬手帳での管理が必須です。他に高齢者が副作用に注意したい薬は、抗コリン薬と睡眠薬。これらは認知機能を低下させる危険性があります」

 75才以上になると副作用が出やすい薬は一覧表にまとめたので参考にしてほしい。

選択4:通院先はひとつか複数か

 病院との付き合い方も健康を左右する。ここでも多剤併用を避ける通院を心がけたいと谷本医師。

「基本はかかりつけ医のいるクリニックに通うことですが、症状がすぐ治らないからと次々に違う病院にかかる“ドクターショッピング”をする人もいます。治療の経過を共有できず、検査の重複や多剤併用に繋がります。別の医療機関に行きたい場合は紹介状を書いてもらいましょう」

 多くの科に同時にかかっている場合も薬の重複などに注意が必要だ。

「総合的に診てくれる内科の医師に相談するといいでしょう」(谷本医師)

選択5:肉か野菜か

 高齢になれば過度の節制よりも体力維持のためしっかり食べることが大事になる。

「理想は肉も野菜もバランスよく食べることですが、年を重ねるごとにフレイル(虚弱)のリスクがあるので、意識して肉を食べてほしいですね。筋肉量を減らさないためには魚と肉をよく食べて体格に合わせた量のタンパク質を摂ることが大切です」(谷本医師)

 一方、過度な “ベジファースト”は避けたい。

「野菜を肉などより先に食べることで血糖値の上昇を抑えるなどの効果がありますが、高齢になると野菜を先に食べ過ぎてタンパク質が摂れなくなるケースがあります。肉や魚を先、その後に野菜や炭水化物などを摂るといい」(同前)

※週刊ポスト2025年8月15日・22日号

●「寝たきりになる人・ならない人の」生活習慣5つのNG事例を専門家が解説

●「60代の生活習慣が老後の健康を左右する」医学的根拠に基づく最新の<健康常識8選>を医師が解説

●夏場に気をつけたい薬|頻尿治療薬は「発汗を抑制することにより熱中症のリスクが」下痢薬は「不整脈などのリスクも」【医師監修】 

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