骨粗しょう症を遠ざける!骨を鍛える「骨トレーニング」|骨を強くする食事と9つの習慣
更年期を迎えると、女性ホルモンの減少で骨密度が低下することは、女性にとって大問題。骨粗しょう症になって骨折しやすくなるだけでなく、頭蓋骨の骨密度低下が“老け顔”を招く原因であることもわかっている。つまり、全身の健康と容貌の若々しさを保つカギこそが、“骨トレ”にあるのだ!
骨トレは、骨折予防や美容、ボケ防止にも効果的。以下、その方法を見ていこう。
「食べて」骨を鍛える
骨を強くする食事というと、カルシウム摂取を連想するが、実はカルシウムを摂るだけでは骨は強くならない。
骨を作り出すには、骨の材料となるカルシウムと、その吸収を高めるビタミンD、カルシウムを骨に定着させるビタミンKをバランスよくする必要がある。骨トレを提唱する内科医の藤澤孝志郎さんは、こう語る。
「具体的にはカルシウムが豊富ないわしなどの魚類のほか、手軽に楽しむなら、さばの水煮などの缶詰もおすすめ。そのほか、女性ホルモンに似たイソフラボンが豊富な木綿豆腐もプラスすれば、最強の組み合わせになります」(藤澤さん)
生しいたけは天日干しをすると、ビタミンDの量がアップする。
そのほか、ビタミンKは脂溶性なので、ほうれん草や小松菜とオイルを合わせて食べると、吸収率がアップすることも、覚えておきたい。
●骨を強くする食の公式とは
「カルシウム+ビタミンD+ビタミンK」
これらの栄養素を組み合わせることが大切!
●カルシウムを多く含む食品
干しえび 5g 355mg
わかさぎ 60g 270mg
さばの水煮缶詰 100g 260mg
牛乳 200g 220mg
スキムミルク 20g 220mg
ししゃも 50g 175mg
小松菜 80g 136mg
プロセスチーズ 20g 126mg
ヨーグルト 100g 120mg
豆腐 75g 90mg
青梗菜 80g 80mg
真いわし 100g 74mg
納豆 50g 45mg
※食品、1回の使用量(g)、カルシウム(mg)の順。
●ビタミンDを多く含む食品
鮭 60g 19.2〔768〕
うなぎの蒲焼き 100g 19.0〔760〕
さんま 60g 11.4〔456〕
ひらめ 60g 10.8〔432〕
いさき 60g 9.0〔360〕
たちうお 60g 8.4〔336〕
かれい 60g 7.8〔312〕
めかじき 60g 6.6〔264〕
なまり節 30g 6.3〔252〕
きくらげ 1g 4.4〔176〕
※食品、1回の使用量(g)、ビタミンD(µg)〔U〕の順。
●ビタミンKを多く含む食品
納豆 50g 300µg
卵 50g 7µg
ほうれん草 80g 216µg
小松菜 80g 168µg
にら 50g 90µg
ブロッコリー 50g 80µg
キャベツ 50g 39µg
サニーレタス 10g 16µg
カットわかめ 1g 16µg
のり 0.5g 2µg
※食品、1回の使用量(g)、ビタミンK(µg)の順。
毎日手軽にできる「骨トレ」とは?
筋トレのような本格的な運動をしなくても骨の生成に効果的な「骨トレ」を、前出の藤澤さんが考案。道具もいらず、足腰に自信のない人でも手軽にできる運動ばかりなので、毎日続けてみてほしい。
●まず自分の骨密度を知ろう
「骨粗しょう症」とは、骨組織がスカスカで、もろくなっている症状を指すが、自覚症状が少なく、転倒しただけで寝たきりの生活になってしまうこともある。そうならないためにも、まずは自分の骨密度を知ることから始めてほしい。それには自発的に骨検診を受ける必要がある。
代表的な検査法には、
・足で測る「超音波法」
・手のひらで測る「MD法」
・全身で測る「DXA法」
などがある。最近は、自治体や薬局でも、調べられるところが増えてきている(詳細は下記参照)。
もしも血縁関係のある近親者に骨粗しょう症の人がいる場合、体質を受け継いでいる可能性がある。また、身長が若い時に比べて3cm以上縮んでしまった場合は、すでに骨密度低下が進行している可能性もあるので、積極的に骨検診をしてほしい。
そのほか、小柄でやせている、少食・偏食、運動不足の人なども、骨検診を受けることをおすすめする。
●骨密度は病院以外でも調べる方法
骨密度は役所や薬局でも測定してもらえるところがある。
例えば東京都新宿区の場合、20才以上の区民を対象に「骨粗しょう症予防検診」を実施。かかとでの超音波法測定、医師による結果説明、健康・栄養相談が受けられる。受診は1年度に1回で費用は300円。
薬局では、大手チェーンの『スギ薬局』(https://www.sugi-net.jp/service/measure.html)が約20店舗に骨密度測定器を設置し、無料で測定を実施。さらに、同社出店エリア(東京・愛知・大阪周辺)で年10回程度「健康増進セミナー」を開催。会場で骨の健康チェックができる。参加は申し込みが必要だ。
また、同じく薬局チェーンの『トモズ』では、月に2~3回、各店を巡回して無料の「骨密度測定会」を行っている。生活習慣などに関するアンケートに答えてから、骨密度を測定し、その結果をもとに管理栄養士による栄養相談や食生活のアドバイスが受けられる(詳細はトモズの公式ホームページhttp://www.tomods.jp/soudan/を参照)。
このような測定会を利用して、年に1度は骨密度の測定をしておきたい。
「動いて」骨を鍛える!
1.【起床時】カーテンを開け、お日様にごあいさつ
朝起きたら日光を浴びる。紫外線を浴びると体内でビタミンDが生成され、カルシウムの吸収率を高めて、骨を強くする効果が。ただし、浴びすぎはメラニンの生成が優位になるので注意。1日15分程度でOKだ。
2.【歯みがきのついでに】かかと落としで骨刺激を朝の日課に
足に衝撃を与えて骨芽細胞を刺激し、骨を作り出すトレーニング。
【2】足の力を抜き、かかとをストンと落として衝撃を与える。
【1】、【2】を1日10回。洗面台につかまって行ってもOK。
3.【家事の合間に】手足ぐるぐる体操と両手押し
ストレッチを兼ねて骨を鍛える体操。
【2】手首のスナップをきかせるように10秒間ぐるぐる回す。反対方向も同様に。
【3】片足のつま先を床につけて10秒間回す。反対の足も同様に。
4.【テレビを見ながら】
毎日行うことで腕の骨と筋肉が鍛えられるストレッチ。
【2】両手で5秒間全力で押し合う。最低1日1回行う。
5.【寝る前に】ウミガメ式腕立てもどき
毎日行うことで肩の骨が鍛えられ、骨折のリスクも軽減。腕立て伏せのように体を浮かせる必要はなく、筋肉を使わずに効率よく骨に圧を加えることができる。
【1】腹ばいになって、体の両脇で手をつき、あごは軽く上げる。
【2】手に力を入れて床を押す。
【3】10秒間押したら力を抜く。
【1】~【3】を10回行う。朝、布団の上で行ってもよい。
6.【階段で】一段ずつしっかり踏みしめて階段上り
運動効果が高いことで知られる階段の上り下り。もちろん足の骨を鍛える効果もあるが、重要なのはやり方。骨に圧をかけると電気が起こり(ピエゾ電気効果)、それが刺激となって骨細胞が活性化する。階段を上り下りする時は、一段一段しっかりと踏みしめて上り下りすること。衝撃の強さではなく、衝撃を受けた回数が大切なので、一段飛ばしは×。
7.【電車の中で】通勤中につり革でトレーニング
電車内のつり革の輪の中ではなく、外側のなるべく上の部分をつかんで、グッと力を入れて5秒間キープするだけ。手の骨を鍛えるのと同時に、握力アップも期待できる。
8.【プールで】水圧を受け、底を踏んで、水中ウオーキング
プールでは水中ウオーキングがおすすめ。腕を大きく振って足を上げ、プールの底を足でしっかり踏むのがポイント。水から受ける圧力と、プールの底から伝わる圧力の相乗効果で骨トレの効果は大きい。
9.【プールで】ヘリにつかまり、ひざに優しい水中スクワット
スクワットも水中ならひざや腰への負担が軽くなるのでおすすめ。
【1】プールサイドに手を置き、脚は肩幅の広さに開く。
【2】背筋を伸ばしたまま、椅子に座るようなイメージで深めに腰を落とし、また、ゆっくり腰を戻す。これを30回行う。
教えてくれた人
藤澤孝志郎さん/日本内科学会認定内科医。Dr.孝志郎のクリニック院長。著書に『世界一効率よく若返る!1日5秒骨トレーニング!』など。
イラスト/飛鳥幸子
※女性セブン2018年11月1日号
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