【横浜市】注目の住宅型と介護付有料老人ホームまとめ
オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。
東京近郊の巨大都市として多くの人口を抱える神奈川県横浜市。海沿いと内陸部では全く違った顔を見せる街だが、昭和の時代に開発された住宅地では高齢化率が高まっており、高齢者向けの住まいのニーズが高まっているという。そこで今回は神奈川県横浜市にある住宅型有料老人ホームと介護付有料老人ホームを紹介する。
看取りまで対応している住宅型有料老人ホーム「ナーシングホーム横浜・長者町」
横浜市営地下鉄ブルーライン「伊勢佐木長者町」駅より徒歩2分、JR「関内」駅から徒歩7分。横浜の中心部からほど近い場所にある「ナーシングホーム横浜・長者町」。ここには自立の人向けの一般居室と見守りや介護を必要とする人向けの介護居室が用意されている。
「ナーシングホーム横浜・長者町」の特徴は自立の状態で入居し、介護が必要になったら同じ建物の介護フロアに移り住めること。医療機関との連携により看取りまで行っているので、自立の状態で入居してから、最期の時まで過ごすことができるという。
「6階から9階は自立型の一般居室、3階から5階は介護居室とフロアごとに分けています。3階は医療依存度が高い方、4階は一部介助、5階は自立に近い方のためのフロアにしています。6階では元々飼っていたペットと一緒に住むことができます」(運営会社YSナーシング取締役の菅野智さん)
介護居室に移り住むタイミングについては杓子定規に判断するのではなく、入居者本人や家族とも相談しながら判断していくという。
「介護居室に移るかどうかを判断するための基準は、あえて明確にはしていません。例えば要介護3でも、認知症がなくてご自分のことがある程度できればヘルパーさんに来て頂くなど、外部サービスを利用しながら一般居室にそのままお住まい頂けます。私たちスタッフから見て、1人ではそろそろ危ないだろうという段階になってからお声がけをしています」(ナーシングホーム横浜・長者町施設長の笠間恵さん)
自宅から次のステップとして介護居室に移り住むことに抵抗がある人も、ワンクッションとして自立型の部屋で生活ができるので、抵抗が少なく入居できることが多いのだという。
介護居室は3フロアに63室が用意されている。18.04平方メートルのタイプが60室、22.52平方メートルのタイプが3室。その全てができる限り自力で生活できるように配慮された作りになっている。特徴的なのがベッドからトイレまでの動線が短く、移動しやすいようになっていること。
「ベッドに寝ている状態からトイレに行くまで1つの動作で行けます。そのため、介助をされる側もする側も負担が少なくて済みます。排泄を最期の時まで自力でするということを重視しています」(菅野さん)
体の自由が段々きかなくなってきても、できるだけ長く自力でトイレに行き、排泄ができるように考えて作ったという。また、居室外にも季節のものやかさばる介護用品の収納スペースが全居室に設置されているので、部屋を有効活用できるそうだ。
→看取りまで対応している住宅型有料老人ホーム<前編>
→看取りまで対応している住宅型有料老人ホーム<後編>
短期入居から看取りまで対応する住宅型有料老人ホーム「輝の杜」
ヨーロッパの城壁で囲まれたような街並みが特徴的な神奈川県横浜市の「マークスプリングス」。総戸数734戸の大規模マンションと一戸建てからなるこの街は、2003年に完成し、敷地内には薬局やコンビニエンスストア、天然温泉、託児所、川の流れるウォーターガーデンなどが揃っている。やさしいクリーム色で統一された街並みはテレビドラマの舞台にもなったことも。
「生涯住み続けられる街」がコンセプトのマークスプリングス内には、今回紹介する住宅型有料老人ホーム「輝の杜」の他に、デイサービスや内科・小児科、歯科があり、住民の健康を支えている。
神奈川県で最初の住宅型有料老人ホームとして「輝の杜」を開設するなど、地域の高齢者福祉のニーズをいち早く掴んで貢献してきた「合掌苑」だが、2019年7月から新しい短期入居サービスを始めたという。1か月以上・半年未満という期間のサービスを新たに打ち出した狙いを聞いてみた。
「病院からは今、早期退院を求められますが、退院してもすぐには自宅に戻れないケースが多いです。そういったニーズに応えるために、短期入居契約という新しいプランを設けました。こちらで健康状態を整えて生活改善を図り、次のステージにつなげることを目的として使っていただきたいと思っています。私たちは社会福祉法人として、地域のニーズを汲んでいく使命があります。病院から出ないといけないのに特養や老健はいっぱいで入れないので、輝の杜で過ごせないかというご要望を数多く頂きました。老人ホームも時代に合わせてその役割が少しずつ変わってくると考えています」(社会福祉法人合掌苑のお客様相談室マネージャーの神尾昌志さん)
輝の杜のアクティビティには「グッドタイムクラブ」と「for you」の2種類がある。グッドタイムクラブでは、風鈴作りや夕涼み会といった季節に合わせたイベントや、スタッフによるフラワーアレンジメントなどの各種サークル、外部講師によるクラブ活動を行っている。フォーユーは介護度が高い入居者向けで、個別にリクエストを受けているという。
「for youでは外出をされたいという希望が多く、外食や1泊旅行に出かけることもあります。介護度5のお客様のご家族様からの要望でホテルに1泊したこともあります。日中はご家族様とお過ごしになり、必要に応じて夜間含め介護対応をさせていただきました」(社会福祉法人合掌苑のお客様相談室マネージャーの神尾昌志さん)
この日に行われていたアクティビティは生け花。講師役の職員は生け花の経験があるという。花器を選ぶところから始まり、一人ひとりの様子に目を配りながら明るく盛り上げる。入居者同士の会話も弾み、笑顔がこぼれている様子が印象的だった。
→短期入居から看取りまで対応する住宅型有料老人ホーム<前編>
→短期入居から看取りまで対応する住宅型有料老人ホーム<後編>
看護師と理学療法士が常勤している介護付有料老人ホーム「カーサプラチナみなとみらい」
その名の通り、「プラチナ品質の暮らし」を提案する「カーサプラチナみなとみらい」。機能的な価値と情緒的な価値が調和した質の高い暮らしを目指し、介護が必要となった人にメディケアサービスと上質な住環境を提供。専門職が常勤で入居者にサービスを提供しているので、本人はもちろん、家族も大きな安心を得られるという。
ここには看護師が24時間常駐しているので、常時医療行為を必要とする人も安心して入居できそうだ。胃ろうやたん吸引といった看護師のみができる医療処置を日中だけでなく、夜間にも対応してくれる。
他にも、尿道カテーテル、ストマ(人工肛門)、ペースメーカー、透析、在宅酸素、褥瘡、インスリン注射、中心静脈栄養(IVH)、認知症についても相談可能とのこと。また、急な体調の変化や転倒などでケガをした際にも、看護職員がいるため協力医療機関の医師との連携も適切に行われるので、離れて暮らす家族も安心だ。
各地の有料老人ホームを取材していると、リハビリの充実を求める人が増えてきているという話をよく聞く。自分の足で自由に歩いて、好きなことを楽しみたいということは誰しもが願うことなのだろう。このような要望に応えるために、リハビリのための設備を充実させ、国家資格である理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職を入れている施設も増えてきた。
そこでチェックしたいポイントが、これらの専門職が常勤か否かだ。「カーサプラチナみなとみらい」には理学療法士が常勤しており、リハビリ計画を作り、実施している。片岡靖雄さんは常勤の理学療法士として日々、入居者に個別リハビリや集団リハビリを提供している。実際のリハビリの様子も見せてもらい、常勤していることのメリットなどについて聞いた。
「常駐でいることのメリットは、施設内だと転倒などの事故があるので、その対策ができることです。私は病院での勤務経験もあるので、理学療法士目線で痛みがないか、炎症がないかなどをチェックしています。動作を見て不自然なところはないかや潜在的な異常の発見も早期にできます」(片岡さん)
片岡さんによると、痛みを訴えるのが苦手な人もいるので、動作を注意して見ることによって異常を早期に発見できるのだという。痛い方の足で踏ん張った時に顔をしかめたりすることなど、ちょっとした変化を見ているそうだ。
毎日様子を見ているため、足を引きずっているなどの変化にも気付きやすい。介護スタッフとも密に情報共有し、事故防止や異常の早期発見に務めているという。
→看護師と理学療法士が常勤している介護付有料老人ホーム<前編>
→看護師と理学療法士が常勤している介護付有料老人ホーム<後編>
いかがだっただろうか。同じ横浜市内であっても立地や目的、得意分野にもよって生活の質は大きく違ってくる。横浜で理想とする老後の暮らしを実現する希望する場合、まずは近くの施設を見学してみるのも良さそうだ。
撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。