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《母の在宅介護18年》『あさイチ』キャスター・駒村多恵さんが明かす仕事と両立の極意 「自分を犠牲にしない」自分軸を保つためのポジティブな線引き 

進行性の病気を患う母親を、2007年から18年間にわたり在宅で介護しているフリーキャスターの駒村多恵さん(50歳)。父親が亡くなってから母親と2人で暮らしていた駒村さんは、働きながら自宅で母親を支え続ける道を選んだ。ポジティブにシングル介護をするポイントを聞いた。 【全3回の第1回】

要介護5の母がコロナ感染したら今生の別れになると恐怖 

――母親に介護が必要になるとわかった当時、母親は68歳で駒村さんは32歳。どのような状況だったのでしょうか? 

駒村さん:青天の霹靂といいますか、医師に介護が必要だと言われても、まだ母は動けましたし、信じられない気持ちでした。それまで介護とは無縁で知識もなかったので、とにかく調べようとネットで検索して情報を集めました。“敵”を知るのが大事だと考えたんです。 

確実に進行していく病ということは、死へのカウントダウンが始まっているということ。今まで考えたこともなかった、亡くなるという現実が最終的には待ってるんだと突きつけられました。ただ、ショックすぎてこの頃の記憶は霞んでいます。 

――今年で介護19年目。介護で一番つらかったことは? 

駒村さん:一番大変だったのはコロナ禍です。母は要介護5になっていたので、コロナにかかると重症化して状態が悪化してしまうのではないかと心配でした。感染しないように配慮はしていましたが、万が一のために、濃厚接触者になった場合や、コロナに感染した場合に分けてチャートを作ったんです。 

ケアマネジャーさんと万全の対策を話し合っていたはずが、いざ私がコロナに感染した時、シミュレーション通りにはいきませんでした。喉が痛いなと思って自費PCR検査を受けたところ、メールで届いた結果はまさかの「陽性」。仕事仲間などにうつしていたらどうしようという不安と、母に感染させていたらと恐怖を感じました。 

要介護5でオーダーメイドの車椅子に 

駒村さん:私は軽症で入院する必要はありませんでしたが、ホテルで療養する必要がありました。その間、母は訪問診療してくださっている病院に入院できることになったのですが、その病院まで運搬するのが大変でした。 

実は、ケアマネジャーさんとのシミュレーションでも、運搬が一番の問題だと、色々なところに相談に行ったりして危惧していたのですが、それが現実になってしまいました。防護服を着用し、車椅子に対応してくれる搬送サービスを、ケアマネジャーさんと手分けして必死に探しました。

 なんとか見つかったのですが、陽性が判明した日から4日間は自宅で母と2人で過ごすことになりました。感染対策はしましたが、母の命を脅かしていることに胸が締め付けられる思いでした。結局、母は感染していなかったので安堵しましたが、またそれとは別のシーズンに母がコロナに感染してしまい、入院して3週間ほど回復しない期間がありました。その時も、今生の別れになるかもしれないと眠れない日が続きました。 

――2017年ころから母親は要介護5に。生活は変わりましたか? 

駒村さん:生活は一変しますね。まず要介護3のときに車椅子が必要になったので、室内でも車椅子が通れる動線を作ったり、介護ベッドを入れたり、手すりを増やしたりと準備をしたのですが、要介護5でまた福祉用具から何から考え直して、生活環境を整えました。 

車椅子はチルト機能(座った角度を一定のまま倒せる)とリクライニング機能のあるものにして、最終的にはオーダーメイドの車椅子になりました。要介護5になると体幹保持ができずに首が後屈してしまうため、首をホールドする物を作ったんです。市販の車椅子にもヘッドレストは付いていますが、それだと体勢がずれてしまいました。 

介護はチームプレー、1人で抱え込まない 

――同じ部屋で寝て、母親の体調を確認してから仕事に行かれているそうですね。ポジティブに仕事と介護を両立されている秘訣を教えてください。 

駒村さん:介護を始めた当初から、「介護ばかりしない、やりたいことは全部やる」と決めていました。何かをあきらめるのではなく、どうすれば実現できるのかをとことん考え抜く。それでも難しければ、「仕方ない、次へ行こう!」と潔く切り替えるようにしています。そうすることで自分軸がぶれず、すべてが自分の選択であるため、「母のために犠牲になっている」という感覚にはなりません。 

子供だからという義務感で介護をしているわけではないし、仕事もしたいからしている。旅行は1泊は難しいけれど、デイサービスで母を預かってもらっている時間の中で、どこまで行けるかチャレンジをしてみるとか。例えば、何時にどういうルートで出かけたら、温泉プラス、何かのアクティビティをこなして時間内に帰宅できるか候補地ごとに考えて気分でチョイス。行けたら達成感もあるし、すごく楽しい。 

趣味のタップダンスも月に2回は行っています。レッスンが終わって帰ってくるまでに3時間ほどかかりますが、当初提案されたデイサービスの送迎の時間だと少し間に合わなくて、「負担でなければ15分ほど遅くしてもらえませんか?」と相談したら、時間を組み直してくださいました。 

そうやっていろんな方に相談して、助けていただきながら介護をしています。母と2人暮らしなのでシングル介護といわれますが、1人でやらなきゃいけないとも思っていません。そもそも介護はチームプレーなので、1人で抱え込むという発想もありません。 

それに、母の希望から始まった在宅介護ですが、在宅にこだわっているわけではないんです。できるところまでやろうと続けていたら、案外できちゃった、という感覚です。もし、24時間の痰の吸引や酸素マスクなど、医療的なケアが常時必要になったら、私は仕事に行けなくなってしまうので施設にお願いすることになります。そういう線引きも決めています。 

◆フリーキャスター・駒村多恵 

こまむら・たえ/1975年2月18日、大阪府生まれ。フリーキャスターとして報道・情報番組を中心に活躍、素顔を引き出すインタビュアーとして高く評価される。実母の在宅介護を約15年以上続けており、仕事をするかたわら介護福祉士や介護食士の資格を取得。現在はNHK『あさイチ』のサブキャスターとして、料理・園芸コーナーを担当する他、介護に関する講演なども行う。 

撮影/小山志麻 取材・文/小山内麗香 

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