注目の酢酸菌の力|二日酔いの予防や肝脂肪の蓄積軽減も!
新型コロナなどのウイルスや最近から体を守る防御機能ともいえる免疫。その免疫力を高める乳酸菌などの「菌」への期待が高まる中、新たに注目を集めているのが「酢酸菌」だ。酢酸菌には、どんな効果があるのだろうか?
酢由来の「酢酸菌」のすごい働きとは
昔から、酢は「お酒の酔い覚ましによい」といわれるが、酸っぱさが胃の不快感を解消するだけではない。「酢酸菌」の働きによる、深い意味が隠されていたのだ。
●アルコール分解酵素とアルデヒド脱水酵素の力
酢酸菌には、アルコールに関連した健康パワーもある。酢由来の酢酸菌を研究しているキユーピーによると、日常的に飲酒経験のある成人男性を対象にした試験では、飲酒時に酢酸菌酵素を摂取することで、呼気と血中のアルコール濃度が低下したという報告がある。
さらに、マウスによる実験では、肝機能の悪化や肝臓への脂肪蓄積が軽減するという結果も発表されている(グラフ参照)。これらは、酢酸菌の持つ「アルコール分解酵素」と、「アルデヒド脱水酵素」という2つの酵素の力が関係していると考えられるのだ。
「酢は紀元前5000年からある最古の調味料で、さまざまな健康効果や殺菌作用があることで知られています。果実や穀物をアルコール発酵させたものに酢酸菌を加え、酢酸発酵と熟成を経て造りますが、この工程は、人がアルコールを摂取したときに肝臓内で行われる代謝のプロセスと同じです」(イシハラクリニック副院長、石原新菜さん)
→新型コロナ対策に酢酸菌の力が注目!乳酸菌と併せて摂るのが◎
<酢ができるまで>
●飲酒の際、酢酸菌を摂ればアルコールが吸収される前に体内で分解される
酢酸菌は、表面に酵素がむき出しになっているため、アルコールと触れると分解が始まるという。つまり、飲酒する際に酢酸菌を併せて摂れば、アルコールが胃と小腸で吸収される前に、体内で分解できるのだ。
◆酢酸菌を摂った場合一般の代謝
酢酸菌がなければ、アルコールは肝臓に入るまで無毒化されない。肝臓に送られるアルコールが少しでも減れば、肝臓の負担が減ってアルコール代謝がスムーズに進み、二日酔いが予防できると考えられるのだ。にごり酢などを使った料理と一緒に飲酒するのもいいが、ろ過している一般的な酢に酢酸菌はほとんど含まれていないので注意したい。
教えてくれた人/石原新菜(いしはら・にいな)
イシハラクリニック副院長。医師。帝京大学医学部卒業後、大学病院での研修を経て、現在、自然医学の専門家で医学博士の父、石原結實氏が院長を務めるイシハラクリニックで、漢方医学、自然療法、食事療法により、さまざまな病気の治療にあたっている。著書に『冷えを治せば病気もよくなる』(Gakken)、『病気にならない蒸しショウガ健康法』(アスコム健康BOOKS)など。
イラスト/こさかいずみ
※女性セブン2020年3月12日号
https://josei7.com/