コロナ給付金の疑問|30万円給付は誰がもらえる? 年金暮らしは?
新型コロナによる緊急経済対策は、過去最大の約108兆円規模となり、給付金や支援金が盛り込まれた。1世帯30万円の給付金はどうなる? 介護保険料の免除も? コロナ給付金についてファイナンシャルプランナーの大堀貴子さんに解説いただいた(※2020年4月16日追記)。
1:コロナ給付1世帯30万?「生活臨時給付金」
1世帯あたり30万円が支給され、収入減を証明する書類を市区町村に提出する自己申告制。
なお、コロナの影響で収入が増減しない年金生活者は対象外となる見通しだ。
この給付金が、4月16日の政府の決定により、変更となる異例の対応となっている。
減収世帯に30万円を支給する予定だったが、制度が複雑で分かりづらいという国民の意見を反映し、所得制限を設けない方向で国民全員に一律10万円給付される見通しになった。4月27日に国会に提出され成立すれば確定する見込みだ。
給付30万円案では、年金生活者や生活保護世帯、大企業の会社員が除外されていたが、今度の27日に成立すればどんな人でも10万円受け取れる模様だ。
※4月16日追記。
1-1.条件は? ※4月10日時点
新型コロナウイルス発生前と2020年2〜6月のいずれかの月収を比較する。
1-2誰がもらえる? 参考世帯収入
●住民税が非課税となる水準まで減少した世帯
・単身の会社員→減少後の月収10万円以下
・会社員・子ども1人→減少後の月収15万円以下
・会社員・専業主婦・子ども1人→減少後の月収20万円以下
・会社員・専業主婦・子ども2人→減少後の月収25万円以下
●収入が半分以下となり、住民税が非課税になる水準の2倍以下になった世帯
条件として収入減を証明する必要があるが、減少幅についての詳細は今後決定される予定となっている。
・単身の会社員→減少後の月収20万円以下
・会社員・子ども1人→減少後の月収30万円以下
・会社員・専業主婦・子ども1人→減少後の月収40万円以下
・会社員・専業主婦・子ども2人→減少後の月収50万円以下
1-3.いつから?
夏頃からの予定。
2:コロナで売上減の法人・個人事業主「持続化給付金」
2-1.条件は?
売上が前年同月比50%以上減少。
前年同月比で50%以上売上が減少した月があればOKで、売上ベース。
証明は、青色申告で提出する売上台帳や現金出納帳が想定されており、オンライン申請が中心。
2-2.いつから?
5月中予定
2-3.給付金の上限は?
・法人(資本金10億円未満)→200万円上限
・個人事業主→100万円上限
3:コロナによる給付金はどうやってもらう? 難しい?
給付金はいずれも自己申告制となっており、オンラインでも申請可能となる予定だ。
特に家計向けの給付は、2〜6月の月収を年収ベースでどのぐらいになるのか、計算する必要がある。
住民税非課税となる収入基準は個々の働き方や扶養人数、住居地域によって異なる。そこで、政府は近々、職業や居住地域に関係なく比較できる支給要件を月収ベースで示す予定だ。
自己申告であることから、市区町村側にも精査する時間が必要とされ、申請できても給付まで時間がかかる可能性もある。
4:その他コロナ支援策 介護保険料の免除も
まだ詳細は決まっていないが、子育て世帯向けや収入が下がった人のための支援策もある。
4-1.子育て世帯向け
・児童手当に1人あたり1万円上乗せ支給
・夫婦と子供2人で年収960万円未満の世帯が対象となる予定
4-2.収入が下がった人向け
・国民年金保険料免除
・国民健康保険料、介護保険料等の減免
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5:4月以前の「小学校休業等対応助成金」
「小学校休業等対応助成金」は、4月以前の助成金は企業(個人事業主)も含む事業主に対して支払われる助成金のため、直接個人が受け取ることができない。
小学校休業の措置が取られている保護者が有給休暇を取りやすくする措置となる。
ただし、フリーランス等委託を受けて個人で仕事を請け負う人は、個人でも受け取ることができる。小学校休業により仕事ができなくなった場合に支援金が受け取れるが、業務の日時や場所が指定されており小学校休業により業務が行えなかった場合等条件がある。
※参考/厚生労働省 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(労働者を雇用する事業主の方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_00002.html
※参考/厚生労働省 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_10231.html
参考/内閣府 新型コロナウイルス感染症緊急経済対策〜国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ〜(令和2年4月7日)
https://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2020/20200407_taisaku.pdf
※参考/総務省 生活支援臨時給付金(仮称)の概要
https://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/gyoumukanri_sonota/covid-19/kyufukin.html
※情報は2020年4月10日時点のものであり、変更される可能性がある。
文/大堀貴子さん
ファイナンシャルプランナー おおほりFP事務所代表。夫の海外赴任を機に大手証券会社を退職し、タイで2児を出産。帰国後3人目を出産し、現在ファイナンシャルプランナーとして活動。子育てや暮らし、介護などお金の悩みをテーマに多くのメディアで執筆している。
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