介護職の初任給は安い? 高い? 介護職員が明かす給料の実態
新たに就職が決まり初任給が支給される春、介護職の初任給はいくらくらいなのか。ほかの職種に比べて高い? 安い? 介護職に関するお金についてファイナンシャルプランナーの大堀貴子さんが解説。実際に介護施設で働く職員の給与にまつわる生の声も合わせて紹介する。
介護職含む医療・福祉産業の初任給は20万円前後
平成29年の医療・福祉業に含まれる介護職の初任給は 204,900円(大卒・男女計)。他の産業と比べると、一番高いのは情報通信業で215,000円、一番低いのが宿泊・飲食サービス業194,500円となっており、11産業の中で7番目となる。
医療・福祉産業には、医師や看護師など比較的給与の高い業種も含まれるため、介護職の初任給はもっと低いのが現状かもしれない。ただし、前年比は2.7%とほかの産業より高い割合を示している。
●医療・福祉の初任給は5年で7900円アップ
医療・福祉産業の初任給だけをピックアップしてると、初めて20万円を超えたのが平成29年。5年前と比較すると7900円アップとなっている。
※参考/厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況:3 主な産業別にみた初任給」より https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/19/03.html
介護職勤続1年目フレッシュマンの給料は?
続いて厚生労働省の「平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」を見てみると、勤続1年目の介護職員の平均給与額(月給・常勤の者)は、2018年(平成30年9月)が270,740円。2017年(平成29年9月)の242,150円と比べるとわずか1年で28,590円の増額となっている。
介護職員の平均給与は初の30万円超
介護職員全体の平均給与額は300,970円となり、平成30年に初めて30万円を超えたことで話題になった。
平成29年と比較すると1万円程度アップしている。なお、平均給与額とは、基本給が181,220円、手当71,330円、賞与1回あたり290,520円から算出されている。
また、勤続年数での平均は、1年が月あたり平均27,0740万円、5年が295,450円、10年以上が334,140円となる。
資格あり・なしで介護職の給料の差はどのくらい?
介護職の給料は、資格なしが月あたり261,600円。これに対し、資格別に見ると、介護職員初任者研修が285,610円、実務者研修が288,060円、介護福祉士が313,920円となっている。
資格による給与面での差は、月2~5万円、年間24~60万円の差となり、好条件で働くには資格取得が必要だということがわかる。
また、給与以外のお金については、介護福祉士、実務者研修等の資格取得に対する受講支援等を行なっている事業者が69%にも上っている。給与アップを目指すなら資格の取得が望ましい。
※参考/厚生労働省「平成30年介護従事者処遇改善状況等調査結果の概要」より https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/19/dl/30gaiyou.pdf
介護施設の職員が明かす時給や給料の現実
同じ厚生労働省の調査で、介護職員の時給(非常勤の者)を見てみると、平成30年9月時点で1110円となり、1年前に比べ20円のアップ。資格を有する看護職員は1,410円となっている。
介護施設で働くある看護師が語る。
「都内で看護師として美容皮膚科でパートしていたときには時給2500円はもらっていました。それが介護施設で探してみると1600円くらいで、かなりの差に驚きました。
地方だと介護施設の時給は看護師資格を持っていても1200円くらいが相場。いまは地元で訪問看護にかかわっていますが、正社員で管理職に昇格したことで月の給与はだいたい30万円前後でしょうか。
肉体的にもハードな仕事なので給与だけを考えると続かない人も多いかも」
介護職の初任給や給料、時給は、年々増額傾向ではあるが、働いてみないとわからない現実もあるようだ。
文/大堀貴子さん
ファイナンシャルプランナー おおほりFP事務所代表。夫の海外赴任を機に大手証券会社を退職し、タイで2児を出産。帰国後3人目を出産し、現在ファイナンシャルプランナーとして活動。子育てや暮らし、介護などお金の悩みをテーマに多くのメディアで執筆している。
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