コロナ院内感染の恐怖…介護福祉士が漏らす4つの不安
新型コロナウイルス感染の勢いが止まらない。感染疑いのある患者が連日押し寄せているという都内のある病院で働く介護福祉士から寄せられた悲痛な声を紹介する。なお、新型コロナウイルスへの対策や対応は医療施設により異なるため、以下はあくまで一例となる。
医療現場の介護福祉士から悲痛な声
「毎日毎日次々とコロナ疑いの患者さんが入ってきています。私がみたところ60~70代の男性が多いですね。誤嚥性肺炎疑いでいらした高齢者のかたが、検査してみたところコロナ疑いになったという人も…。
院内は緊張感が張り詰めていますし、元々入院していた患者さんたちもとても不安そうにしています」
こう語るのは、都内の病院で働く40代の介護福祉士の女性。彼女が務める病院は救急外来があり、コロナの疑いの急患も連日入ってきており、まさにコロナパニックが起きているという。
病棟ではさまざまな症状の入院患者に対し、排せつや入浴、食事などの介助を行うほか、介護福祉士の資格を持つ看護助手として、看護師とも仕事を共にしている。そんな中で一連のコロナ騒動でいま困っていることとは…。
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1:コロナ不安で入院患者からのナースコールが頻回
「通常の患者さんたちが、今回のコロナ騒動でとてもナーバスになっていて、ナースコールがものすごく多くなっているんです。
ただでさえ病気で不安な患者さんたちは、一連のコロナのニュースで不安が大きくなるのは当然なのですが、頻コール(頻繁なナースコール)で通常の業務が滞ってしまうこともあって、現場のストレスは増えています」
2:コロナ院内感染の対策に認知症患者が…
コロナの院内感染を防ぐため、人と人との接触をなるべく減らすように細心の注意を払っているというが、ある問題が起きているいう。
「コロナ疑いの患者さんが入っている個室のまわりには、持病のない人や症状の軽い人に入っていただいています。担当ナースが付いて、ほかの患者さんとは接触しないようにしています。
たとえば、軽症の患者さんとは、体温や血圧はご自身で測っていただいてナースコールを使って遠隔的に会話をするようにしています。なるべく患者さんには、部屋にいていただくようお願いしているのですが、認知症の患者さんの中には、やはり不安になってしまうのか、個室からすぐに出てきてしまう人も多くて困っています」
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3:マスクなど物資不足で苦肉の策
医療現場でもいよいよマスク不足が深刻化しているという。
「コロナの患者さんがいる病棟のフロアでは、優先的にマスクを使えるようになっていますが、上長にサインをもらって1枚もらい、それを数日使うという状態で…。
私をはじめスタッフたちは自前でマスクを用意している人も多いんです。布マスクをつかっている看護師や介護士たちもいます。布マスクはコロナなどウイルスを完全にシャットアウトできないとされているので、とても不安ですね。効果はわかりませんが、布マスクにユーカリなど殺菌作用があるアロマオイルをたらしたガーゼを挟んで使っている人も多いですよ」
4:ガウンを脱ぐときが最大の感染の恐怖
「感染症疑いの人をケアするときに着るガウン(防護服)やゴーグルも品不足です。普段は使い捨てにしているのですが、ゴーグルだけはアルコール消毒して再利用することになりました。
医療従事者の感染はガウンを脱ぐときが一番多いとされていて、手袋を取るときやガウン脱ぐときは常に不安ですね。手洗いしたあとに、アルコール消毒を再度。基本的な対策をするしかないですね」
介護従事者向けのコロナ相談窓口が開通
終わりが見えない新型コロナの影響は、医療現場をはじめ、介護現場のスタッフも疲弊してきている。そんななか、介護従事者の精神的負荷を軽減する目的で、全国老人福祉施設協議会では相談窓口を開設している。
●介護従事者等のメンタルヘルスサポート窓口
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新型コロナの脅威が少しでも早く収束することを願うばかりだ。
構成・文/介護ポストセブン編集部
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