《保険金請求の時効は3年》もらい忘れ、“掛け損”を避けるために…加入している保険の情報を改めて確認&見直しする際の注意点
いざというときには頼りになるが、加入後そのまま放置していて、普段はあまり意識しない「保険」。しかし、加入している保険の種類や内容をきちんと把握していないと、使えたはずなのに、申請し忘れて結果的に損をしてしまうこともあるという。自分や家族が加入している保険をきちんと把握しておくことの重要性について、節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんから詳しく教えてもらった。
教えてくれた人
丸山晴美さん/節約アドバイザー。ファイナンシャルプランナー
22歳で節約に目覚め、1年間で200万円を貯めた経験がメディアに取り上げられ、その後コンビニの店長などを経て、2001年に節約アドバイザーとして独立。ファイナンシャルプランナー(AFP)、消費生活アドバイザー、宅地建物主任士(登録)、認定心理士などの様々な資格を持ち、ライフプランを見据えたお金の管理運用のアドバイスなどをテレビやラジオ、雑誌、講演などで行っている。
情報をまとめておけば、いざというときの請求がスムーズに
保険の情報をきちんと把握し、整理しておくことのメリットの1つは、いざというときの保険金の請求がスムーズになることです。保険金が発生するような「いざというとき」は、被保険者本人や周りの人も混乱していることも多いでしょう。平常時に整理しておくことで、慌ただしいなかでも効率的に保険金請求の手続きを進めることができます。
保険金のもらい忘れ、掛け損のリスクを減らす
自身や家族、親の保険で加入していることを忘れていると、保険金の申請を忘れるだけでなく、これまで掛けていた保険料の掛け損になってしまうことも。どんな保険に入っているのか、自身だけでなく親が高齢の場合は、親の分まで洗い出しておくことをおすすめします。
保険金の請求権は3年で時効になる
まず、保険金の請求権には3年という時効があることを覚えておきましょう。
とくに、親の保険の場合は、本人が加入したことを忘れ、家族もその存在を知らないと、気が付いたときには、請求権の時効を迎えており、保険金を受け取れないだけでなく、これまで支払った保険料が無駄になりかねません。
ただし、3年間以上の時間が経っていたとしても、申請をすれば保険金を受け取れるケースもあります。気が付いた時点で、まずは加入している保険会社へ問い合わせをすることをおすすめします。
被保険者死亡後の死亡保険金請求時効も3年
被保険者(保険に加入していた人)が死亡した際に、保険金受取人が保険会社に対して保険金の支払いの請求をすることになり、この死亡保険金の請求権の時効も原則3年ですが、例外もあるので対象となる保険に気が付いたら、早めに契約をしている保険会社へ連絡をしてみましょう。
死亡後に保険料が引き落とされていた場合
被保険者の死亡後に保険料が引き落とされていた場合、保険会社に死亡の通知を保険会社へすることで、保険料の引き落としが止まりますが、手続き中に保険料が引き落とされることがあります。この場合、後日返金になります。
また、死亡後に保険料が引き落とされるのは、金融機関や保険会社が死亡の事実を知らない場合に起こります。その場合、被保険者が死亡してから該当期間の保険料返還を求めることができますが、この時効は原則、被保険者が亡くなった日の翌日から3年です。
口座の記録に不明な引き落としがあった場合などは、存在を忘れている保険の可能性がないか確認してみましょう。
いざというときに使える保険が見つかることも
さらに、保険の情報を整理しておくと、いざというときに使える保険が見つかることもあります。例えば、火災保険などについている個人賠償責任特約は、家族が不慮の出来事で他人のものを壊してしまったなど、賠償責任を負ったときに使える可能性があります。
他にも、クレジットカードや生命保険の特約に携行品損害補償が付いていれば、スマホの修理などに対応している場合もあります。
保険と聞くと、大きな事件や事故のときに使うものというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、日常の意外な場面で活用できることもあるため、一度確認しておくことをおすすめします。
保険の情報整理時にはあわせて見直しを行うのがおすすめ
保険の情報を整理する際は、保険の見直しもあわせて行うのがおすすめです。その際に注意したいのが、自分一人で見直したり、1社分のパンフレットだけで保険を選んだりせず、きちんと保険のプロに見てもらい、複数の保険商品を比較したうえで判断することです。
とくに親の世代が加入している保険は、バブル期に契約された高利率の貯蓄型保険のような、今はもう新規加入ができないような魅力的な保証内容といったいわゆる「お宝保険」であるる場合もあります。
しかし、素人では契約を継続するべきか判断が難しく、お宝保険を解約して魅力の少ない保険に加入してしまう可能性も否めません。保険は表面上の情報だけだと判断が難しい商品のため、プロの意見を聞いたうえで判断することが大切といえるでしょう。