西城秀樹さんの命を繋いだ妻の手料理、野菜は小皿方式で【第6回】
「2015年以降、多いときには週5で通っていたリハビリはとてもハードでしたから、終わるとすごく疲れてお腹が空くのか、甘いものが食べたいとよく言っていました。ただし、すぐに甘いものを食べてしまうと血糖値がグンと上がってしまうので、鮭やツナなどタンパク質が一緒に摂れる具材の多いおにぎりなどを用意して食べてもらいました。その後でチョコレートというように、血糖値のコントロールにはできるだけ配慮するようにしていました。チョコレートは高カカオタイプのものを選ぶようにしていましたね」
2017年頃から体重が減っていたこともあり、たっぷりとカロリーは摂ってほしい。その一方で筋力になるものや血糖値を上げにくい食べ方をしなければならない。闘病中の食事を管理する立場にある美紀さんは、いつもじれんまを抱えていたという。
「健康を気遣うあまり、甘い物はダメ、野菜食べなきゃダメって、ついダメ出しばかりしてしまいそうになったこともありました。でも、制限や否定ばかりしてしまいストレスが溜まることだは避けたいと考えていました。野菜を小皿にしてみるとか、食べる順番を工夫するとか、あれこれ知恵を絞っていたように思います」
秀樹さんは2018年4月25日の夕食を食べた後に倒れ、そのまま意識が戻ることなく旅立った。秀樹さんは最後まで妻の手料理をしっかりと味わった。
【木本美紀さんの寄り添い方に学ぶ】
・筋力をつけるためにたんぱく質中心の食生活に
・小皿で少しずつ食卓に出す方式で野菜料理を食べてもらう
・食事制限でストレスを溜めないように食べ方の工夫をする
木本美紀
1972年大阪生まれ。近畿大学理工学部土木工学科卒業後、建設コンサルタント会社に就職し、結婚を機に退職。2001年に西城秀樹と入籍し、1女2男と3人の母に。夫秀樹さんとの出会いから闘病生活、看取るまでを克明に綴った著書『蒼い空へ 夫・西城秀樹との18年』(小学館)は10万部を超えるベストセラーに。
撮影/浅野剛 取材・文/介護ポストセブン
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