“いつまでも歩ける脚”に!自宅で簡単にできる「足指はがし」「つま先立ち体操」で体の不調を改善【専門家監修】
頭痛・腰痛・肩こりといった不調は“足に通ずる”という。加齢で衰える足は、「足首」と「足裏」を鍛えれば本来の”足の力”を取り戻すことができるという。そこで、自宅でも簡単にできるトレーニングをご紹介する。転倒や寝たきりとは無縁の老後を目指そう!
教えてくれた人
山田真さん/柔道整復師・鍼灸師
大阪府・まほろば鍼灸整骨院院長。足元から全身につなげていく施術を行い、遠方からも多数の患者さんが来院。著書に『超簡単「足指はがし」』(コスモ21)など。
田中敏明さん/理学療法士、博士
専門は理学療法学、福祉工学、人間工学。30年以上にわたり高齢者及び障害者の日常支援機器を開発研究。元東京大学先端科学技術研究センター・特任教授、現同センター・シニアプログラムアドバイザー。
Matty(マティ)さん/足ツボ師
台湾で修業し足ツボ歴30年以上のキャリアを持つ。著書に『心とからだの解毒地図』(学研プラス)、『Matty式マッサージが自宅でできる! 脂肪とり! むくみとり! こりとり! 解毒棒』(講談社)など。
50代からは転倒予備軍。足指をしっかり鍛えて転倒・骨折を予防しよう
「足指をしっかり使えているかどうかで、40代以降、健康に歩ける期間がまったく違ってきます」と話すのは、柔道整復師で鍼灸師の山田真さん。
「歩行は人間の動作の基本ですが、歩く際に地面に触れる足裏は、体の表面積の中でたったの2%。つまり、残りの98%を足をどう使って支えるかが重要になります。体の中央にあって、ほかの指よりも大きい親指が果たす役割は大きく、親指で踏みしめながら歩くことが重要です」(山田さん・以下同)
ところが、正しい歩き方を知らずに長年過ごしてしまう人が多く、それが体の不調を招く原因につながっているという。
「もともと足指で踏みしめる歩き方ができていない上、加齢による筋肉の衰えが加わることで、それまで気にならなかった痛みや不調が表面化してきます。改善するには、固まった足の指を動かし、可動域を広げること。それには『足指はがし』をぜひ継続して行ってください」
厚生労働省が2022年に行った調査(※1)によると、要介護者の「介護が必要になった主な原因」の第3位は骨折・転倒だという。理学療法士の田中敏明さんが説明する。
「転倒や骨折予防には、足裏の感覚機能や立位バランス能力が不可欠です。転倒・骨折予防というと筋力をつけることに注目しがちですが、実は足裏の感覚機能の低下も大きな要因です。足裏には地面からの感覚情報を感知するセンサーが多くあり、加齢によりその機能が落ちてきます。手に比べて足指の感覚は50才から徐々に衰えてくるというデータもあります」
実際に田中さんの研究室で「2点識別検査(※2)」を行ったところ、20代はほぼ100%が正解だったのに対し、65才以上の正解率は約半分だったという。
「何才からでも継続して筋肉トレーニングをすれば筋力が改善するように、足裏の感覚機能や立位バランス能力もトレーニングで鍛えることができます。特に転倒予備軍となる50代からは意識してトレーニングを行ってほしいですね」
トレーニングといっても、簡単なエクササイズや足のツボ押しなど取り入れやすいものが多くある。できるものからやってみよう!
※足指の正しい名称は第1趾(だいいっし/親指)、第2趾(人差し指)、第3趾(中指)、第4趾(薬指)、第5趾(小指)ですが、本記事ではわかりやすいように手の指と同じ名称で記載しています。
(※1)「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省)より。
(※2)足裏を2本のピンで触り、そのピンの間隔を変えてもピンで触っていることがわかるかを答える検査。