あらアラ美味!「鯛の真子は我が家のごちそう」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第71話
慢性膵炎を抱える80代の母と山口県で暮らす漫画家のうえだのぶさん。栄養士の資格をいかし、母のためにヘルシーな食事作りに精を出す日々。魚も野菜も美味しい山口の春、旬の食材に出会った母娘のエピソード。
春の美味
春に“おいしいもの”と言うと、新じゃが・新玉ねぎ・春キャベツなど野菜がまず浮かびますが、ちょっとマニアックな食材で「鯛」、お刺身じゃなく「真子*」が私的に期間限定のお楽しみです。
*真子(まこ)/たらこなど魚卵のこと。
私も母も同じなんですが、魚屋さんでついつい探してしまうのは「アラ」(あら探しじゃなくてよ)。2人とも「切り身」より「じゃない方」が好きなんですよ。
「今日は天然鯛の刺身があるよ~」と言われたら、すかさず「だったら頭と骨があるはずだ」と、売り場の隅をチェックします。大きな頭やカマなんかあった日にはガッツポーズです。
昔からよく母と笑い話にするんですが、「よそのお宅では“尾頭付き(おかしらつき)”がご馳走じゃけど、うちは“尾頭だけ”がご馳走じゃけえ♪」と。
あ、わが家の名誉のために解説すると、切り身が買えなくて「アラ」だけ、という話じゃないんですよ~。
私が車の免許を取るまでは、ご近所の小さな食料品店で日々の買い物をしていた母、魚は一匹丸ごと買って家でおろすのが当たり前。鯛やブリのお刺身を食べた翌日は「アラ炊き」か「アラ汁」がでてくるのがおきまりでした。「食べ切る」という節約術ですね。
で、切り身もアラも両方食べて育った結果、鯛は「お造り」よりも「兜煮」、ブリは「照り焼き」よりも「アラ炊き」や「カマの塩焼き」を“ご馳走”と喜ぶ娘が完成したわけです。
そんなわけで、鮮魚店や道の駅でたっぷり身がついた新鮮な魚のアラを見つけると母と2人で大喜び。先日は地元の鮮魚店で念願の「鯛の真子」に出会いました。他の魚の真子や白子も好きですが、鯛の真子は粒が細かくて優しい味なんです。ちょっとしたお店で食べると結構なお値段を取られる食材です。この日は鯛と鰆の真子&白子を「まとめて一緒でいいよ」と500円でゲット!ウキウキと帰宅しました。
――帰宅してからちょいとひと悶着。バトルテーマは「味付け」。
私は薄めの味付けでたっぷりの汁でさっと煮たい派(小料理屋の一品モード)。
母は濃い目の味付けで汁がなくなるまでしっかり煮たい派(お総菜モード)。
私「濃い味にしたらせっかくの素材が台無しじゃー!」
母「あんたの味付けじゃ薄くてご飯のおかずにならんのよー!」
私「でも真子は脂質が多いから、お母さんはそんなに食べられんよ!」
母「む、むむむ~~~~!!」
――これにて決着。私好みの「春の味」を楽しみました。
鯛のアラは小骨がたくさん…
こんな風に「アラ」がご馳走のわが家ですが、最近母が骨の多い部分を嫌がるようになりました。
母「口の中で小骨がわからんよーになるんよ(わからなくなるんよ)」
私「のどに引っかかったら怖いから小骨の辺りは食べないでー」
母が今、週一で通っているデイサービスでは、全身運動の他に口腔チェックや口腔体操もしてもらっているみたいですが、やっぱりこういう部分的な筋肉も落ちてくるんですね。
これって「誤嚥」に繋がるんだろうな。今度から「アラ」は先に小骨を抜いて身だけ食卓に出すようにしよう(切り身だけにすると食卓と財布が寂しくなるので)。
母の脚の調子が良くなってきて病院通いもひと段落し、最近日常が穏やかになったわあと思う反面、こうやってじわりじわりと確実に近づいて来る「変化」を感じる今日この頃です。
――そう、実は先日「もしかして認知機能が…!?」と思う出来事があったんですよ。それはまた次回に!
NO老いるMemo
鯛の真子の脂質は…食品成分表に載っていなかったのです。でも他の魚(鮭と鱈)で調べたら、どちらも身より真子の方が脂質は多かったので、多分鯛もそうだろうと。
ちなみに、白子のほうが真子より脂質は低いようです。真子は、栄養価というよりも魚を丸ごと「食べ切る」という意味でおすすめの食材ですね。
参照:日本食品成分表2026(八訂)医歯薬出版株式会社 編
絵と文
漫画家・うえだのぶ
イラストレーター・漫画家。59才。山口県で83才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。
