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健康

「脂肪肝」「慢性腎臓病」は便秘や歯周病も影響 肝臓と腎臓を同時に整える生活習慣9選【医師解説】

「最近、疲れが取れない」。その原因は、気づかぬうちに進む肝臓と腎臓の機能低下かもしれない。健康寿命を左右するこの2つの臓器は、切り離して考えるのではなく「セットで鍛える」のが正解だという。名医が説く、「沈黙の臓器」から始まる“病のドミノ”を止める生活習慣を解説する。

教えてくれた人

栗原毅さん/肝臓専門医・栗原クリニック東京・日本橋院長、近著に『長生きしたけりゃ、肝臓と腎臓を同時に整えなさい』(東洋経済新報社3月刊)

2大沈黙の臓器は影響を及ぼし合う「ひとつの臓器」だった

「肝臓も腎臓も、心臓から送り出される血液の4分の1ずつが流れ込む血流量が大変多い臓器です。肝臓は血液に栄養やエネルギーを乗せて全身の細胞に送り出し、腎臓は血液から老廃物や毒素を取り除いてきれいな状態に戻す役割がある。それらの機能が失われれば、私たちはたちまち生命存続の危機に陥ります」

 そう話すのは、数々のベストセラー著書を持つ肝臓専門医で近著『長生きしたけりゃ、肝臓と腎臓を同時に整えなさい』(東洋経済新報社3月刊)が話題の栗原毅さん(栗原クリニック東京・日本橋院長)。

 怖いのは、どちらも自覚症状がないまま機能が低下する「沈黙の臓器」ということだ。そのため、病前に状態を知るには健康診断などの数値を参考に判断するしかないが、特に注意すべきは肝機能の低下、なかでも中性脂肪が肝臓に蓄積する「脂肪肝」だという。

 栗原医師が続ける。

「いま世界の医療界では、脂肪肝こそがあらゆる病気の出発点であり、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中などを招く“トリガー”だと認識されています。慢性腎臓病も、元凶は脂肪肝であることがわかってきました。脂肪肝を放置すると、長い年月をかけて少しずつ腎機能が低下し、慢性腎臓病の発症と悪化に繋がるのです。

 このように、一見別の役割を持っているように見える肝臓と腎臓は深く影響を及ぼし合っており、ひとつの臓器として捉えるべきだといえます」(以下「」内コメントは栗原医師)

 そのため、肝臓や腎臓の機能を維持・改善するには「セットでケア」する考え方が大切だ。

「考慮すべきは、肝臓が先に悪くなり、その影響で腎臓がじわじわ悪くなるということ。早期に肝臓の問題を解決すれば腎臓病を予防できるうえ、たとえ多少腎機能が低下しても、肝臓の問題を解決することで腎機能を改善することができます。そして生活習慣の改善により、60代からでも肝臓や腎臓の機能を回復させることは十分可能です」

正しい運動や入浴で肝臓や腎臓の機能を改善

 肝臓や腎臓の機能改善のためにできることがある。

「肝臓や腎臓に十分な血液を供給するには筋肉量を維持し、そのポンプ作用を保つことが重要。ただし、激しい長時間の有酸素運動はかえって動脈硬化を進行させて肝臓や腎臓に大きなダメージを与える可能性があるので、息が切れない程度の『適度な運動』を続けることがポイントです」

 そこで栗原医師が推奨するのが、日常生活のなかで何かのついでに行なう「ながら運動」だ。

「例えば通勤電車で吊り革に掴まりながら、自宅でテレビやスマホを見ながら踵の上げ下げをするだけで、『第2の心臓』と呼ばれるふくらはぎなど下半身の筋肉を鍛えることができる。起床時や就寝時に布団の上で寝ながら手足を1〜2分、ブルブルさせるだけでも血流が格段に良くなります」

 肝臓や腎臓への血流をよくする生活習慣は運動以外にもあるという。

「日常生活で特に大切なのが入浴です。お勧めの入浴法は、ぬるめのお湯に15〜20分ほど肩まで浸かる全身浴の後、風呂上がりにシャワーの水で足先と足首を冷やすというもの。温度差で血管が刺激され、血液を押し出すポンプ作用が高まって、さらに血流がアップします。また、肝臓や腎臓への血液循環量を保つには、食事以外に1日2リットル程度の水を何度にも分けて摂ることも重要です」

 血流だけでなく、血液の“質”にも注目したい。

「便秘が続くと有害物質が腸から血液中に入り、汚れた“質の悪い血液”が運ばれて肝臓や腎臓に大きな負担をかけることになります。便秘の解消にはオレイン酸が豊富なオリーブ油を食前に1杯飲んだり、食物繊維が豊富な高カカオチョコレートの摂取が有効です」

歯・薬・自律神経。見直したい生活習慣

 便秘同様に注意したいのが「歯周病」だ。

「歯周病菌やその毒素が血液中に入ると全身の臓器に炎症などのトラブルを引き起こし、肝臓や腎臓にも当然影響が出ます。実際、歯周病菌を放っておくと脂肪肝が進みやすく、慢性腎臓病の進行にも影響すると報告されています。歯周病菌は就寝中に増えやすいので、起床直後と就寝前にしっかり歯磨きし、舌みがきやフロスを併用して口内を清潔に保ってください」

 安易に薬に頼らない意識も重要だという。

「薬の飲み過ぎは薬物の代謝や排泄を担う肝臓と腎臓の負担になり、市販の痛み止めや解熱剤でも臓器の機能を低下させる可能性があります。軽微な症状、あるいは症状がないのに惰性で薬を服用する人が少なくないので、どうしても必要な薬以外は最小限にする意識が大切です」

 心身の緊張状態にも目を配りたい。

「自律神経のバランスが乱れ交感神経が過剰に優位になると、血管が収縮して血流が悪くなり、血液もドロドロになりがちです。就寝前には、画面からの光で睡眠の質を低下させるテレビ、スマホを見ないようにして、副交感神経が優位になるよう、照明を暗めにするなどリラックスして過ごしてください」

 日常生活でのちょっとした工夫で“肝腎要”の臓器がよみがえる。

肝臓&腎臓を同時に鍛える!「栗原式日々の習慣メソッド」

【1】休肝日はいらない

 アルコールは、自身の適量を守れば毎日飲んでもまったく問題なし。1週間で摂取する「総アルコール量」を考え、管理するのが合理的。

【2】便秘を解消する

 肝機能と腎機能で最大のマイナス要因となるのが便秘。解消には食前にスプーン1杯のオリーブオイル、高カカオチョコレートの摂取が有効。

【3】舌みがきとフロスを欠かさずに

 歯周病菌は肝臓、腎臓トラブルの引き金にもなる。起床直後、就寝直前の歯みがきの徹底のほか、舌みがきとフロスを活用し歯周病菌を除去。

【4】1日2~3Lの水を飲む

 肝臓と腎臓の血液循環量を保つには、たっぷりの水分摂取習慣が欠かせない。とくに高齢者は喉の渇きが感じにくいので、こまめな水分摂取を。

【5】「ながら運動」をする

 激しく長時間の運動は活性酸素を生み、肝臓や腎臓への影響も大。スクワットなど日常生活の中でできるエクササイズを。

【6】薬を飲み過ぎない

 肝臓で代謝、腎臓で排泄される薬は最小限に。痛み止めや解熱剤を頻繁に服用していると、各臓器に負担をかける可能性がある。

【7】自律神経を整える

 ストレスによる自律神経の乱れは血流を悪化させ、肝臓と腎臓にも悪影響を与える。趣味や運動でストレス発散を心がけて。

【8】入浴後に足を冷やす

 肝臓・腎臓は「血流の臓器」。流れをよくするため「ぬるま湯の全身浴」のほか、風呂上がりに冷水で足先を冷やすと血流アップに効果あり。

【9】就寝前のテレビ&スマホは厳禁

 交感神経が興奮し睡眠の質が大きく低下し、肝臓と腎臓の機能にも影響。就寝前は部屋の照明を暗くするなど、副交感神経を高める工夫を。

写真/PIXTA

※週刊ポスト2026年4月10日号

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