70才を超えても元気に歩くために今すぐやるべきこと 強い骨を作る6つの生活習慣
長いステイホームの影響で骨が弱くなっている人が急増しているという。今は大丈夫と思っていても、数年後に影響が出てくる可能性もあると専門家は話す。骨が弱くなると軽く転んでも骨折しやすくなり、寝たきりになるリスクが上がる。少しでも強い骨を作るために、今からできることを専門家に教えてもらった。
長い自粛生活で骨が弱くなっている人が増加
新型コロナウイルスの感染ピークが収まり、日常生活が戻りつつある。家族や友人と一緒に、思わず遠出をしたくなったという人も多いだろう。だが久しぶりに外出機会が増え、足に違和感を感じた人は注意が必要だ。
鳥取大学医学部保健学科教授の萩野浩さんが警鐘を鳴らす。
「長きにわたったステイホームで、骨が弱くなっている人が潜在的に増えています。現時点では外出自粛の影響で事故や転倒の件数は減少傾向にありますが、数年後には増加することが危惧されている。特に高齢者は軽い転倒であっても骨折しやすいうえ、そのまま寝たきりになるリスクも高い。いかに強い骨を保つかが、健康長寿を体現するためのカギといえます」(萩野さん)
歩けない=寿命が短くなる!?
日本初の足の総合病院「下北沢病院」の医師、菊池恭太さんも声を揃える。
「歩けなくなることそのものが寿命を縮めるのは事実です。一度歩行困難な状態になれば筋力も落ち、そこから元に戻ることは難しい。食事や排泄の自由も奪われ、一気に人生の階段を転がり落ちることになる。歩けるかどうかは、足の機能だけの問題ではないのです」(菊池さん)
脚の“耐用年数”は約50年
骨や筋肉を鍛え、生活習慣の改善によって体の内側からケアすることに加え、自分の骨や足の状態を把握し、しっかり手入れすることも肝要だ。萩野さんは骨密度を定期的に測ることを推奨する。
「女性は更年期に伴う女性ホルモンの低下で急激に骨量が減ります。1年で2%、5年で10%減少することもあるため、数年で一気に骨粗しょう症になる恐れもある。1回測って正常値だからと安心せず、数年ごとに測定することを心がけてください」(萩野さん)
足そのもののケアも大切!
「足の“耐用年数”は50年といわれており、それ以上長持ちさせたいなら、しかるべき処置が必要になります。たとえば中高年女性に多い外反母趾は安定性を下げ、転倒リスクを上げます。また、足の指の力が落ちると歩行時のバランスも悪くなる。結果として長く歩けなくなってしまうことは問題です。予防するために、足の指をほぐしたり、“グー・チョキ・パー”を作って動かすなど、普段あまり意識しない足の指の運動も行って」(菊池さん・以下同)
靴選びも足への負担の有無を左右する
「自分の足のサイズを正確に把握していない人も多いので、一度はシューフィッターがいる店で計測してもらうといいでしょう。靴底が柔らかいと疲れやすくなるため、柔らかすぎず適度にクッション性のあるものがおすすめです。かかとがしっかり作られている靴の方が、足首を安定させることができます。試着時は店内を実際に歩いて、足にフィットしているかを確認しましょう」
70才を超えても元気に歩くために、いま一歩を踏み出そう。
強い骨を作る生活習慣6項目【まとめ】
★ウオーキング
1日8000歩が理想だが、2000歩であっても寝たきりを予防できる。腰やひざなどに痛みが出る場合は、水中ウオーキングを。
★開眼片足立ち
転倒防止のために体のバランス感覚を鍛えるのも重要。目を開けたまま、1分間片足で立つ動作を両足を1セットとして1日3セット行えば、バランス能力とともに、太ももの筋力も鍛えられる。
★二重課題運動
年を重ねると同時に2つ以上のことをこなすのが困難になり、歩行中にとっさの出来事が起きると、対応できずに転びやすくなる。100から7を引く計算をしながら、スクワットをするなど、「二重課題運動」を普段の運動に取り入れたい。
★バランスのいい食事
骨のもととなるカルシウムはもちろん、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやKも継続的に摂ること。ビタミンDはさんまやきのこ類などに、ビタミンKは緑葉野菜や海藻類に多く含まれている。
★足指のストレッチ
外反母趾は転倒リスクを上げ、長距離の歩行を困難にする。予防するために、足の指をほぐしたり、"グー・チョキ・パー"を作って柔軟に動かすなどのストレッチをこまめに行うこと。
★靴選び
シューフィッターがいる店で足を計測してもらい、靴底が柔らかすぎず適度にクッション性があるものを選ぶこと。
教えてくれた人
萩野浩さん/鳥取大学医学部保健学科教授、菊池恭太さん/下北沢病院・医師
※女性セブン2022年6月16日号
https://josei7.com/
●高齢者に「ポールウオーキング」がおすすめな理由「通常歩行よりエネルギー消費量が多く、4点歩行で転倒防止に」