65才を超えたら「夜ふかし・朝寝坊」がいい理由を専門医が解説「高齢者の快眠・健康習慣10選」
ではリズムを作るために、どのような生活習慣を送ればいいのか。坪田さんは運動をすすめる。
「睡眠は疲れを癒すためでもあるので、運動をして疲労をためると寝入りがよくなり、眠りが深くなります。運動量は多いほどいいですが激しい運動は必要なく、10分程度の散歩から始めればいいと思います」(坪田さん・以下同)
午後はうとうとする人も多いが、昼間に長く眠れば当然ながら夜に影響する。
「昼寝をするなら30分まで。眠気を取るには充分な時間で、夜の睡眠にも影響が少ない。時間帯も大事で、15時以降の昼寝は寝つきを悪くし睡眠が浅くなります」
ほかにも、好きな時間に寝起きするための「快眠習慣」をリストにしたので本文下部を確認してもらいたい。
寝る1時間前までスマホやパソコンは使っていい?
ただし夜ふかしする際にも注意点がある。特に気をつけるべきは晩酌だ。
「アルコールは眠りが浅くなるので飲むなら3時間前までに。ビールは500cc、日本酒は1合までなら寝る前に分解できる。それ以上は眠りが浅くなり、夜にトイレに起きる頻度が増える可能性があります」
多くの人が時間をつぶす際に使うのがスマートフォンやパソコンだろう。これらは覚醒作用があるためよくないといわれるが、実は使い方次第では睡眠に影響が出ない。
「たしかに寝る直前に使用すると覚醒作用がありますが、1時間前までなら使っても問題ありません」
快眠メソッドを駆使しても、睡眠リズムを作れない場合はいったん離脱しよう。
「布団に入って30分経っても眠れないときは、思い切って一度布団から出た方がいい。体が寝なくていいと判断しているためです。
そこで不眠だと思い悩みストレスをためてしまうと、そのストレスで翌日の眠りが浅くなる負のスパイラルに陥ります。夜ふかししながら、眠くなるのを待ってください」
無理して寝ないーーこれが快眠への答えだ。
快眠・健康のために実践すべき生活習慣10選
【1】規則正しい生活リズムを保つ
毎日同じ時刻に寝起きすると睡眠リズムが固定される。早朝覚醒を避けたい場合、いきなり夜ふかしせず、少しずつ入眠時間を遅らせる。
【2】適度な運動をする
ウオーキングやジョギング、サイクリングなどがおすすめ。日光を浴びながら行うとさらに睡眠の質がよくなる。ただし就寝直前の激しい運動は逆効果。
【3】昼寝は15時までで30分限定
昼寝を15時以降に行うと夜の入眠に影響が出る。また、30分以上の昼寝も深く眠ることの妨げになるので、“日中のうとうと”には要注意。
【4】カフェインやアルコールを控える
カフェインには覚醒効果があり、アルコールも睡眠の後半に覚醒作用が出るため中途覚醒が増加する。入眠する3時間前からは控える。
【5】食べてすぐに寝るのは避ける
食事をすると体温が上がって睡眠が妨げられるので、夕食は眠る2〜3時間前までに。お腹が減って眠れないときは、りんごなど消化しやすいものを少量食べる。
【6】お風呂は寝る1時間前に済ませる
入浴から少し時間を置いて発生する深部体温の低下は眠りを誘発することがわかっている。そのため、入浴1時間後を目安にして布団に入ると寝つきがよくなる。
【7】寝室の環境を整える
寝室を暗く静かな環境にするために遮光カーテンや耳栓を活用する。寝室の温度は16〜26℃程度、湿度は50〜60%程度に調整する。
【8】寝る直前の習慣を見直す
スマートフォンなどの画面から出るブルーライトには覚醒作用があるが、寝る1時間前までの使用なら問題ない。寝る直前の使用は控えるべし。
【9】30分寝られないときは布団から出る
中途覚醒したときを含めて眠れないときは布団から出る。寝られないと悩んでいるとストレスの作用でさらに目がさえ、眠れなくなる悪循環に陥る。
【10】起きるときはアラームなし
自然覚醒は寝起きのスッキリ感を強くする。寝る前に起きる時間を強く意識するとその時間に自然覚醒しやすい。
写真/PIXTA
※女性セブン2024年7月4日号
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