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良い睡眠をとるための9つのコツ|寝付きがいい人は実は超寝不足だった!15分で深くグッスリ超熟睡完全マニュアル

 今夏からの急激な気候の変化に体がついていけず、なかなか寝つけない人が増えているようだ。秋の夜長のいまこそ、良質な睡眠を得たいもの。そのコツとは!? 専門家のふたりに睡眠について伺った。

寝つきが良すぎる人が要注意な理由

 「秋の夜長」というけれど、暑かったり寒かったりして、思うように眠れない夜を過ごす人も多い。寝つけないのは問題だが、寝つきは早ければ早いほどいいというわけでもない。

 自身も8~28才まで不眠に悩んだ経験を持つ、睡眠改善インストラクターの竹田浩一さんは「寝つきがよすぎる人は注意すべき」と話す。

「健康な人なら、寝つくまでにかかる時間は、布団に入ってから15~30分。“3分もあれば眠れる”という人は、ただの睡眠不足です。疲れ果てて、ほとんど“気絶”しているんです

目を閉じたらすぐ寝てしまう人は、かなりの睡眠不足

 この状態は、お酒を飲んで酔ったまま寝落ちしてしまうときに近い。雨晴(あまはらし)クリニック副院長で医学博士の坪田聡(さとる)さんが話す。

「お酒を飲むと確かにすぐに眠れますが、アルコールで脳に麻酔がかかっているような状態になっているだけで、睡眠の質は落ちています。目を閉じたらすぐに眠りに落ちてしまう人は、かなりの睡眠不足です。日中も強い眠気を感じてしまい、仕事や家事が思うようにいかないこともあります」

 実際に、どうすれば質が良い睡眠ができるのかコツをまとめてみた。

良い睡眠のコツ【1】:就寝の16~18時間前に起きる

「じゃあ、今日からは毎晩1時間早く布団に入ろう」

 と意気込む必要はない。坪田さんによれば、正しい睡眠において重要なのは、「寝た時間」ではなく、「起きた時間」だ。

「朝起きた時間で、その日の夜、何時に眠くなるかが決まることがわかっています。就寝したい時間の16~18時間前に起きるのが理想です。起床から14~16時間ほど経つと、眠気を促す『メラトニン』というホルモンの分泌量が増えて、そこから1~2時間経つと眠くなるのです」(坪田さん・以下同)

 メラトニンは女性ホルモンの分泌にも影響しているので、良質な睡眠をとることは乳がんや子宮頸がん、更年期障害など、婦人科系疾患の予防にもつながる。

「睡眠の質が悪いと、乳がんや前立腺がんといった性ホルモンが関係するがんになりやすいという研究もあります」

良い睡眠のコツ【2】:起きたらすぐにスマホを見る

 目覚まし時計をセットしても、なかなか起きられない日もあるはずだ。竹田さんによれば、どんなときでもスッキリと目覚めるためには、音よりも「光」が重要だという。

「目覚めたときに朝日と同じくらい明るい約2500ルクス以上の光を5~30分ほど浴びることで、体内時計がリセットされ、目覚めがよくなります。室内照明の明るさはせいぜい1000ルクス程度。部屋の電気をつけるだけでは足りません。起きたらすぐにカーテンを開けて、太陽の光を浴びるようにしてください」(竹田さん・以下同)

 雨や曇りで太陽の光が弱い日は、スマホ画面が役に立つ。液晶画面から出るブルーライトは眠りを妨げる作用があるが、これを逆手に取る方法だ。

「実は、ブルーライトは太陽光にも含まれています。寝起きにスマホでニュースなどを見て目覚めをよくするのも1つの方法です」

良い睡眠のコツ:【3】目覚まし代わりに名曲を流す

 スマホを目覚まし時計代わりにするなら、アラーム音を自分の好きな音楽に設定すると、さらに効果的だ。特に、自然と歌詞を思い出して口ずさむことができるくらい、なじみのある曲がいい。いちばんのおすすめは、和田アキ子の名曲『あの鐘を鳴らすのはあなた』だという。

「実際に歌う必要はありませんが、なじみのある曲だと、自然と頭の中で歌詞を思い出そうとして、脳が目覚めます。最初からリズムの激しい曲ではなく、スローテンポで始まって途中からアップテンポになる曲調がベストです」

良い睡眠のコツ:【4】起床時間は一定に

 起きられないからといって、二度寝や寝坊はNG。いつも起きる時間を一定に保つことで、同じ時間にグッスリ眠れるようになる。

「平日と休日の起床時間の差は、30分以内にとどめること。休日など、どうしても寝足りなかったら、一度しっかり起きてから後で短時間の仮眠をとるようにしましょう」

良い睡眠のコツ:【5】眠るときは真っ暗より月明かりを

 スッキリ目覚めたら、日中はできるだけ活動的に過ごし、少しずつ“睡眠モード”にシフトしていこう。

「18時以降は、リビングの照明を暖色系の白熱灯などに切り替えるのがいい。日中仕事をするときは白色系、夜は暖色系、と使い分けてほしい」

カーテンを少し開けておく

 ただし、寝室は暗くしすぎても、明るすぎてもいけない。真っ暗だと恐怖心が生まれて睡眠の妨げになるのだ。とはいえ、豆電球などをつけると明るすぎて目がさえてしまう。

「就寝時は“月夜の晩に自分の手がうっすらと見えるくらい”の明るさがちょうどいい。カーテンを少しだけ開けておくといいでしょう。こうすれば、朝になったら自然と太陽光が差し込むので、目覚めもよくなります」

良い睡眠のコツ:【6】体温を1℃上げてから布団へ

 明るさに加えて、部屋と体の「温度」も重要。室温は16~26℃くらい、湿度は50~60%をキープしたい。そして、布団に入る1~2時間ほど前に入浴して、体温を1℃前後上げておくのが、自然な眠気を呼ぶポイントだ。

「体温が下がるときに眠くなるので、40℃以下のぬるめのお湯に10~20分くらいつかって、汗が引く頃に布団に入るといいでしょう。お湯が熱すぎるとかえって目が覚めてしまうので、“少しぬるいかな”くらいの温度にゆったりつかって」(坪田さん)

良い睡眠のコツ:【7】あったか下着やパジャマは×

 入浴を終えたら、「部屋着」ではなく「寝間着」に着替える。一日中寝間着で過ごしたり、部屋着のまま布団に入るのはご法度だ。

「着替えることで、“さあ寝るぞ”と脳のスイッチが入る。血行を妨げず寝返りが打ちやすいように、体を締めつけないものを選んでください。これからの時期は、保温性の高い機能性下着やパジャマが売られますが、睡眠の質を考えると、あまりおすすめしません。熱が発散されないので、汗をかき、かえって体が冷えて眠りが浅くなってしまいます。吸湿性のある綿素材がベストです」(竹田さん・以下同)

良い睡眠のコツ:【8】低反発まくらなら高さは6~12cm

 まくらの高さも重要だ。

「理想の高さは素材や体格により異なりますが、女性の場合、ウレタン製の低反発素材なら6~12cmがいい」

良い睡眠のコツ:【9】口呼吸が眠りの質を下げる

 寝室と寝床を整えたうえで、竹田さんがおすすめする“快眠グッズ”を試してみてもいいかもしれない。「鼻呼吸用テープ」と「耳栓」だ。

「専用のテープを口に貼って寝ることで睡眠中に口呼吸になるのを防ぎます。貼るだけなのに、翌朝は脳が入れ替わったのかと思うほどスッキリ目覚められますよ」

 鼻呼吸は、鼻毛が空気中の不純物を取り除き、粘膜が空気を温めてから吸い込むことで、効率よく酸素を吸収できる。一方、汚れた冷たい空気をダイレクトに吸い込む口呼吸だと、酸素不足に陥って睡眠の質が下がる。耳栓は、雑音は遮り、地震速報やサイレンはしっかり聞こえる、シリコン製のものが安心だ。そして布団に入ったら、気道を狭めないよう、横向きの寝姿勢がおすすめ。大切なのは、朝起きて「よく寝た」と思えること。早速今夜から実践しよう。

まとめ

●就寝したい時間の16~18時間前に起床する。

●起床時に陽を浴びる。スマホのブルーライトでもOK。

●目覚ましは、歌詞が口ずさめるくらいなじみの曲で。

●起床時間は一定に。平日と休日の起床時間の差は、30分以内にとどめる。

●真っ暗よりも月明かり。カーテンを少し開けて寝るのが〇。

●布団に入る1~2時間前に入浴。体温を1℃上げる。

●就寝前に寝間着に着がえる。寝間着の素材は吸湿性のある綿素材がベスト。

●まくらの高さは、ウレタン低反発製なら、6~12cm。

●「鼻呼吸用テープ」と「耳栓」はおすすめ。

 翌朝の目覚めまでよくなる完ぺきな睡眠環境は以下のイラストを参考に!

 

翌朝の目覚めまでよくなる完ぺきな睡眠環境。

教えてくれた人

竹田浩一さん/睡眠改善インストラクター、坪田聡(さとる)さん/雨晴(あまはらし)クリニック副院長・医学博士

イラスト/飛鳥幸子

※女性セブン2020年10月8日号
https://josei7.com/

●「寝不足脳」が健康を脅かす|睡眠時間6時間未満は認知症や糖尿病リスクが激増。正しい睡眠とは

●眠れないシニア…睡眠薬に頼るのは危険!うまく眠るためのコツ

●高反発マットレスはよりよい眠りに好影響!「睡眠負債」提唱らの共同研究結果

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