実は秋はカビが繁殖しやすい!「猛暑で酷使したエアコンは要注意」家の中のチェックポイント
今年は猛暑日が続き、10月の気温は乱高下。11月に夏日を記録する日もあり、夏日と秋の長雨で寒い日が交互にやってきている。あまり知られていないが、この気象環境は「梅雨」と同じくカビが繁殖しやすい。家中に潜むカビの大繁殖を抑え、健康被害を引き起こさないための基本知識とお部屋の場所ごとの対処法を専門家に教えてもらった。
教えてくれた人
千葉大学真菌医学研究センター・准教授 矢口貴志さん
医療環境管理士 松本忠男さん
住生活ジャーナリスト 藤原千秋さん
カビによる健康被害を防ぐために
カビが繁殖する条件は3つ。「20~30℃の温度」「60%以上の湿度」「ホコリや人の皮脂などの栄養源」だ。千葉大学真菌医学研究センター・准教授の矢口貴志さんが説明する。
「カビは30℃を超える温度は好まないため、今年は9月末まで猛暑が続いて活動を抑えられていましたが、涼しくなったタイミングで、カビの活動も活発化しています」(矢口さん・以下同)
「風邪だと思っていたら、カビによるアレルギー反応だったり、免疫力が落ちている人はカビそのものが肺に感染する肺炎(肺真菌症)を引き起こすこともあります」
病院清掃が専門で医療環境管理士の松本忠男さんが言う。
「黒カビの胞子のサイズは5μm。5mmの黒カビがあれば、約1000個の胞子があるのです。目に見えるカビがあるということは、目に見えない無数のカビの胞子が空中に舞い、壁や床のあちこちに付着しているはずです。これらを私たちが体内に吸い込んでしまうと、健康被害を引き起こしかねません」
特に夏に活躍したものほどカビリスクは高いと住生活ジャーナリストの藤原千秋さん。
「エアコンは内部の結露が乾く間もなく働き続けたため、黒カビが大量発生している可能性が。寝汗を吸った布団や枕、頻繁な入浴で汚れが蓄積した浴室もカビリスクは増大。例年以上の秋カビ対策が必要です」(藤原さん)
近年の住宅は気密性が上がっているが、換気が充分でない場合は、湿気がこもってしまう可能性が。ホコリや汚れが常にあるため、カビは一年中増殖できる。換気をしつつ、水を使った掃除が苦にならないいまのうちに、徹底的に掃除をし、カビを殲滅(せんめつ)!
◆カビ発生の3条件
●栄養:ホコリ・石けんカス・汚れなど
●温度:20~30℃
●水分:湿度60%以上
→栄養、温度、水分の3つの条件がそろうと「カビ繁殖」につながる!
◆東京の平均月別最高気温と湿度
グラフを見ると2023年秋はカビが発生しやすい気候であるということがよくわかる。
※気象庁の東京2023年のデータから作成。ただし、10月は10月18日までの平均値。