高齢の親にメイクや美容をアドバイスしよう!「眉の描き方」「産毛の処理」など一工夫で心も元気に【MAKEUPプロデューサー・SHOKOさん解説】
MAKEUPプロデューサーでYouTuberとしても大人気のSHOKOさんは、若い人からシニア世代まで幅広い世代に支持を得ている。「落ち込みがちだった80代の母親に、美容やファッションをアドバイスすることで、元気を取り戻した経験があります」と話すSHOKOさんに、高齢者世代に向けたメイク方法を教えてもらった。親とのコミュニケーションツールとして、是非参考にしてほしい。
教えてくれた人
SHOKOさん / MAKEUPプロデューサー
へメイクとして35年のキャリアをもつ。一般社団法人 美意識コンシェルジュ協会。2019年からYou Tubeチャンネル『SHOKO美チャンネル』(https://www.youtube.com/@shokobeautych)を開設、登録数は41万人超。テレビ番組への出演の他、GOKUSUI(ゴクスイ)化粧水の開発や、自身の美容メソッドを詰め込んだ「よくばり美容手帳」の発売など活躍の場を広げている。
眉を描く前にまず産毛の処理を
長年メイクをしていても、眉を描くのは苦手という人は多い。時代によって流行りもあるうえに、左右対称に描けなかったり、バランスが取れなかったりするもの。たるみなどで眉の形も変わってくる親世代はさらに難しくなりそうだが…。
「年齢を重ねると皮膚がたるむのに加え、眉毛の周辺にも産毛が生えて、全体的に眉が下がって残念な印象になりがち。眉が下がっていると泣き顔に見えるし、皮膚がたるんでいるから自分で描くのが難しくなってきます。
私がシニア世代のかたにメイクをする時は、最初に顔の産毛を剃ることが多いんです。産毛が生えていると眉毛の位置がわかりにくく、描きにくいんです。産毛が気になるかたは、専門のかたに顔剃りをお願いして、眉の形も整えてもらうのがおすすめです。
加齢とともに女性でも髭のように濃い産毛が生えてくることも。母に『眉や口の周りに産毛が生えているよ』と伝えても、自分ではわからないようで…。高齢になると老眼や視力が落ちてきて、産毛に気づけないことも多いんです。そんな母ですが、顔剃りに行くと『肌がツルンツルンになった!』って喜んで帰ってきます。
高齢者施設や在宅介護中でも訪問理美容などで顔剃りをしてくれる場合もあるので、そうしたサービスを利用してもいいと思います」(SHOKOさん・以下同)
眉の形を整えたらあとは色をのせるだけでOK
「眉も形が整っていれば、あとは塗り絵と同じ」とSHOKOさん。高齢者が自分で形を描くのはハードルが高いので、塗り絵のように色をのせるだけにするといいですよ。眉の形をプロに整えてもらっておけば、パウダーアイブロウで色をざっくりのせるだけです。ペンシルアイブロウで眉を1本1本描いたり、ぼかしたりするのは難しいので、ササっと色をのせるだけで十分なんです。
アイブロウは細いペンシルタイプではなく、ペンシルなら太いタイプを、または太めの筆を使うと簡単ですよ」
一般的なメイクでは眉の色は髪色に合わせることが多いが、髪に白髪が増えていたり、眉毛が薄くなって色がわからなかったりする親世代では悩ましいところ。
「髪の色に合わせることはあまり意識しなくてもいいと思います。アイブロウは2〜3色入りのパレットが多いですが、まずは中間の色を。2色パレットなら薄い色から使ってみて、物足りなかったら濃い色を足せばいい。
左右対称であるとか細かいことは気にせずに、寂しい印象にならないように色で華やかさを足してあげることが大事。眉もふわっと色がのっていればそれだけで優しい印象になります」
リップの血色感や髪のツヤ感も重視して
SHOKOさんによれば、「シニア世代の場合、眉をしっかり描くことにこだわりすぎるよりも、リップや髪の毛のケアを大切にして欲しいですね。唇に血色感があったり、髪の毛にツヤがあったりすれば、他人の目はそちらにいくものなんです 。
目の周りは老化が出やすいこともあって高齢者にとってアイメイクはハードルがやや高め。なので、アイメイクを頑張るよりも、髪をブラッシングしてオイルでツヤを出して整えたり、明るい色のリップを塗ったりしておくほうが若々しい印象になります」
メイクも服も色選びで心を元気に
「色は心を反映するもの。メイクで華やかになるのはもちろん、服の色選びも大事」とSHOKOさん。
「80代の母親が鬱っぽくなって元気がなかった時期があるんです。母はもともと華やかな色の服を好むタイプで、『年をとって暗い色を着ると老けて見えるから絶対に着たくないわ』と豪語していたのに、心に元気をなくしたときはグレーの服ばかり着ていたんです。元気を取り戻してからは、白や赤など明るい色を好むようになりました。
色は心の状態を反映するし、心に影響を与えるものです。だから、『キレイな桜色で似合うと思うよ』などと、明るい色の服をお誕生日にプレゼントしたりして意識的に明るい色を取り入れるといいと思います」
メイクをするモチベーションを上げる方法
「母はデーサービスで服を褒められると、気をよくしてまた同じ服を着て行ったりする(笑い)。高齢者にとって褒められることはすごく大事なので、まずは家族が『お化粧してキレイだね。ピンクの服がとても似合うね』などと褒めてあげましょう。
『孫にかわいい、キレイって言われたい』という理由で私のビューティー講座を受講される70代のかたもいらっしゃって、目標を持つことはとても大切。『今度、孫を連れて会いにいくよ』『一緒にお花見に出かけよう』などと理由をつけてメイクをするモチベーションを上げてあげましょう。
メイクをすると心もオープンになりますし、キレイになると話しかけられる機会が増えて周囲との会話も増えます。親が元気で社交的でいてくれたら、離れて暮らしていても安心ですよね。コミュニケーションツールとしてメイクを活用して欲しいと思います」
撮影/楠聖子 取材・文/青山貴子