どう生きるかより、どう死ぬか「QOD(死の質)」に注目 エリザベス女王、坂本龍一さんらが準備した「理想の逝き方」とは
「ライブでコンサートをやり切る体力がない。この形式での演奏を見ていただくのは、これが最後になるかもしれない」
今年3月に直腸がんで亡くなった音楽家の坂本龍一さん(享年71)は昨年12月、こんなメッセージを発した。同時にスタジオで収録したピアノ演奏の模様を約30の国と地域に向けて配信。これが“教授”のラストコンサートとなった。
坂本さんもまた、がんと闘いながら残される家族をケアすることに心を砕いた。
「2020年に見つかった直腸がんが全身に転移し、昨年6月にはステージ4であることを公表しました。闘病中にやせ細りながらも、連れ子を含む4人の子供を気にかけ、相続などで揉めないよう尽力していました」(坂本さんの知人)
残される家族を思い、トラブルの芽を摘むことで胸のつかえが取れて、QODが高まる。一般社団法人「日本看取り士会」の会長である柴田久美子さんが言う。
「死後に家族が揉めないための基本は遺言書やエンディングノートを準備すること。加えて、ただ書くだけでなく、どのように考えて分配を決めたのかを伝えることも大切です。特にわだかまりのある家族とは、生前のうちに顔を合わせて話し合っておきたい。元気なうちからコミュニケーションを取って心配事を解消することがQODを高めます」