ガソリン代の新たな補助金制度がスタート「燃料油価格定額引下げ措置」でどのくらい安くなる?いつから?【FP解説】
遠距離介護の移動に車が必要な人や生活に車が欠かせないシニア世代にとって、ガソリン代は家計に影響する大きな支出。燃料価格は生活用品にも影響があるため、今後の価格上昇も気になるところ。そんな中、新たに燃料代の引き下げ措置が開始された。いくらぐらい安くなるのか、ファイナンシャルプランナーで行政書士の河村修一さんに解説いただいた。
この記事を執筆した専門家
河村修一さん/ファイナンシャルプランナー・行政書士
CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、行政書士、認知症サポーター。兵庫県立神戸商科大学卒業後、内外資系の生命保険会社に勤務。親の遠距離介護の経験をいかし、2011年に介護者専門の事務所を設立。2018年東京・杉並区に「カワムラ行政書士事務所」を開業し、介護から相続手続きまでワンストップで対応。多くのメディアや講演会などで活躍する。https://www.kawamura-fp.com/
ガソリン価格の補助金でいくら下がる?
政府は5月22日からガソリンの価格を抑えるために「燃料油価格定額引下げ措置」という新たな施策を開始しました。この措置では、ガソリン1リットルあたり10円を上限とした定額の補助が行われます。
ただし、すぐに10円下がるわけではありません。全国平均の小売価格が毎週1円ずつ下がるように、補助額を段階的に増やしていき、最終的に1リットルあたり10円の補助額に達するよう設計されています。
※経済産業省 資源エネルギー庁「ガソリン価格の引き下げはいつから?今後どうなる?よくいただく質問に、資源エネルギー庁がお答えします!」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/gasoline_price_shien_2025.html
※経済産業省 資源エネルギー庁「新たな燃料価格支援策(燃料油価格定額引下げ措置)
について」2025年4月
https://nenryo-gekihenkanwa.go.jp/assets/pdf/outline10.pdf
段階的に進める理由は、ガソリン価格が一気に大きく下がると、給油待ちの渋滞や行列が発生したり、ガソリンスタンドが一時的に在庫切れになったりするなど、過去に見られたような混乱が再び起こる可能性があるからです。このような混乱を避けるために、定額支援10円に達するまで、毎週1円ずつ段階的に価格が下がるように補助金を増やしていきます。
なお、ガソリンの価格(補助金なし)が上昇した場合には、その上昇分を打ち消したうえで、さらに1円の補助が追加される仕組みになっています。一方、価格が下落した場合は、その下落分に加えて、さらに1円の補助が追加されます。
レギュラーガソリン価格は値下がり傾向
この新たな施策が好走した結果もあり、石油製品価格調査※によると、6月2日時点でのレギュラーガソリンの店頭現金小売価格は、174.3円で、6週連続の値下がりとなりました。
※経済産業省/資源エネルギー庁「石油製品価格調査」より(令和7年6月2日公表)。
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html
全国でもっとも値下げ幅が大きい県は?
レギュラーガソリン小売価格の都道府県別にみると、「値上がり」「横ばい」はゼロで、47都道府県すべてで値下がりが見られました。
最も値下げ幅が大きかったのは、高知県で1リットルあたり▲10.6円、次いで岡山県の▲7.7円となっています。
一方で、値下げ幅が最も小さかったのは沖縄局の▲1.6円でした。なお、1リットルあたりの小売価格が最も高かったのは鹿児島県の188.3円、最も安かったのは兵庫県の170.5円で、その差は17.8円となっています。
仮に50リットルの自家用車にレギュラーガソリンを給油した場合、鹿児島県では兵庫県よりも890円高くなる計算です。
※経済産業省 資源エネルギー庁 「石油製品価格調査」
https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/petroleum_and_lpgas/pl007/results.html
地方では車なしでは生活できない地域も
介護のための移動手段のほか、地方では車がなければ生活に支障をきたす地域が少なくありません。高齢になっても自家用車がなければ、スーパーへの買い物や病院への通院など日常生活に不便を感じる場面も多くあります。
バスや電車などの公共交通機関が廃止されたり、1日1~2本といった限られた本数しか運行されていない地域では、車は生活の足として欠かせないのが現実です。
また、多くの高齢者が年金収入のみで生活している中で、ガソリン代の負担は家計に直接影響を及ぼすことになります。さらに、ガソリンなどの燃料油の価格は、食料品や日用品などの価格にも上乗せされており、ガソリンなどの燃料油の価格を抑えることは、こうした物価高対策としても一定の効果が期待されるのではないでしょうか。
ガソリン定額補助【まとめ】
ガソリン1リットルあたり最大10円の定額補助により、価格の値下がりが続けば、年金収入のみで生活している多くの高齢者にとっては、経済的な負担の軽減につながります。特に、車が生活に不可欠な地方のかたがたにとっては、大きな支援となるのではないでしょうか。今後のガソリン価格の動向についても、引き続き注視する必要があるでしょう。