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認知症の母が家電のプラグを抜いてしまうと見守りカメラが作動しない!遠距離介護のピンチを救った生活便利グッズ

 作家でブロガーの工藤広伸さんは認知症の母を遠距離介護しているため、東京から母の様子を確認するために見守りカメラを活用し、エアコンなど家電も遠隔的に操作している。しかし母が電源プラグを抜いてしまう問題が発生。遠距離介護を支える便利な家電だが、認知症の母にはどうも気になってしまうようで…。認知症介護に役立つあるアイテムを導入してみると――。

執筆/工藤広伸(くどうひろのぶ)

介護作家・ブロガー/2012年から岩手にいる認知症で難病の母(81才・要介護4)を、東京から通いで遠距離在宅介護中。途中、認知症の祖母(要介護3)や悪性リンパ腫の父(要介護5)も介護して看取る。介護の模様や工夫が、NHK「ニュース7」「おはよう日本」「あさイチ」などで取り上げられる。著書『親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること』『親が認知症!?離れて暮らす親の介護・見守り・お金のこと』(翔泳社)『老いた親の様子に「アレ?」と思ったら』(PHP研究所)など。ブログ『40歳からの遠距離介護』https://40kaigo.net/、Voicyパーソナリティ『ちょっと気になる?介護のラジオ』https://voicy.jp/channel/1442

認知症の人が家電プラグを抜いてしまう理由

 認知症の人が家電のプラグを抜いてしまい、家電が動かなくなったり設定がリセットされたりする問題がよく起きます。わが家でも何度も経験したこのプラグ問題を、過去に実施した対策と今回新たに行った対策とを合わせてご紹介します。

 過去に書いた記事「認知症の母が家電のプラグを抜いてしまう…困った行動に息子が試した2つの対策」でも触れましたが、改めて認知症の人が家電プラグを抜いてしまう理由を挙げてみます。

・コンセントからの出火を心配してプラグを抜く

・電源を切るのではなく、プラグから抜いたほうが節電になると思っている

・リモコンを使った電源の切り方を忘れてしまい、やむを得ずプラグから抜いてしまう

 わが家でも母がインターネットのWi-Fiルーターのプラグを抜いてしまい、見守りカメラなど実家のIoT機器すべてが使えなくなったり、固定電話がつながらなくなったりしました。

 たくさんのIoT機器を駆使しながら遠距離介護を行っているため、ルーターのプラグを抜かれると見守りができなくなるだけでなく、エアコンの遠隔操作もできなくなるので室温を適温に保てなくなります。

 熱中症など命にも関わる問題だったので、わが家ではコンセントの位置をテレビの裏や部屋の高い場所へ変更する工事を行いました。この方法が最も確実ですが、電気工事業者への依頼が面倒ですし、工事費用がかかってしまいます。

初めて購入した便利アイテム

 そこで今回は、DIYが可能なコンセントカバーを購入しました。この方法は自分の書いた本『親の見守り・介護をラクにする道具・アイデア・考えること』(翔泳社)でも紹介したのですが、実は今回が初めての利用でした。

 コンセントカバーの基本的な用途は、小さな子どもやペットがコンセントにいたずらをしないよう防止するためのものです。実際に子どもがコンセントにヘアピンを差し込んで、感電した事故がありました。

 認知症の人も同じように、プラグを抜くだけでなく、濡れた手などでプラグを触って感電する可能性もあるため対策が必要です。

 コンセントカバーはコンセントの口数に合わせてサイズ展開されており、カバーで覆うことでコンセントを触れなくなり、家電プラグも抜けないようになります。

 ベビー用品を扱うメーカーから発売されているほか、インテリア雑貨を扱うメーカーでも取り扱いがあります。

 わたしがAmazonで購入したのは山崎実業の『コンセントガード』、価格は1007円(税込)でした。実家のコンセントは約50年前のもので、採寸するとサイズが若干合っていなかったのですが、最も近いサイズだったのでこちらを購入しました。

■山崎実業『コンセントガード スマート』
価格:1007円(編集部調べ)
https://www.yamajitsu.co.jp/product/item/01211/

 ベビー用品を扱うリッチェルからもコンセントカバーが販売されています。自宅に合ったものを選びましょう。

■リッチェル『ベビーガード コンセントフルカバー2連R』
価格:597円(編集部調べ)
https://www.richell.co.jp/products/baby/item/?sid=021524

母は玄関付近の見守りカメラのプラグを抜いてしまう

 母がよく抜いてしまうプラグは、屋内の玄関付近に設置してある見守りカメラでした。来客が誰なのかを把握するために必要なのと、トイレが近くにあるので母のトイレの様子を見るためのものでもありました。

 見守りカメラは母が急な来客にうまく対応ができない場合、わたしがカメラを通じて遠隔で対応するためのものでもあります。

 またトイレについては、母がトイレから30分以上出てこないときは、だいたい紙パンツをトイレに流してしまい、どう対処していいか分からずに困っているときです。録画された映像で見つけたら、実家に電話をしてヘルパーさんに状態を確認してもらっています。

 見守りカメラのプラグを母に抜かれてしまうと、わたしは見守りも来客の応対もできません。そこでコンセントカバーを使って、プラグ自体を隠すようにしました。

 購入したコンセントカバーはコンセントのサイズが合わないだけでなく、見守りカメラのプラグのサイズが大きく、カバーの中にうまく収まりません。

 そこで短い延長コードを購入し、その延長コードにUSB電源アダプターを差し込んで外に出し、コンセントカバーに強力両面テープを使って貼り付け、母が気にならないようにしました。またコンセントカバーが目立たないよう、壁の色と合わせた白色を選びました。

コンセントカバーを設置してどうなった?

 コンセントカバーを設置して1か月が経過しましたが、母は1度もプラグを抜いていません。外から見えるUSBケーブルは引っ張れば簡単に抜けますが、母はこのタイプのプラグを知らないので、触らないのだと思います。

 認知症の人の中には家電プラグを抜いてしまうほかにも、家電の待機ランプが気になって、そのランプを消すためにプラグを抜いてしまうかたもいます。母も気にするので、わが家ではエアコンやウォシュレットなど待機ランプすべてにビニールテープを貼っています。

 高い場所にあるエアコンのプラグを抜く認知症の方は転倒の危険性がありますし、冷蔵庫のプラグを抜かれると、食材が腐ってしまいます。コンセントカバーでしっかり対策しましょう。

 今日もしれっと、しれっと。

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