ケアマネ歴20年のベテランが教える介護が始まる前に知っておきたいこと|要介護認定手続き、サービス、費用…基本のき
審査の結果、「要支援1」「要支援2」なら、地域包括支援センターに相談して介護予防ケアプランを立てることになる。「要介護1」以上だと判定されたら、居宅介護支援事業所に依頼して、事業者のケアマネジャーと介護サービスの計画(ケアプラン)を決める。
「ケアマネは介護サービスを利用する際の相談窓口で、各サービス事業所との連絡・調整を行う重要な役割を担っています。ケアマネが所属する事業所は病院や介護サービス事業所に併設されていることが多いのですが、所属法人のサービスを過度に勧めず、複数の事業所を提示してご本人に選んでもらうことになっています。最終的に家での看取りも考えているなら、在宅医療に詳しいケアマネを選ぶようにしてください」(田中さん・以下同)
介護保険で受けられるサービスは26種類と多い。自宅に来てもらう訪問介護や訪問看護、日帰りで外の施設に通うデイサービスやデイケア、短期間施設などに宿泊するショートステイなどさまざまだ。
利用したいサービスをしっかり伝えよう
どんなサービスを利用したいのかを、しっかりケアマネに伝えることが大切だ。
「ヘルパーに『腕が上がらないから布団を干してほしい』と頼んでも、ケアプランに書かれていなければ断られてしまいます。近くにあったスーパーが閉店して買い物に行けなくなっても、伝えていないと代行してもらえません。必要だと思うものは相談して、ケアプランに加えてもらってください」
ケアマネとの信頼関係が在宅介護を左右するが、「希望を全然聞いてくれない」、「いつ電話しても留守で連絡がつきにくい」などトラブルが起きることもある。そんなときはケアマネを変えてもらうのも手だ。
「ケアマネが所属している事業所の管理者に連絡をして、『合わないので別のケアマネに変えてほしい』と伝えてみてください。別の事業所に連絡すれば、事業所ごとケアマネを変えることもできます」
ケアマネが変わればあなたの希望が通るかもしれない。
→「ケアマネを変更したい!」3つの対応方法やデメリットを社会福祉士・ライトさんが解説
介護の費用は、「いくらかかるか」ではなく「いくらかけるか」の発想で
在宅介護は施設に入居するよりも金銭面の負担が少ないとはいえ、いつまで続くかわからないからこそ、お金の知識もきちんと押さえておきたい。
介護保険では、介護度によって毎月受けられるサービスの限度額が定められている。原則は利用料の1割負担だが、収入が多ければ2割か3割負担で、限度額を超えた分は全額自己負担だ。
介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんは、こう語る。
「介護にかかる費用は平均して、在宅で月4万8000円、施設入居で平均12万2000円かかるといわれています。在宅で最も割合が多いのは、月1万~2万5000円の負担ですが、親の介護については、親のお金でまかなうことを基本とすべきです。 “いくらかかるか”ではなく、“いくらかけるか”という発想で予算を決めないと、続けられません。
そのためには親の預貯金、年金、民間の保険、負債、不動産など資産状況を把握しておきましょう。住民税が課税か非課税かを知っておくことも大事。非課税世帯なら、医療費や介護費、介護保険料が軽減されます」