ケアマネ歴20年のベテランが教える介護が始まる前に知っておきたいこと|要介護認定手続き、サービス、費用…基本のき
ある日、突然始まる親の介護。いつかは…と思っていても、結局何も準備をしないままいざというときに慌ててしまう人も多いかもしれない。在宅介護にとって、欠かせない存在がケアマネジャー(ケアマネ)だ。ケアマネとは、要介護認定を受けた人が適切な介護サービスを利用するために、ケアプランを作成し、市町村や介護サービス事業者との連絡や調整を行い、利用者の介護サービス全体をマネジメントする存在。介護保険法に規定された専門職だ。
「ケアマネジャーとの信頼関係が在宅介護を左右する」とも言われている。ケアマネ歴20年以上の田中克典さんに、介護の基本やケアマネとの付き合い方や、在宅介護を始める際に知っておくべきこと、かかってくる費用などを教えてもらった。
→ケアマネジャー(ケアマネ)とは?インスタで人気の社会福祉士がスライドでわかりやすく解説
いざというときすぐ介護サービスを受けられる事前準備を
介護をスタートする上で、欠かせないのは要支援・要介護の認定を受けることだ。
「65才になると市区町村から介護保険被保険者証が自宅に送られてくるが、それだけでは、いざというときに介護サービスを使えない」
と田中さん(以下、「」内同)。
“うちの親はまだ元気なので大丈夫”という場合でも、要支援・要介護認定を申請すると、意外とサービスを受けられることも少なくないそう。まずは、市区町村の担当窓口に問い合わせて、申請手続きをしてみよう。
「区分は要支援1、2から要介護1~5に分かれていますが、要支援1や2の軽い状態に認定されたままだと、自宅で介護サービスを使う場合に不利です。状態に見合った介護サービスを受けるためには、必要に応じて変更申請を行い、日頃から適切な介護度を維持しておくことが大切です」
要介護認定の手続きは以下の流れだ。
介護認定手続きの流れ
【1】電話などで相談 (市区町村の担当窓口へ)
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【2】要介護認定の申請
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【3】主治医意見書 (市区町村の依頼で主治医が意見書を作成)
訪問調査(市区町村の職員が自宅を訪問して審査)
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【4】要介護度の決定
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【5】認定結果通知 (申請から30日以内に通知)
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【6】非該当と認定
要支援・要介護と認定
【1】申請はどこへ?必要なものは?
●申請に必要なもの
・介護保険被保険者証
・健康保険被保険者証
・印鑑
・申請書(主治医の名前と連絡先も)
市町村の役所にある「介護保険の窓口」か「地域包括支援センター」で申請。本人や家族のほか、「居宅介護支援事業者」「介護保険施設」「社会保険労務士」に代行してもらうことも可能。
・以下の記事も参考に!
→【介護の基礎知識】地域包括支援センターの役割
【2】訪問調査
申請してから1週間以内に調査員が自宅や病院を訪問。本人の心身の状況などについて調査を行う。
・以下の記事も参考に!
→要介護認定で失敗しないコツ
【3】審査・判定
【4】認定結果の通知
申請から認定までは、原則として30日以内。自立、要支援1~2、要介護1~5の8段階に分けられ、認定結果が記載された介護保険被保険者証が自宅に届く。