大地震が発生したら…ビルが密集する繁華街で被災。 どこに逃げるべき?
阪神・淡路大震災では、約2500件のブロック塀の倒壊が発生した。いつ起こるかわからない地震…。命を守るために取るべき行動はなんだろうか?専門家に教えてもらった。
割れたガラス、外壁のタイル、自販機の転倒…落下物に要注意
首都直下地震が発生した場合、それをはるかに上回る約8万件の倒壊被害が出ると推計されている(※)。さらに自動販売機の転倒による被害は約1万5000件、窓ガラスや外壁、看板などが落下する建物数は約2万2000棟。これらブロック塀・自動販売機の転倒や屋外落下物が原因で、最悪約500人の犠牲者が出ると予測されている。
※内閣府「首都直下地震の被害想定と対策について」(’13年12月公表)より
「街中で被災した際、ブロック塀や自動販売機の近くは確かに危険ですが、注意が必要なのはそれだけではありません。雑居ビルが建ち並ぶオフィス街や繁華街では、ビルの窓ガラスが割れたり、外壁のタイルがはがれ落ちたり、看板やネオンサインなどが落ちてくるなど、落下物による事故に巻き込まれる可能性があります」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
割れた窓ガラスが中・高層ビルから落下するときの速度は、時速40~60km。万が一、当たったら致命傷になりかねない。運よく避けられたとしても、地面にたたきつけられたガラスは落下した高さの約1.5倍まで飛び散るため、破片でけがをしてしまう。
では落下物の危険性が高いオフィス街や繁華街で被災した場合、どうすべきか?
かばんや上着で頭を保護する
「揺れを感じたり、緊急地震速報を受信したら、すぐにかばんや上着などで頭を保護し、できるだけ高い建物から離れるようにしましょう」(和田さん・以下同)
とはいえ、両側がビルだったり、ビルと道路に挟まれていたりして、建物と充分に距離をとれない場合もある。ビルが倒壊する可能性もあるので、建物から離れた方が安全そうだが‥‥。
新しい建物、鉄筋の建物の中に避難する
「道路方向への避難は、地震による揺れで車がハンドルをとられ、それに巻き込まれる危険性が。ビルや建物の安全性を即座に見分けるのは難しいですが、比較的新しい建物や鉄筋の建物なら、倒壊の可能性は低い。逃げ場がなかったら、そういった建物の中に避難するのがおすすめです」
揺れがおさまったら、周囲の安全を確認して、会社の近くなら一度会社へ、公共交通機関が止まっているようであればその地域の帰宅困難者支援施設などに向かおう。
→地震で電車が止まり帰宅困難になったら…覚えておきたい「指定避難施設」って?
まとめ
●割れたガラス、外壁などの落下物に要注意
●地面にたたきつけられたガラスは落下した高さの1.5倍まで飛び散ると心得る
●かばんや上着で頭を保護しよう
●車道側への避難は、車の事故に巻き込まれる可能性も
●比較的新しい建物の中に避難する
●揺れがおさまったら、一度会社へ戻ろう
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年10月22日号
https://josei7.com/
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