行楽先の山・川で地震が起きたら…河川津波、山津波に要注意!
行楽の季節。山に出かけ、絶景の川を眺めて…というときに、大きな地震が起きたら――。命を守るためにはどうしたらいいのだろうか。正しい行動をとれるよう、今すぐ覚えておきたい心構えを専門家に教えてもらった。
海だけでなく川で被災した場合も、まず注意すべきは津波である。通常、津波による被害は海岸から数㎞以内に集中するが、東日本大震災では、津波により川が逆流する“河川津波”が発生。河口から12km付近まで被害がおよんだ。
特に、宮城県と岩手県を流れる北上川流域の被害は甚大で、河口から約50kmの地点まで津波が川をさかのぼり、多くの人的被害が発生した。
河川津波に要注意
今後30年以内に70~80%の確率で起きるといわれている南海トラフ巨大地震でも、河川津波が各地で発生すると予想されている。
●地震が起きたら、川からすぐ離れる
「全国的に海岸周辺の津波対策は進んでいますが、河川津波の対策は遅れています。地震が起きたら、川からすぐに離れてください」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
さらに川での被災は、上流・中流・下流によって注意点が変わるという。
●川から10kmまでに地域は、川から充分な距離のとれる高い場所へ逃げる
下流では、河口が外洋に面している場合、津波が川を遡上する可能性がある。
「河口から10km程度までの地域は、海から離れるとともに、川からも充分に距離をとれる場所、かつ高い建物の上などで身の安全を守りましょう」(和田さん・以下同)
河口が外洋に面していない場合(東京では隅田川や多摩川など)、津波の遡上は警戒しなくてよいが、地盤沈下や堤防決壊などの恐れがある。土のうを用意するなどの浸水対策が必要だ。
●豪雨などの後で、水位が高いときは、中流付近も要注意
一方、中流付近は地震による影響が少ないため、河川敷が地震時の避難場所に設定されることもある。だからといって安全とは言い切れない。
「梅雨時や豪雨の後などで水位が高いときは、地震によるダム決壊などで被害が発生する可能性があります。安全が確認できるまではなるべく近づかないようにすべきです」
では、山間部の上流付近はどうか。
●山間部は山津波の危険性が。一刻も早く下山を
「地震によって土砂が津波のように押し寄せる“山津波”などの土砂災害が起きる危険性があります。山の中では、川などの谷筋に沿って土砂崩れが発生しやすいので、揺れが収まったら一刻も早く川から離れ、下山してください」
土砂災害は、余震の発生時に発生することも。下山中は落石や崖崩れなどに注意し、平地にたどり着くまで油断しないでおこう。
まとめ
●川から10kmまでの地域は、川から充分な距離のとれる高い場所へ逃げる。
●中流付近は地震の影響は少ないが、豪雨の後は要注意。
●山間部は一刻も早く下山を。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
イラスト/大窪史乃
※女性セブン2020年9月17日号
https://josei7.com/