夜間から早朝にかけて咳がひどい・掃除をすると咳が出る人は「ゴキブリ喘息」の可能性も 夏に悪化しやすい喘息の対策法を専門医が解説
高温多湿な環境を好む「ゴキブリ」は、1年の中で夏に最も活発に行動する。そのゴキブリの糞や死骸がアレルギーの原因となり、喘息を引き起こすと言われている。夏に危険度が高まる喘息の正しい対策を専門医に聞いた。
教えてくれた人
三島渉さん/横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長
夏場に活発化!その咳は「ゴキブリ喘息」かもしれない
夏には家に棲息する“虫”が喘息を引き起こす危険性もある。
どこからか聞こえるカサカサ音、ふと見ると動く黒い点……。夏に最も活動が活発化する「ゴキブリ」が、喘息の原因になっているというのだ。その名も「ゴキブリ喘息」。
横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック理事長の三島渉医師が語る。
「ゴキブリの体表、糞、死骸などに含まれるタンパク質は非常に小さいため、空気中に舞い上がると鼻や気管支に入り込んでしまう。それがアレルゲンとなって体が過剰に反応し、喘息発作を引き起こすのです。近年の研究で、夏場の喘息の一因になっていることが明らかになってきました」
その症状はいくつかの特徴があり、以下に当てはまる場合は、ゴキブリ喘息が疑われるという。
「夜間から早朝にかけて咳がひどくなる、掃除や片付けをすると咳き込む、呼吸時にゼーゼー・ヒューヒューと音がする、息苦しさや胸の締めつけを感じる、などです。もともとダニやホコリなどにもアレルギーを持っている人は注意が必要だと言われています。一年を通じて夏はゴキブリが最も発生しやすいうえ、換気が不十分になりがちなので、アレルゲンが室内に蓄積しやすく、症状が悪化してしまう」(三島医師)
予防には、排水口や隙間などゴキブリの侵入口を塞ぐこと、食べかすや油汚れを残さないこと、台所やゴミ周りを清潔に保つなどの“ゴキブリ対策”が第一。
「換気や除湿器で湿気を減らすことや、できれば小さな粒子も捕集できるHEPAフィルター付き掃除機でこまめに掃除し、室内のアレルゲンを除去することも大切です」(同前)
ゴキブリにアレルギー反応があるかどうかは病院の血液検査で調べることができる。
「カビの対策をしてもなお夜間の咳や掃除の際に咳込むなどの症状がある人は要注意。ゴキブリ喘息の可能性を視野に入れて、早めに呼吸器やアレルギーの専門医に相談してください」(同前)
これからが猛暑の本番。「のどの異変」の原因を知り、家の外、家の中で正しい対策を心がけたい。
こんな症状が出たら「ゴキブリ喘息」を疑う
・夜間〜早朝に咳がひどくなる
・掃除や片付けをすると咳き込む
・呼吸がゼーゼー・ヒューヒューと鳴る
・息苦しさや胸の締めつけを感じる
・ダニ、ホコリなどにもアレルギーがある
「ゴキブリ喘息」にならないための家でできる対策
・掃除はこまめに。特に台所やゴミ周りを清潔に保つ
・食べかす、油汚れを残さない
・湿気を減らす(換気・除湿機を活用)
・ゴキブリの侵入口を塞ぐ(排水口、隙間など)
写真/写真AC
※週刊ポスト2025年8月1日号
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