100円ショップの優秀洗剤を使いこなして「年末の大掃除をラクに!」選び方や使い方を家事アドバイザーが解説
年末が近づくと気になる大掃除。「昨今、洗剤の種類が多すぎて何を選べばいいかわからない」と感じている人も多いのではないだろうか。実は、100円ショップでも掃除のプロも愛用する優秀な洗剤が揃うという。節約・家事アドバイザーの矢野きくのさんに選び方を教えてもらった。
この記事を執筆した専門家
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
年末掃除に役立つ100円ショップでも買える優秀な洗剤とは?
「大掃除が面倒くさい」「市販の洗剤は種類がありすぎて選ぶのが大変」と感じているかたも多いのではないでしょうか。
実は、掃除のプロも愛用する優秀なアイテムが、今や100円ショップで手軽に手に入ります。それが、以下のクリーナーです。どれも環境にも優しく、汚れ落ちもパワフルです。
・セスキ炭酸ソーダ
・重曹
・クエン酸
・過炭酸ナトリウム
これらのクリーナーは、その特性(pH)を理解しているかどうかで、汚れ落ちが劇的に変わってきます。キッチンで使うべきものと、お風呂場で使うべきものがわかれば、これまでの苦労は何だったのかと思うほど、掃除がスッキリと片付きます。
今回は、この4つのアイテムがそれぞれどのような汚れに強く、どのような特徴を持っているのかをご紹介します。安価で手に入り、特徴を理解するだけで劇的に掃除効率がアップする、アイテムの魅力をぜひ知ってください。
「これさえあれば!」定番3種の特長と使い方を解説
まずは、「セスキ炭酸ソーダ(以下、セスキ)」、「重曹」、「クエン酸」の3つのクリーナーから解説します。この3つの用途や使い方を覚えれば、たいていの場所を掃除することができます。
油汚れや皮脂汚れに強い「セスキ」、焦げ付きや消臭に活躍する「重曹」、水あか、尿石を落とす「クエン酸」があれば、洗剤を何本も揃えなくても大丈夫です。それぞれ、特長を覚えておきましょう。
【1】高い洗浄力がある「セスキ」
セスキ炭酸ソーダのpHは9.0~10.0で、アルカリ性に分類されます。
その最大の特徴は、弱アルカリ性の重曹よりも高い洗浄力を持ちながら、水に非常によく溶けるという点です。
このため、スプレー状の水溶液として使用するのに最も適している洗剤であり、日常的な掃除に取り入れやすいのが魅力です。
適した汚れは、酸性の汚れ全般で、特にキッチン周りの軽い~中程度の油汚れや、ドアノブ・スイッチプレートなどに付着した手あか・皮脂汚れに驚くほどの効果を発揮します。
使い方のポイント
水500mlに小さじ1程度のセスキ炭酸ソーダを溶かしたスプレーを汚れに吹きかけ、数分放置してから布で拭き取る「セスキスプレー」として使うのが基本となります。
頑固な汚れには、セスキ水を染み込ませたキッチンペーパーでパックする湿布法も有効です。
【2】消臭効果も抜群 「重曹」
重曹のpHは8.0~8.5と、セスキや過炭酸ナトリウムよりもマイルドな弱アルカリ性です。
特徴は、水に溶けにくい細かい結晶を持っている点にあります。この結晶を利用した研磨作用が最大の強みで、シンクやコンロの軽い焦げ付きや水あかの初期段階などを、傷つけずに優しく磨き落とすことができます。
また、優れた消臭効果も持ち合わせており、生ごみや冷蔵庫、靴箱などの気になる臭い取りにも使われます。適した汚れは、軽い酸性の汚れや、研磨によって落とせる汚れです。
使い方のポイント
使い方は多岐にわたり、粉末を直接スポンジにつけて磨く「研磨剤」としての使い方、容器に入れて置いておく「消臭剤」としての使い方、そして水に溶かして軽く油汚れを落とす「重曹水」としての使い方が挙げられます。
【3】水回りに強い「クエン酸」
クエン酸のpHは2.0~3.0で、酸性に分類されます。
クエン酸の得意分野は、水に溶けやすい性質を活かして、アルカリ性の汚れを中和し分解することです。そのため、水道水のミネラル分が固まってできる白い水あかや、浴室の石鹸カス、トイレの尿石など、アルカリ性の汚れに対して高い効果を発揮します。
また、除菌・殺菌効果や消臭効果もあり、水回りの掃除の仕上げにも適しています。ただし、塩素系の洗剤(カビ取り剤や漂白剤)と絶対に混ぜてはいけないという重要な注意点があります。
使い方のポイント
水200mlに小さじ1程度のクエン酸を溶かしたスプレーを水あかの箇所に吹きかけ、しばらく放置(パック)してから洗い流す「クエン酸スプレー」が一般的です。電気ケトル内のカルキ汚れは、クエン酸水を沸騰させて数時間放置すると綺麗になります。
3つの定番洗剤【セスキ】【重曹】【クエン酸】の特長
【セスキ】
・液性/アルカリ性
・主な使用目的/スプレーして拭き取る、つけ置き
・大掃除に最適な場所の例/キッチンコンロ周り、換気扇の外側、リビングの壁、ドアノブ、冷蔵庫の外側・内側
・得意な汚れのタイプ/油汚れ、手あか、皮脂汚れ、焦げ付き始めの汚れ(酸性の汚れ)
【重曹】
・液性/弱アルカリ性
・主な使用目的/研磨、消臭、つけ置き
・大掃除に適した場所/電子レンジ、オーブン庫内、排水口のぬめり、消臭、シンク磨き、ガスコンロの焦げ付き
・得意な汚れのタイプ/油汚れ、皮脂汚れ、軽い焦げ付き、臭い(セスキよりマイルド。研磨作用も利用可能)
【クエン酸】
・液性/酸性
・主な使用目的/スプレーして溶かす、つけ置き
・大掃除に適した場所/浴室の鏡・蛇口、トイレの便器、床、電気ケトル・加湿器の白いカルキ汚れ、食洗機の庫内
・得意な汚れのタイプ/水あか、石鹸カス、尿石、アンモニア臭(アルカリ性の汚れ)
「過炭酸ナトリウム」にも注目「漂白・除菌・消臭マルチに働く」
そして、ここ数年で注目されているのが、過炭酸ナトリウムです。最近100円ショップでも取り扱うようになりました。
「過炭酸ナトリウム」として商品名に出されるようになったのは、ここ数年ですが、「オキシ漬け」としての使い方が有名な“オキシクリーン”も過炭酸ナトリウムが含まれています。酸素系漂白剤と呼ばれるものと同じ性質があります。
過炭酸ナトリウムのpHは10.0~11.0で、セスキよりも強力なアルカリ性です。大きな特徴は、40℃から60℃の熱めのお湯に溶かすことで大量の酸素の泡を発生させる点にあり、この酸素の力で汚れを分解し、同時に漂白・除菌・消臭を可能にします。
適した汚れは、有機性の汚れ全般で、特に洗濯槽の裏側のカビや、食器の茶渋・くすみ、衣類のシミ(血液、食べこぼしなど)、排水口のぬめりなどに非常に有効です。
使い方のポイント
主な使い方は「つけ置き」です。過炭酸ナトリウムを熱めのお湯に溶かし、汚れたものを数時間浸け置きます。洗濯槽掃除では、高水位まで熱めのお湯を張って過炭酸ナトリウムを入れ、一晩放置してから通常通り運転するのが最も効果的です。ただし、アルミ製品や一部の素材には使えないため、事前に確認が必要です。
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ご紹介した「セスキ炭酸ソーダ」、「重曹」、「クエン酸」、「過炭酸ナトリウム」は、それぞれアルカリ性・酸性の特性を持ち、得意な汚れが明確に異なります。これらの特性を理解し、汚れの性質に合わせて使い分けることが、家事の効率を飛躍的に高める鍵となります。エコで安全性の高いこれらのアイテムを賢く取り入れ、日々の掃除や大掃除をより快適で効果的に済ませてくださいね。
