猫が母になつきません 第475話「きゆう」
いまやぐれの甘えん坊ぶりはたいへんなもので、私がデスクで仕事をしているときには椅子の背とお尻の間に割り込んで寝ているくらいべったりです。抱っこができるようにならないと病院に連れて行けないので、かわいがり、かわいがり、かわいがって育て、今はだっこも平気、いや、むしろウェルカム。隊長のほうはぐれよりも用心深く、まだ抱っこは少し抵抗があるようです。
ぐれを病院に連れて行くにはまず洗濯ネットに入れて、それからキャリーバッグにインしなくてはなりません。キャリーバッグは普段から出しっぱなしでトンネルみたいにして遊べるようにしていました。洗濯ネットも事前にその辺に放置して慣れさせておいて、当日は抱っこしてすぐにするんとネットにいれ、ファスナーを閉め、バッグにストンと押し込みました。ぐれはびっくりしすぎたのか鳴き声をまったくあげませんでした。すぐに車に乗せて病院へ。さすがに車の中や病院では鳴いていましたが、診察のときも注射のときも暴れることなく、虫下しができているかうんちの検査待ちの間に、優しい先生におやつをもらいました。
家に帰って洗濯ネットから解放されたぐれ、初めての自動車、初めての病院、怖い思いをさせられて、さすがにしばらくは私に寄りつきもしないだろうと覚悟していたのですが、ごはんを食べて落ち着くとさっそく膝の上に。え?さっきの仕打ちをもう忘れたの?私だったら許さないよ、抱っこすると見せかけて洗濯ネットに入れられたりしたら。
かわいいな、かわいいな。私は毎日2匹を撫でながら何度もそう呟いています。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母と暮らすため地元に帰る。ゴミ屋敷を片付け、野良の母猫に託された猫二匹(わび♀、さび♀)も一緒に暮らしていたが、帰って12年目に母が亡くなる。猫も今はさびだけ。実家を売却後60年近く前に建てられた海が見える平屋に引越し、草ボーボーの庭を楽園に変えようと奮闘中(←賃貸なので制限あり)。
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