60代以上は見直したい食の新常識!健康寿命を延ばす[やめるべき&続けるべき]習慣を管理栄養士が提言
中更年期を迎えると身体的にも社会的にも変化が多くなるが、本格的な老化を迎える前に生活習慣を改めなければ、将来健康に不安を抱えながら暮らすことになるかもしれない。健康習慣で気をつけたいのが運動や睡眠、そして食事だ。当たり前の健康常識を疑い、あなたに必要な情報をアップデートしよう。
教えてくれた人
松田真紀さん/管理栄養士。日本抗加齢医学会認定指導士、アンダーザライトヨガスクール認定講師。各メディアで活躍するほか、兵庫県神戸市で発酵デリ専門店「hakko matsuda slow food okamoto」を経営している
60代を元気に過ごすために『腸活』が大事!
「加齢により胃腸の機能も低下するので、若い頃より消化に時間がかかります。さらに、60才を過ぎると腸内の善玉菌がガクンと減ってしまうため、中高年女性こそ『腸活』が大事! 筋トレと同様、腸もトレーニングできますよ。食物繊維を“少しずつ”摂ることで“消化力”がつくんです。腸内細菌は2週間から1か月もあれば入れ替わるので、毎日続ければ必ず変わるはず。効果を焦って摂りすぎると逆効果なので、気をつけて。添加物も腸に負担をかけるので、摂りすぎに気をつけましょう。添加物は皮膚への刺激もあるので、急にアレルギー体質になる人もいます」(松田さん・以下同)
60才になったらやめるべき&続けるべき食習慣の新常識6選
やめるべき!【食習慣の新常識1】生野菜を積極的に食べる
「ベジファーストや腸活のため、食物繊維が豊富なサラダを食べなきゃという気持ちはわかります。でも、胃腸の運動機能が衰えているところに生野菜は、消化不良になることもあり、体も冷える。この年代になったら、温野菜やスープ、レンジ蒸しやグリルなど、消化しやすい状態で摂るのがおすすめです。長時間煮込まなければ栄養素の欠損も防げます」
生野菜に含まれる不溶性食物繊維が消化しきれず、かえって便秘やガスがたまる原因に。
やめるべき!【食習慣の新常識2】60代以上は肉より魚を食べるべき?
「肉と魚は、1日おきに交互に食べるのが理想的。よって、もちろん魚も必要ですが、老後のために噛む力、飲み込む力を維持するという観点で、肉も食べてほしい。また、牛肉には亜鉛やマグネシウム、豚肉にはビタミンB1や鉄分が豊富で、魚より吸収効率が高いんです。亜鉛とマグネシウムは代謝を押し上げ、ホルモンを作り出し、傷ついた部分を修復して臓器を働かせる役割があります。塊肉が苦手なら、ひき肉でもOK。ちなみにうなぎも亜鉛の宝庫です」
続けるべき!【食習慣の新常識3】朝食は一日の活力の源。しっかり摂った方がいい?
「はい。朝食を食べることで体内時計を整える働きがありますが、少量でもOK。たくさん食べて元気に動ける人は問題ありませんが、食べすぎると血糖値が上がり、一日中食欲が止まらないことも。食欲がない日は白湯だけでもいいと思います」
やめるべき!【食習慣の新常識4】朝はまず果物かフレッシュジュースでビタミン補給をする
「果物は、緩やかですが血糖値を上げるものが多いので、気になる人は、食中か食事の最後が◎。繊維をつぶしたジュースは、グンと血糖値が上昇するので注意しましょう。上昇が穏やかなベリー類や柑橘類がおすすめです。MCTオイルやエクストラバージンオリーブオイルをかけると、血糖値の急上昇を抑えられます」
やめるべき!【食習慣の新常識5】サラダ代わりに野菜ジュースを飲む
手軽な野菜補給として利用する人を見かけるが、「野菜ジュースは食物繊維が取り除かれているので、サラダ代わりにはなりません!甘い炭酸飲料やフルーツジュースを飲むよりはいいと思いますが、おかずではないです」。
続けるべき!【食習慣の新常識6】グルテンフリーは美肌効果がある?
「小麦アレルギーの人は、肌の炎症が軽減されるでしょう。ただ、添加物や糖分などが多いものは皮膚を刺激し、腸内環境も悪くなります。ちなみに、過敏性腸症候群や便秘がちなど腸が弱いかたは、グルテンを摂ると消化しきれず膨満感が出やすいので、摂取量を減らすと楽になることも。加齢とともに腸の働きは低下しますので、精製された小麦は控えめにしていただくのが望ましいですね」
取材・文/佐藤有栄 イラスト/鈴木みゆき、しまだなな 写真/PIXTA
※女性セブン2024年6月6日号
https://josei7.com/
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