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高齢者のための食事作りに役立つ<食材をやわらかくする>調理のコツを管理栄養士が解説

 高齢の家族が食事を食べににくそうにしている、むせやすくなった…。そろそろ食材をやわらかく調理する”介護食”作りが必要かも?そんなときに覚えておきたいのが、食事のやわらかさ・かたさ(区分)と、基本の調理方法。介護食作りおける調理のポイントを管理栄養士の川鍋仁美さん教えてもらいました。

教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん

管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/

食べる人に合うやわらかさ・かたさを理解しておきましょう

「高齢者」といっても、噛む(咀嚼)・飲み込む(嚥下)機能の状態はひとりひとり違います。そのため介護食の種類もさまざまです。

 どんなやわらかさの介護食を作れば良いのか不安がある場合は、まずは介護食の区分を知っておくといいでしょう。

「区分」とは、「食べやすさ・飲み込みやすさ」の目安となる基準です。日本介護食品協議会が名付けた「ユニバーサルデザインフード」と呼ばれる食品に使用されている自主規格がよく知られています。

 ユニバーサルデザインフードには、噛む力、飲み込む力の状態によって「区分1:容易にかめる」「区分2:歯ぐきでつぶせる」「区分3:舌でつぶせる」「区分4:かまなくてよい」の4つの区分が設けられています。

 これらは、もともと介護者が高齢者向けの食品を選ぶ際にわかりやすくすることを目的に統一した目安として設けられたものです。

 区分表を見てみると、噛む力・飲み込む力のレベル分けの表現もわかりやすく、調理例なども写真で掲載されているので、初めて介護食と向き合うかたがやわらかさの基準を知るのにおすすめです。

 介護食のやわらかさ、食材の大きさやとろみの基準に悩んだときは、かかりつけ医や地域の管理栄養士、ケアマネージャーなどに相談してみるといいでしょう。

 作りたい介護食がどのくらいのやわらかさ、かたさに調理するかをイメージできたら、具体的な調理方法のポイントをご紹介していきます。

→【介護食の基本】“区分”って何? 正しい市販品の選び方

介護食を食べやすくするための調理方法

 介護食は、食べる人の嚥下の状態にあわせて、細かく刻んだり、つぶしたり、よく加熱して食材をやわらかく調理する必要があります。

 食べやすい介護食を作るには、以下のような調理方法があります。それぞれポイントを確認しておきましょう。

1.煮る・茹でる・蒸す

 食材は煮る、茹でる、蒸すなど、時間をかけてよく加熱調理することでやわらかくなり、噛みやすく飲み込みやすい状態になります。

煮る・茹でるとき「食材は繊維を断ち切る」と時短に

 野菜の場合は、加熱調理の前の下処理の段階で皮を厚めに剥いておくと火の通りも早くなります。食材を切るときも繊維を断ち切る方向に包丁を入れること、大きめに切る場合は乱切りなど表面積がなるべく大きくなるような切り方をするとやわらかくなりやすいです。

栄養の吸収を考えるなら「蒸し料理」がおすすめ

 煮る・茹でる調理法は、食材の水溶性の栄養成分が煮汁に溶け出してしまいます。野菜類は特に水溶性の栄養分が豊富なので蒸し料理がおすすめです。煮る場合はとろみなどつけて煮汁まで一緒に盛り付けるとより良いでしょう。

2.きざむ・つぶす

 加熱調理をして、やわらかくなった食材をきざんだり、つぶしたりすることで食べやすくなることも多いです。きざむ場合は食べる人のかむ力、飲み込む力の状態に合わせた大きさに(一般的には1㎝程から)すると良いでしょう。

葉野菜は「ゆでる→きざむ」の順で

 食材は細かくきざんでから茹でると、早くやわらかくなりやすいですが、水溶性の栄養成分が失われやすく、水っぽくなります。葉物の野菜などを調理する際は、特に「茹でてから切る」ようにしてみましょう。

いもや豆は熱いうちに!

 いも類、豆類をつぶす場合は、加熱して熱いうちにつぶしましょう。冷めてからつぶすと、つぶしにくくなる上、粘り気が出やすく飲み込みにくくなってしまいます。

3.すりおろす

 果物など加熱に不向きな食材も、生のまますりおろすことで食材そのものの風味を残せるので喜ばれることが多いです。

食材をすりおろしてとろみを活用

 じゃがいもや里いもなどの芋類やレンコン、とうもろこしなどはすりおろして加熱することででんぷん質のとろみがつきます。とろみ剤を使用するほどではないけれど、飲み込みが気になってきたかたには、とろみがつきやすい野菜をすりおろしたポタージュやすり流しなどもおすすめです。

***

 今回は介護食作りの中でも「やわらかく調理する」ことをテーマに、調理の仕方やポイントをご紹介しました。

「やわらかく調理する」とひと言で言っても、調理法はさまざまです。同じ食材でも調理方法を変えるだけで、違った食感や見た目になるのでアレンジも楽しめると良いですね。

●介護食に使うときは要注意の食材8選と調理のポイント「パサパサ、ホクホク、パラパラ」はNGの理由を管理栄養士が解説

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