猫が母になつきません 第307話「いらない」
今年も始まってしまいました…。梅仕事も3年目ともなればノウハウも蓄積されてきて、今年は瓶を使わずにすべてジッパー付きのビニール袋で漬けることにしました。うちはキズ梅が多いので発酵させてしまう確率が高い。そうなると熱処理で発酵止めした後で冷蔵庫に入れたほうがいいので、瓶だと入らなくて結局ビニール袋に移すことになるのです。母が以前漬けた梅干しはまったく減っていないので、今年も全部梅シロップにすると言っているのに母はそのことをすぐに忘れてしまい、何度も何度も梅干しの準備のことを言って来る。それならと紙に大きく「全部梅シロップにします。必要なのは氷砂糖だけ」と書いて冷蔵庫に貼りました。これでやっと…と思う間も無く母が部屋に来て「梅干しの塩は…」(疲)。さらにテーブルの上と台所の壁用に同じ紙を2枚書き「妹一家が楽しみにしてます」と付け加えると、母の頭はすっと梅シロップモードにシフトしてくれました。「梅干しは誰も食べないから作らない」というより誰かが楽しみにしているから、と言えばよかったんだ…物は言いよう、と学びはしたものの、最初からうまく言うなんて難しいと思う。
【関連の回】
第205話_「しんりゃくされる」
第206話_「うめしごと-その1-」
第207話_「うめしごと-その2-」
第208話_「うめしごと-その3-」
第255話_「はじまる」
第262話「うめしごと」ー実写入り特別編ー
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。
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