猫が母になつきません 第200話「つかわない」
何年使わなかったらそれはいらないものだとか、持ち物の何割は必要ないとか、ものを処分する基準がいろいろありますね。うちには何年どころか何十年も使われていないものがたくさん、99%くらいが必要ないもので占められています。年老いた母とくらしはじめるまで「捨てる」ということがこんなに難しいことだとは思いもしませんでした。捨てないまでも「手ばなす」という方法も今はいろいろありますが、母にとっては同じこと。私も最近は捨てるのをあきらめ、そのかわりにいらないものの箱には×印をつけます。「中身を見ずに処分していい」という印です。とりあえずそれで私のなかでは「処分したも同然」ということにして、すこしだけ溜飲を下げています。
おかげさまで連載は200回を迎えました。つたない内容にもかかわらず毎週読んでくださる皆様のおかげです。ほんとうにありがとうございます。200回の連載の間に母はますます物忘れと失くし物がひどくなり、ときどき妄想、腰の圧迫骨折1回、耳は遠くなり、食も細くはなりましたが大きな病気はなくとても元気です。私はといえば二回救急車のお世話になり(母は0回)、最近も肩をいためてリハビリ通い、とにかく病院にはよくお世話になりました。老老介護の入り口でこの有様では先が思いやられます(泣)。今は新型コロナウィルスの感染拡大で、高齢者の方やご家族はとても神経を使われていますよね。うちの母はまったく呑気にしていますが、私はうつらないよう、うつさないよう、終息まで気を緩めずに過ごそうと思います。無事終息を迎えたら朱塗りのお椀を出してお祝いでもしようかな。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。
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