60才を超えたら食べないほうがいいもの、食べたいもの|30人の専門家が指摘
60才を超えると活動量や代謝量が減少し、体の状態も大きく変化するため“何を食べるか”が重要になってくる。具体的に何を食べるのがよいのか?また、どのような食品を口にしてはいけないのか――。食と健康の専門家30人に聞いた。60才を過ぎたら食べないほうがいい食材と、食べるべき食材を合わせてお伝えする。
60才を過ぎたら「食べないほうがいい」と専門家が指摘するものは?
60才を過ぎたら「食べない方がいい」と、多くの専門家が口をそろえたのは「加工食品」全般だ。90才にして現役の日本最高齢フィットネスインストラクター、瀧島未香さんはこう話す。
「厚生労働省が安全性を認めている食品添加物テストは基本点に“単品”で行われているため、複合的に摂取したときにどんな影響が出るのか、はっきりわかっていないものも多くあります。私は自分が調理したもの以外はほとんど口にしません」
AGE牧田クリニック院長の牧田善二さんも、ハムやベーコン、ソーセージなどの加工肉はなるべく避けるべきだと指摘する。
「市販されている加工肉は手軽に食べられるうえ賞味期限も長い。しかしその多くは、日持ちをよくするための防腐剤や、きれいに見せるための発色剤などが含まれています。
特に亜硝酸塩という発色剤には発がん性があることがわかっている。添加物が含まれていない加工肉は茶色い色をしていますが、それが本来の色なのです」
皮膚科医の柴亜伊子さんは同じく手軽に手に入り、調理なしで食べられる菓子パンの危険性を指摘する。
「簡単だからという理由で1食をパン1つで過ごすという高齢者は多いですが、小麦に入っているグルテンは腸に炎症を起こしやすく、たっぷり含まれる糖分は血糖値の乱高下を起こしやすい。摂取できるエネルギーが糖質のみなのも栄養医学的に大問題です」
手はかかるが、フレッシュな野菜や魚、大豆食品などから食べやすいものを選んで食卓に取り入れてほしい。
「とはいえ、いくら“体にいい”とされる食品も、そればかり食べていると、栄養が偏ってしまいます。極端にならず、毎日少しずつ取り入れることが大切です」(管理栄養士の金子あきこさん)
60才を過ぎたら毎日食べたい食材トップ3
60才を過ぎたら食べないほうがいい食材がある一方で、積極的に摂ってほしいと専門家が推奨する食材とは? 30人の専門家が選んだ食べるべき食材トップ3とその理由をお届けする。
専門家のみなさん
ランキングは、以下、30人の「食と健康の専門家」に「60才を過ぎたら毎日でも食べたい食べ物」を挙げてもらい、1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として集計。5点以上を獲得した食品を掲載した。
磯村優貴恵さん(管理栄養士)、石原新菜さん(内科医/イシハラクリニック副院長)、小倉朋子さん(トータルフードプロデューサー)、片村優美さん(管理栄養士)、金子あきこさん(管理栄養士)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、鎌田實さん(医師/諏訪中央病院名誉院長)、川村郁子さん(管理栄養士)、工藤孝文さん(医師/工藤内科副院長)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、小峰一雄さん(小峰歯科医院院長)、済陽高穂さん(医師/西台クリニック院長)、佐々木欧さん(医師/秋葉原駅クリニック)、左藤桂子さん(肥満外来医)、柴亜伊子さん(皮膚科医)、清水加奈子さん(管理栄養士)、菅原道仁さん(医師/菅原脳神経外科クリニック院長)、関口由紀さん(日本東洋医学会専門医)、瀧島未香さん(日本最高齢のインストラクター)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、西脇俊二さん(精神科医/ハタイクリニック院長)、浜中聡子さん(医師/クレアージュ東京エイジングケアクリニック院長)、浜本千恵さん(管理栄養士)、福田千晶さん(医学博士)、藤岡智子さん(フードライター/栄養士)、堀知佐子さん(管理栄養士)、牧田善二さん (医師/AGE牧田クリニック院長)、望月理恵子さん(健康検定協会/管理栄養士)、渡辺信幸さん(医師/こくらクリニック院長)
1位(57点):納豆
「ふんだんに含有するスーパーオキシド・ディスムターゼはがんの原因物質である活性酸素を除去し、ナットウキナーゼは血栓を溶かして血液をサラサラに」(済陽さん)
「水溶性食物繊維が多く、摂取することで糖の吸収が緩やかになり血糖値の急上昇を予防」(磯村さん)
「閉経後は女性ホルモンの分泌量が減少するため、同様の効能を持つイソフラボンが入っている食品を積極的に摂るべし」(黒田さん)
「コレステロールを含まない良質なたんぱく質に加え、骨を丈夫に保つカルシウムやマグネシウムも豊富」(金丸さん)
2位(25点):ヨーグルト
「良質なたんぱく質やカルシウムが豊富なうえ、発酵食品なので、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を整える効果も」(福田さん)
「ヨーグルトの酸味は食欲を増進させ、胃液の分泌や腸のぜん動運動を促すため消化吸収を助ける働きが」(瀧島さん)
「閉経後はホルモンバランスが大きく変化し、カルシウムが不足しやすくなる。手軽に摂取できるヨーグルトで補いたい」(磯村さん)
「おやつ感覚で食べられる栄養食。ドーナツなどの砂糖の多い菓子をヨーグルトに置き換えるだけでも健康効果が」(中沢さん)
3位(17点):卵
「ビタミンCと食物繊維以外すべての栄養素を含有する“完全食”。サラダなど野菜と合わせて摂って」(中沢さん)
「ふんだんに含まれる良質のたんぱく質は疲労回復効果や筋肉増強効果が。身体的機能や認知機能の低下がみられる状態であるフレイルに対抗できる強い体を作ってくれる」(清水さん)
「オムレツや炒り卵など豊富なメニューかつ食べやすい形で良質のたんぱく質を多く摂取できる」(望月さん)
「鶏卵に含まれるコリンという物質は脳に直接作用し、認知能力の維持に効果があるとされている」(鎌田さん)
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最強食品を毎日バランスよく食べて、“オーバー60ライフ”を元気に生きよう!
※女性セブン2021年3月11日号
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