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「介護予防とハーフうな丼」NO老いるLIFE~母と娘のほんわか口福日誌~第54話

 漫画家で栄養士の資格をもつうえだのぶさんの母は最近、脚の不調に悩まされている。「介護」とまではいかない80代の母だが、デイサービスでリハビリを受けてもらうことを思いついたのぶさん。母をその気にさせる秘策とは?

デイサービスのリハビリを受けるにあたって…

 母に内緒で「地域包括支援センター」に行き、要介護認定がなくても通える「リハビリ型デイサービス」の存在を知った私。母さえその気になってくれるなら通わせたい。問題はどうやって「その気」にさせるか、さてさて…。

「高齢者あるある」かもしれませんが、うちの母自分のことを「年寄り」だと思ってないんです。お友達も仲のいいご近所さんも皆お元気で、なんなら90代の現役お姉様方もいらっしゃっていて、母世代は「若い人」と呼ばれてて本人もそれがちょっと自慢という。

 なので今、自分だけがちゃんと歩けなくてみんなと同じように行動できないのがめちゃくちゃ歯がゆいし辛いんですよね。毎日呪文のように「なんでじゃろう…」とつぶやいてます。

 母にとって「介護界隈」に踏み込むことは「最後通告」と同じ。「もう私の脚はダメなんだ」と激しく落ち込んでしまうでしょう。どうアプローチするか。うーん。

 そんな時、久しぶりの友達から「お茶しよう」と誘いが来ました。彼女は元々私の通っていたヨガ教室の先生で今は仲のいい飲み友達(それはいいとして)、今回の話をしたら「そのリハビリ私が勧めたってことにしたらどう?」と提案してくれたんです。

 あ、なるほど。ヨガの先生ならそういう情報に詳しくても違和感ないよね。うん、いい流れ。

――さっそくその日の夕食時。

私「今日さあ、〇〇ちゃんとお茶して聞いたんだけど、前にテレビで言ってた要介護じゃなくても行けるリハビリ、アレってこっちにもあるんだって」

母「え、そうなん?」

私「うん、理学療法士さんのいるリハビリを週一で受けられるらしいよ。月2,000円くらいなんだって」

母「理学療法士さん?」←目キラーン

 もう10年以上前ですが、肩を骨折したことがあって(この話はまたいつか)その時受けた理学療法士さんのリハビリがとても良かったと常々言っている母。よし、食いついた。

私「地域包括支援センターっていうところに聞いたらわかるらしいんよね。番号教えてもらったけー1回電話してみようか?」

母「そーじゃねー、聞くだけ聞いてみてーやー」

母の説得は成功するか?

 ――翌日。

 仕事部屋で仕事の打ち合わせの電話をすませ、支援センターに電話してたていで先日職員さんから聞いた内容を説明。

私「介護じゃなくて『介護予防』のリハビリデイサービスがあるんだって。お母さんの脚の状態だったらそのサービスが使えるみたいなんよ。でも対象になるには審査が必要なんだって。

 でね、リハビリは無料体験ができるから、まずは通ってみたいと思うかどうか試してみたらいいですよ、って」

母「介護予防のリハビリ?」←目キラッキラ

私「無料体験だけでも行ってみる?」

母「そうじゃねー、ちょっと行ってみたいねえー」

 心の中でガッツポーズしながら、今度は本当に支援センターの担当職員さんに電話。

私「もしもし、母がその気になりました!」

職員さん「よかったですねー!じゃあ話を進めましょう」

私「はい、まずはリハビリデイサービスの無料体験をお願いします」

職員さん「施設の希望がありますか?」

私「理学療法士さんがいらっしゃる所がいいです!」

 自宅から近い施設をいくつか紹介してもらい、職員さんのアドバイスも参考に一か所選びました。「無料体験は何か所でもできるので、あちこち試されていいですよ」とのこと。

 申し込みの手続きは支援センターでしてもらえました。その日のうちに施設から電話がかかってきて日時が決まり、持っていくものの説明も受け、まさに「あれよあれよ」という感じ。すごいスムーズ~‼

 て、いかんいかん私だけが盛り上がって母を置いてきぼりにしたら…。

 とりあえず無料体験をして、母が行きたいという気持ちになれば、このサービスを受けるための認定をしてもらって…。急かさないよう押し付けないよう、ちょっとずつ、一歩ずつ。

母「ねえねえ、明日買いもの連れてってー」

私「ええけど、何買うん?」

母「リハビリ用の上履きがいるんやろ?ジャージも新しいのがいるねー」←目キラッキラ

 行く気まんまんやないかーい‼

「理学療法士」もですが、今の母には「介護予防」というワードがビシッと刺さったみたいです。「介護になりたくない」という思いにピッタリ合ったようで、母の治りたい気持ちの強さにちょっと胸アツ。

 だけど「デイサービス」というワードに若干戸惑いが。実は私もそう。今から30年以上前に祖母が行っていたデイサービスのイメージ(お歌を歌ったり折り紙をする的な)があるもので…。

 職員さんによると「お母さんが行かれるのはリハビリメインなので、そういう感じではないですよ」とのこと。そこは実際に行ってみて確認しよう。

何はともあれ、自分で行く気になってくれて良かった(これで堂々とネタにできる…いやそうじゃなく)。

一向に変化のない母の脚の状況にちょっと光が差した気がします(これからですが)。一歩前に踏み出したお祝いに、この前スルーしたうなぎでも食べますか!一緒に「壮行会」ですかねえ。

「NO老いるMemo「脂質控え目 ハーフうな丼」

 前回のエッセイは「土用の丑の日」の前でしたが、実は今回もそうなんです。明日31日は2回目の土用の丑。「土用の二の丑」って言うんですって。

 というわけで我が家のうなぎの食べ方をご紹介します。母の食事はすい臓を労わる”脂質”控え目、1食約10gが目安。

 うなぎのかば焼き100gあたりの脂質は約20g。つまり半分の50gにすれば脂質約10gになるってわけで…。

 そこで見た目を満足させるため、小さめの丼に盛り付け「ハーフ丼」にしました。

 ごはんをお茶碗少な目に1杯(約100g)、かば焼きを50g。それだけだと物足りないので、お総菜コーナーにあった「うなぎ薄切りのにぎり」と「刻みうなぎ入り海苔巻き」を添えました(脂質10gオーバーですが、そこは前後の食事で調整するってことで…)。あとはおなじみNOオイルドレッシングサラダです。

 かば焼きは小ぶりのものを一尾だけ。「脂質制限」も「出費制限」も一緒にやってる我が家の「節約術」です。

*参考資料「日本食品成分表2025(八訂)」

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絵と文

漫画家・うえだのぶ

うえだのぶさん

 イラストレーター・漫画家。58才。山口県で82才の母とふたり暮らし。40代で地元の短大に入学し、栄養士の資格を取得。地元山口県を拠点に、漫画を利用した食育や時短調理などの栄養講座の講師なども務めている。
アメブロ:https://ameblo.jp/abareinupoti/ インスタ: https://www.instagram.com/nobuueda/?hl=ja
『読者体験!リアル迷惑人間大集合1 』Kindle版が発売中。

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